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体験設計プロトタイピングを定義してみる

「体験設計」は製品やサービス(の機能)が生み出す使用体験や経験価値を意図的に設計する行為です。製品設計では試作とよばれるプロトタイプを用いて評価をしながら進めていきます。同じように体験設計でもプロトタイピングが必要ですので、今回の記事ではそれらを定義してたいと思います。

図面と試作

製品設計ではアイデアを外在化する手段としてスケッチや図面があります。図面を描くことで多くの気付きがありますが、それを試作して実体化すると図面では気付けていなかったことが沢山出てきます。どれだけ緻密に図面を描いたとしても試作が不要にはならないということです。

それを体験設計に置き換えて見ると、物語(シナリオ)と演劇(アクティングアウト)になります。さらに細かく見ていくと外在化と実体化の境界線が見えてきます。

例えばシナリオを黙読することと、音読の間に境界線がありそうです。黙読では脳の中で違和感を調整してしまい問題に気付きませんが、声に出して読むことで違和感が立ち上がってくる経験をされた方も多いと思います。

もちろん利用状況を設定して実際に演じてみることは必要ですが、体験化という意味では私は音読からが体験設計プロトタイピングだと思います。


ビデオを見ることは実体化?

自分でシナリオを音読することは体験設計でのプロトタイピングとして意味がありますが、他人が音読したものを聞くのは少し弱いと思います。では他人が演じたものを見ることはどの程度プロトタイピングになるのでしょうか。

人間を含む霊長類には脳の中ににミラーニューロンという共感するための仕組みがあると言われています。他人の活動を見るだけでまるで自分が行動したように脳が刺激されるというものです。つまりリアルな体験の様子を見ることによって体験したのと同じような刺激を受けられるのであれば体験設計プロトタイピングと言ってよさそうです。

問題は体験設計のアイデアを広げたり、体験品質を評価したりするのにどれだけ気付きを得られるかということなので、今後もっと事例を増やして明確にしていきたいと思います。


体験設計プロトタイピングとは

ユーザー体験(UX)が注目され、提供価値の本質が体験に移行していると言われており、製品設計はその体験を実現するための手段という位置づけになります。

つまり体験設計は製品設計の前におこなわれるもので、製品試作を使ってみて考えるものではなく、何も無いところから実体化に工夫をこらし少しでも体験価値を深く考えることが体験設計プロトタイピングと言えそうです。

体験設計プロトタイピングのアイデアについては体験設計支援コンソーシアム(CXDS)のコチラの記事に多くが書いてありますのでもし興味を持たれた方がいれば是非覗いてみてください。


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