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誤用をなくしたい

前回、誤字などをなくしたい……いや、なくすぞ! という決意を改めてしたところだが、私を悩ませる目立った要因がもうひとつある。
慣用表現や文句などの誤用だ。

ベテランライターでもある諸先輩方からすれば、若造がまたこの手の話で悩んでいるとしか見えないだろうが、知らず知らずのうちに誤った意味のまま言葉を使ってしまうことがある。

「煮詰まる」「さわり」「王道」「破天荒」「姑息」「爆笑」「奇特」「役不足」「うたた寝」「雨模様」「確信犯」「にやける」「あくどい」「穿った」「敷居が高い」
そしてさらに怖いのが漢字の間違い、そもそも間違った言葉。
「足元をすくわれる」「癪に触る」「物議を醸し出す」「腕が鳴った」
※こちらは強調のため、全て誤った状態で記載しています

よくテレビなどでも取り上げられているほか、私のような無名ライターがこういったものをブログやTwitterで得意気に解説しているのを見たことがあるかもしれない。
テレビ局や新聞社のサイトなどにも、言葉に関するコラムが並んでいる。見てみると「え、そうだったの!?」なんてこともあり面白い。

しかし、どんなに解説を漁っても限界がある。実は間違って使っている言葉全てを自分の中で洗い出すのは不可能に近い。
そうなると、正しい意味ってどこで知ればいいのだろう?

私が持っている解答の一つとしては、「すぐに調べる癖をつけておく」というもの。
本来我々の持っている「文脈や場面から意味を類推する力」というものは優れたもので、だからこそ経験として語彙を効率よく獲得していくことができるのだろう。
しかしそこに逆らって……いや、敢えて一手間かけて詳しく見ていくこと、それをフットワーク軽く行えることが基本かつ重要なのだと思っている。

例えば、勉強が得意な子が付箋でパンパンになった国語辞典を持っているのを見たことはないだろうか。言葉を使う者として、あれこそが理想の形の表れだと思っている。
もちろんあれを実際に再現する必要はない。しかしなんとなく、しかも誤ったまま語句を使用してしまうことに対して、非常に参考になる取り組みなのは間違いないだろう。


余談ではあるが、言語というのは生き物だ。流行語が目まぐるしく変わるのみならず、馴染み深い言葉だって時代や世代によって意味や用途までも変わってくる。
慣用読み・ら抜き言葉など、変えるか変えないか、直すか直さないかで意見が分かれるものもある。
さあ、書き手の私はいかんせん。

個人的には「極力指摘を受けにくい状態まで持っていく」つまり言ってしまえば、直す(という言い方も語弊が生まれかねないが)ことにしている。
上述した語句の“今”正しいと言われている意味が、時代の移り変わりとともに廃れていく分には問題ない。ならばその今を生きる一人として「本来はこのような形だったんだよ」というものを少しずつ残し継承していくことも、私の役割ではないかと考えているからだ。
……とカッコつけたところで、さっさと終わりにしよう。

追伸
うそ、終わらない。そういえば“させていただく”がしつこい、みたいな話題が前に出たことがあったのを思い出した。
自分としては全く問題ない、というか業務時でもシナリオ内でもガンガン使っている。二重敬語でもないし、普通の謙譲語だという認識だ。
そもそも、同じ言い回しを何度も繰り返したら、何だってしつこく感じるものだ。特に件の文言は使い勝手がよく、頻出するからそのように感じることが多いのではないだろうか…………知らんけど。

***

さて前回の間違え探しの答え合わせを示しておかなければ。

誤:製作時
正:制作時
(私は物品ではなくコンテンツ作品をつくっているのでこっち)

誤:添って
正:沿って
(従う、倣うという文脈なのでこっち)

誤:あるあるのだろうか
正:あるあるなのだろうか
(勝手に脳が補完して捉えてくれるんだから人間ってすごいよ)

誤:勢いや熱量もも
正:勢いや熱量も
(内容の推敲も兼ねて、書いたものを見直すのは大事)

ありがとうございます、おいしいチーズを買います。