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【意味がわかると怖い話】『恋はつづくよいつまでも』解説
この記事は、意味がわかると怖い話の解説記事です。まずはこちらの本編を先にお読みください(10秒で読めます)。
ええ、そうです。そうですとも。いまさら感はありますが、2020年前半、最も話題になったドラマといっても過言ではない『恋はつづくよどこまでも』から拝借したタイトルなのです。
さらにいうと、じつはこのドラマの内容が鍵になっています。ちなみに筆者はこのドラマを見ていませんが、日本中の女子が佐藤健さん演じる超ドSなドクターにキュンキュンしたラブコメであることは存じております。
さて、ほんの100字にも満たない文章を読んでみますと、「先生」なる人物と「わたし」の逢瀬を描いているように思われます。
「先生」の顔が間近に迫り、緊張でドキドキするわたし。まるで接写したかのような艶めかしさが感じられます。
しかしどこか違和感を覚える表現がなかったでしょうか。それはきっとこの部分です。
先生の手がわたしの胸に重ねられた。ああ、天国にも昇る気持ち。
「天国にも昇る気持ち」というのは、それくらいの高揚感を覚えたとも読み取れますが、ちょっと言い過ぎに思えます。
それから「胸に重ねられた」という表現。「触れた」ならわかるのですが、「重ねる」というのはどうもヘンです。「重ねる」というのは、通常同類のものを載せたときに使いますから、ここでは「先生の左右の手」がわたしの胸の上で重ねられた、というふうに解釈できます。
以上のことを踏まえると、この文章はある緊迫した状況を描いたものだと思い至ります。
まず「先生」というのは、タイトルから想起される通り医者を表しています。
医者が「わたし」の顔を覗き込みますが、わたしはドキドキし、呼吸が速く汗ばんでいます。じつはこれは急性心不全の症状――動悸(胸がドキドキする)、呼吸困難、発汗とも一致するのです。
医師が鼻先の触れるほど顔を寄せているところを見ると、心停止に伴う瞳孔の拡大がないか確認しているのかもしれません。
医師は心肺蘇生を試みます。両手を胸の中央に重ね、心臓マッサージを行いました。その甲斐なく「わたし」はお亡くなりになり、天に召されてしまうのです。
ドラマのタイトルは『恋はつづくよどこまでも』なのですが、「どこまでも」を「いつまでも」に変えたのにも理由があるので、少し説明させていただきます。
裏設定では「わたし」は89歳のおばあちゃんです。顔はしわだらけですが、元気でイケメン大好きな、恋心を忘れない乙女でもあります。彼女は突如心臓発作に襲われ、病院に運ばれます。そこで救命にあたったのはイケメンドクター。
おばあちゃんの恋はつづくのです。いくつになっても死ぬ間際になっても「いつまでも」。最後にイケメンドクターに出会えて、おばあちゃんは幸せだったことでしょう。
お時間があれば、ぜひもう一度読み返してみてください。10秒で読めますから。言葉の解釈が180度変わって大変興味深いですよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。