【星屑テレパス】小ノ星海果の心境の変化について【考察?】
ボナヴー!
本来この記事は小ノ星海果の心情考察として書き進めていました。しかし、書いていくにつれ考察ではなく事実を述べているだけになってしまったので、この考察はボツとなりました。
そのため、小ノ星海果の変化については「あのとき、小ノ星海果がなぜあのような行動、反応をしたのか」を確認するための記事となります。不備があったらすまぬ。
さて、さっそくですが本題です。
原作2巻において、モデルロケット選手権の予選に参加したロケット研究会のメンバー。秋月彗の宣戦布告の後、小ノ星海果は不調になり、精神が不安定になります。そして壇上に立った時に「私は秋月さんにはなれない」と絶望してしまいました。
小ノ星海果は人と話すのが苦手なものの、思考は前向きなキャラとして描かれています。本人が言っているように、雷門瞬との勝負や部長会での発表の時も最後は大丈夫でした。このシーンでも、秋月彗と会話する前は普通にしていたはずです。でも、秋月彗との会話の後に急に落ち込んでしまっています。前向きなはずの小ノ星海果がこのシーンで急に落ち込んでしまった理由は何でしょうか。そのことを語るには、小ノ星海果の夢について考える必要があります。
原作を振り返ってみましょう。
物語序盤で小ノ星海果が語った夢、ないし目標は「自分の作ったロケットで宇宙に行って宇宙の仲間を見つける」ことです。
その後、宇宙に行きたい理由を雷門瞬に話すシーンでは、「居場所を見つけたいから」と言っています。
つまり、根本的な夢は「居場所を見つけること」だと判明していますね。
小ノ星海果は1巻の後半で雷門瞬に「欲しかったんだろ、自分の居場所。ここにもできて良かったじゃん」と言われます。しかし、この時の小ノ星海果はよくわかっていない様子で反応を示しません。居場所ができたのだから、喜んだり相槌を打ったりしてもいい場面だと思いますが、このシーンも違和感がありますね。
これらの要素を全て説明するには、もう一つの小ノ星海果の本心を知る必要があります。それは原作22話の惑星グラビティで明かされます。ここで初めて、小ノ星海果の真の本心が描写されます。その内容は……
「自分に居場所がないこと、ずっと怖かった。自分がここにいることに少しも自信が持てなかった。遥か彼方の憧れだけを見ていたかった。それが遠ければ遠いほど、足元の暗さから目を逸らすことができたんだ」
このシーンです。これが小ノ星海果の本質です。すなわち、
「叶わない夢を見続けることによって居場所がない自分の姿から目を逸らす」
これがこれまでの小ノ星海果の行動原理でした。
そもそも、最初の「宇宙人の仲間を作る夢」は明内ユウと友達になった時点で叶えられています。それでも居場所が欲しい、と言っていました。
つまり、雷門瞬に「居場所がここにもできて良かったじゃん」と言われて何も反応しなかった理由は「自分がここにいることに少しも自信を持てていなかった」からです。「宇宙に行くことを夢見る」ことは現実から目を逸らすためでした。なのでこの時点では、自分がここにいることに自信を持てていない=自分に居場所があるという発想に至らなかった、ということです。
それでも、メンバーが集まって活動が進むにつれ、宇宙に行く夢を叶えられるのでは?と思った小ノ星海果は活動に積極的になります。
そして、物語の転機が訪れます。秋月彗との再会です。秋月彗は小ノ星海果が持っていない要素を全て持っていました。宇宙に行くためには秋月彗のようにならなければならない。だからこそ、憧れの対象として尊敬するようになるのです。原作16話の大胆リーダーシップにて、秋月彗に憧れている様子が描写されていますね。扉絵では秋月彗をリスペクトしているからか、眼鏡をかけている小ノ星海果のイラストがあります。
しかし、ここで「全て自分でなんとかしなければならない」という考えにとらわれてしまいます。(原作2巻の115ページ目を参照)明内ユウとの「気持ちのほぐれるおまじない」を拒否したのも、そういう理由からですね。しかしこの行動で余計に追いつめられることになります……
そして予選の日。秋月彗が「スピーチ、お互いに頑張ろうね」「いざ尋常に勝負だ!」と宣戦布告してきた後に小ノ星海果の様子がおかしくなります。
一人で乗り込んで宣戦布告をする、という行動は小ノ星海果には出来るはずもなく、機体紹介もユーモアのある話も、ロケットづくりも全てにおいて負けています。そのことに気付いてしまって、落ち込んでしまったのですね。薄々感づいていながらも「あの時も最後は大丈夫だった」と、なんとか壇上までは歩いていくのですが、そこで感じた心象風景(秋月彗とは大きな差がある様子)を見て「私は秋月さんにはなれない」と「はっきりとわかった」わけですね。
まとめますと、
・宇宙に行く夢は最初は現実逃避の手段だったが、明内ユウと出会って夢を打ち明けたことにより、夢を一緒に目指すことになる。
・ロケット研究会が出来た時点では自分がここにいることに自信を持てていなかったため、居場所ができたことに気づいていない。
・自分の持っていない要素を全て持っている秋月彗を尊敬し自分も秋月彗のようになりたいと思うも、宣戦布告する秋月彗を見て「私は秋月さんにはなれない」と感じて落ち込んでしまう。
