見出し画像

あの子は今、どうしてるんだろう

発達障害の子どもについての本を読んでいて思い出した男の子がいる。

私は小学校は地元の公立だったんだけど、授業中座っていられなくていつもうろうろしてる男の子がいた。

背も高くて力の強い子だったから他の男の子とのトラブルも多々あって、高学年くらいから支援員みたいな大人が常についてた。
同じクラスになることはなかったんだけど、同じ学年に"そういう子"がいるのは私も知ってた。


5年生のある日から、私が通ってた週末のダンス教室にその子が通うようになった。

「あ、あの子」と、ちょっと怖いなと思いつつ気になってたらダンス教室の待ち時間、私が読んでいた漫画を指して
「それ好きなの?俺も読んでるよ!」
と声をかけてきた。

びっくりしたけど、周りに読んでる子どもがいないような漫画だったから身近に仲間がいたのが私も嬉しくて。
そこから待ち時間にちょくちょく話すようになった。


「漫画読むときってさー、キャラの声ちょっと想像しながら読まない?だからアニメ見たとき思ってたのと違う!ってなった」
「わかるーあのキャラとか全然違った」
っていう会話を何故かよく覚えてる。

なんだ案外"普通"じゃん、なんて思ってた。

でも、平日学校に行けばその子は授業中うろうろ、物を投げて、暴れて、支援員に抑えられてた。


小学校を卒業したあと、彼は結構頭良いとこの私立中学に合格していたのを知って驚いたんだけど、
学校の姿だけで判断してはいけないし、私と話すときの姿だけで判断してもいけないし……

なんて、この話にオチは特になく、あるとすれば人って色んな面があるよね〜という一般論に行き着くんだけど。



私は親にも友達にもこのひと時のことは話さなかったし、彼の親御さんも私と話していたのを知ってたのかも分からない。
でも、常に"発達障害の子ども"じゃなくてもよくて、そうじゃなくていい時間があるっていうのは心が軽くなる気がする。

私はあの時間好きだった。



ちなみに読んでいたのは『ネギま』………

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?