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正夢【意味がわかると怖い話】

隣から寝息が聞こえて、スマホから顔を上げた。横を見ると、彼が眼鏡をかけたまま寝入っていた。寝返りをうってフレームが曲がってしまってはいけない。わたしは彼の眼鏡をそっと外し、ベッド脇のテーブルに置いた。

おだやかな寝顔だった。よほど幸せな夢を見ているらしく、顔がほころんでいる。口をぱくぱくと動かしているところを見ると、夢のなかでごちそうを食べているようだ。

わたしは電気を消し、彼の隣で眠りについた。

翌朝目が覚めると、台所からトントントンと音が聞こえた。彼がエプロン姿で朝食の準備をしてくれていた。わたしは彼に聞いてみた。

「昨夜はいい夢を見ていたみたいね」
「ああ、そうなんだ。どうして分かったの?」
「ふふっ、かわいい寝顔をしていたのよ。なんの夢を見ていたの?」

そう尋ねると、彼は野菜を切る手を止めた。付け合わせの野菜みたいだった。まな板の横に出してある皿は一枚だけだ。彼は顔をほころばせた。

「きみとひとつになる夢だよ」

わたしは真っ赤になった。


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