以上です。
補足1
予選で明内ユウは小ノ星海果に「平気?」と聞きはするものの、それ以上は何もしようとしませんでした。誰がどう見ても調子が悪いことはわかっているのに、です。アニメ版だと絶望感で顔が真っ青ですよ……かわいそう。(小並感)
明内ユウが何もしなかった理由は「気持ちがほぐれるおまじない」を拒否されたからだと思われます。この出来事があったから明内ユウは遠慮してしまったのだと、私は解釈しています。
ちゃんと「気持ちがほぐれるおまじない」をしていれば、「自分でなんとかしなければならない」という小ノ星海果の心情を察知できて、雷門瞬との争いのフォローに回れたと思うのですが……それはifの話ですね。
補足2
アニメ星屑テレパスのBD下巻の監督との対談において、「アニメ5話の時点では小ノ星海果は調子に乗っていた」「そのままいけば予選でロケットを飛ばせた」「秋月彗というライバルと出会ったことで挫折を味わった」といったニュアンスの内容が書かれています。(購入特典の内容なのである程度ぼかしております)
秋月彗と出会わなければ「自分でなんとかしなければならない」という考えに至らないので、雷門さんとの話し合いを一人で解決しようとすることも、本番で実力の差に絶望することもなかった、ということですね。
夢の変化について
ここからは私の明内ユウの考察をもとにした内容を記載します。
上記の記事で書かれている考察結果を前提にして書き進めていきます。
・明内ユウは小ノ星海果の願いを叶えるために具現化した存在である。
という内容ですね。
「自分の作ったロケットで宇宙に行って宇宙の仲間を見つける」という夢は、明内ユウが藤野岬高校の生徒になり小ノ星海果と接触、記憶喪失で帰る場所がわからないという設定を付加することで叶えられようとしています。
(宇宙船が故障したことになっているのはロケットを作るための布石で、生徒手帳が出現したのは小ノ星海果と接触するため)
そしてロケット研究会ができたことにより「居場所が欲しい」という願いも叶えられています。小ノ星海果は気付いていませんでしたが……
その後、小ノ星海果が夢を失いかけたことにより明内ユウの存在が不安定になります。しかし居場所ができたことに気がついた小ノ星海果が明内ユウを求めたことによって再臨し、変化が訪れます。
この時の小ノ星海果は「居場所がある」とはっきり気がついています。なので「居場所が欲しい」という夢は達成されました。それでは今の明内ユウが叶えるべき夢は?
明内ユウが復活した時点では、小ノ星海果の願いは「この場所を守りたい」となっているので、明内ユウもメンバーを集めることに積極的になります。実際、宝木遥乃に対しておでこぱしーをしてカウンセリングをしているし、再戦シーサイドでは雷門瞬の強がりに対して真っ先に反論しています。「嘘だよ、全部」のシーンですね。まあ、ここらへんは願いがなかったとしても、明内ユウの性格的に普通に行動しているだけともとれますが……
ロケット研究会が復活したその後、小ノ星海果の「"私とだけ”おでこぱしーして」という願いと「人とお話できるようになりたい」という目標がぶつかり合い、矛盾が発生します。しかし「"私とだけ”おでこぱしーして」という願いは勘違いだったため、この矛盾は解決されました。それとは別の問題が発生してしまいますが……
紆余曲折ありましたが4巻の後半で「明内さんの力になる」「明内さんがどんな宇宙人でも関係ない」という小ノ星海果の願いを受けて、明内ユウ本人が「自分の目標」を持つことになりました。
「自分のことや地球のことを知りたい」
「海果の居場所は地球にあるため、宇宙人にこだわる必要がなくなった」
これらのことから、明内ユウは「地球人として生きていくのが目標になったため、宇宙人としての能力がなくなりかけている?」と私は解釈しました。
星屑テレパス50話の雷門瞬との会話で
明内ユウ「地球人ってあったかいなって思って」
雷門瞬「お前もあったかいけど?」
明内ユウ「ほんと?」
というやりとりがあります。ここまでに明内ユウの体温については3回描写されてきましたが、それらの全てが地球人としては考えにくい体温となっていました。(4巻の体温描写は単に熱くなっていただけかもしれませんが)
この50話のやりとりで初めて、明内ユウの体温が地球人と同じだと描写されています。宇宙人としての能力が弱まり地球人に近づいてきている証拠だと思われます。
それぞれの目標まとめ
・小ノ星海果→人と話せるようになりたい。居場所を守る。
・明内ユウ→自分のことや地球のことを知りたい。海果の願いを叶える。
・宝木遥乃→現在目標を見つけている最中。(動画作成などのメンバーのサポート関連になる?)
・雷門瞬→みんなで作ったロケットでリベンジする。
これからどういう展開になっていくのか、楽しみですね。
文章がとっちらかってしまってすまぬ。長文失礼しました。
それにしても、星屑テレパスは心理描写が丁寧ですごいですね。素晴らしすぎます。そこに痺れる憧れるぅ!
それではまた次の機会に。
さらば……
星屑テレパスはいいぞ。
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