見出し画像

2019年3月24日の夢日記

駅前をぬけ、山の方に歩いていく。家がちらほらとあるが、かなり高度が上がっている。
目の前の空に、どーんとでかい富士山が現れた。なんだかいつもより色が濃く、生々しく気迫が凄い。小林さんに教える。びっくりしながら丘から見渡してみると、他にも3つほど富士山レベルの巨大山脈があった。
 感動しながら見ていると、ゲゲ、ゲゲゲ、と謎の声を発しながら自転車でこちらの方に向かってくる中東系の男性がいた。私が警戒していると、じろじろと見てきたが彼はそのまま自転車で麓の方へおりていった。
 柵もない石でできた橋を渡ると、その下には怖いくらい深い藍色の川が流れていた。ここに突き落とされでもしたら、命はないだろう。そうすると、またさっきの謎の声の男がこちらを見ながら自転車にまたがっていることに気づいた。片耳にだけイヤホンをいれ、まだゲゲ、ガガ、と壊れたスピーカーのような声を発している。睨みをきかせたら、ゲゲゲッと気味の悪い笑いをしながら走り去った。
 私は、追い返してしまったことに少し心を痛めたが、彼は何だったんだろうと思い返すと突然彼の心の声が頭に流れ込んできた。

《昔は、ポンチャックのバンドをしていた。とても良い仲間に恵まれ、特にギタリストは本当にいい奴で信頼していた。だが、何があったのか突然狂いだしてしまった。そして失踪した。今も、あの彼の声を電話口で思い出すだけで、心が落ち着いてくる。それくらい仲が良かった。
あれから、自分にも色々なことが起きた。もうバンドは出来ないと思う、それが悲しい》
彼は私にテレパシーで言葉を送ってきたようだった。

 彼のゲゲゲという異質で不気味な声も、その彼の身に起きた不幸によるものなのだろう。昔は普通に仲間と話せて、そして彼自身もふつうの青年だったんだろう。
 小林さんと丘の上から坂を見下ろすと、さっきのテレパシーの青年がゲヒャヒャと雄叫びをあげながら自転車で爆走していたのだった。

いただいたサポートは、創作と発表に使います。本をつくりたいです。