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「バックグラウンド?」の話。

 バックグラウンド。
 幾度となく聞いたことのある言葉だと思う。でも、その言葉の本当の意味を知らない気がする。それは今も過去も変わりなく。

 まずは辞書的な意味を知るところから始めようと思う。
 手元に辞書がないため、ネットで検索をかけてみた。

1 風景・舞台などの、背景。遠景。
2「バックグラウンドミュージック」の略。
3物事を取り巻く事情。事件などが起こった原因。背景。
4性格や、その人が今いる地位などを作り出した環境。生い立ち。育ち。また、経歴。
5マルチタスク環境のコンピューターで複数のソフトウエアを起動している時、ユーザーになっていないソフトウエアの状態を指す。操作対象となっているソフトウエアの状態はフォアグラウンドという。

 goo辞書さん、いつもありがとう。

 複数の意味があるのはわかっていたこととして、2と5はわたしが考えているところからは少し離れているので割愛する。というか、わたしが一番気になっているのは4の意味。
 自分自身、あるいは周りにいる人の「バックグラウンド」。たとえばわたしにとって身近な例をあげるとすれば、「どうして地元の大学の文学部に進学したのか」とかだろうか。わたしはそれを質問されると、

・文学を研究したいから
・実家から大学に通いたい(楽したい)から

という理由で大学を決めたと話している。だけど、実際にはそんなに簡単な理由だけで受験勉強のモチベーションが保てたわけがない。簡潔に話したいから、代表的な2つの理由をあげているだけ。
 自分の経験や考えをしっかりと説明すると途方もない時間がかかるのはわかりきっている。

 それはきっとわたし以外の人も同じだと思う。
 行動を起こすきっかけになったことを話すために、自分のこと(=バックグラウンド)を一から十まで話しきる人はまずいない。ほんの一部を紹介しているくらいのものだろう。
 仮にその中で気になったことがあっても、それを本人に聞くには途轍もないパワーが必要だ、とも思う。
 もしかしたら思い出したくないことを頑張って話してくれているのかもしれないし、聞くには少し重すぎる話になるかもしれない。だから、気になっても、それを言葉にはなかなかできない。自分の頭の中にそっとその「?」はしまっておくのが無難なのかな、とわたしは思っている。
(少なくともわたしはずけずけとなんでも聞かれるのが苦手だった。あくまで過去の話。今はそうでもない)

 過去を振り返ることで自分自身について考えることもできるし、自分が変わったんだと実感することもできる。「バックグラウンド」を知ることで考えが変わることもある。
 でも「バックグラウンド」が必ずしも明るいものであるとは限らない。前向きなものだとも限らない。自分が前向きにとらえていても、他の人は前向きにとらえることのできないことかもしれない。
 そして「バックグラウンド」において自分のなかの”ふつう”はだれかの”とくべつ”になり得る。自分にとっては当たり前に存在していたものが、ほかの人にとっては当たり前になんて存在することのないものかもしれない。 

 そう思ったのはきっとわたしにも「バックグラウンド」があるから。

 こうして言葉にすることで、少しだけ、本当の意味に近づけた気がする。
 ゴールにたどり着いたとはまだ思えないけど。

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