共創カメラと競争カメラ
「タイヘンだ!」カメラ業界が大変なことになっている。
っと言っても今に始まったことではなく2000年ごろから携帯電話にカラー液晶が搭載され、カメラが付きメールで送れるようになり言われ始めました。
私もそのころから会話に入っていましたので、その後のiPhoneの登場やInstagramの登場で繰り返される同じような会話に「またか」という気持ちでいました。
狭い意味でのカメラ業界は、スマホカメラ、家電メーカーカメラ、ドローンやアクションカムなどの「ゲテモノカメラ」によって大混乱しています。(たぶんこのような蔑称を使うことで対応が遅れたと思っています)
自動車業界の100年に一度の変革と再編
一方、自動車業界では100年に一度という大きな変革に向けて、大きなビジョンを描き、歩みは遅いですが着実に準備ができてきているように見えます。
カメラ業界があっと言う間に、ソフトウェアを中心とする業界や、自由な発想で開発するベンチャー企業に取って代わられたことを「反面教師」として、現在起きている、またはこれから起きる自動車の「高度化」に向けて、産業を適切に変化させ生き残れるように、国を挙げて再編が進められています。
例えば、メーカーとサプライヤーが共通のモデルベース開発がおこなえるようにガイドラインを設けるなどの動きを経済産業省がおこなっていたりします。
これらはほんの一例で、交通は社会インフラとのつながりも大きく、国の産業全体にも影響が大きいために、自動車業界は私たちが良く知っている大メーカーであっても、基本的には繋がって動いています。
カメラ業界は秘密主義?
デジカメが登場したころには、カメラに使うアイコン(図記号)やメモリーカードへの画像保存ルール(DCF/Exif)をCIPA(カメラ映像機器工業会)で検討し共通化が図られましたが、その後の高度化する映像技術、映像活用に関して、カメラ業界が生き残るために大きなまとまった動きはほとんどおこなわれていません。
変化の幅が小さいので、競業同士で小さな競争をしており、そのため大変に秘密主義になっています。
そもそも「次世代カメラ」という発想がどこにあるのかも業界として見えてきていません。自動車業界に先駆けて「自動化」「デジタル化」を達成し安心してしまったのでしょうか?
これまでに起きたデジタル化は、ガソリンエンジンをモーターに置き換えただけのレベルであり、現像が不要になったことでスピードアップしましたが、そのスピードアップをまだ他の価値に変換することができていません。
むしろカメラに関わる時間を短くしてしまっただけではないかと感じています。つまり気軽なコト、こだわりの無いコトになってしまいました。
カメラの規模が小さくなる中で、新たな投資をすることは難しくなっていきます。自動車業界のように共創領域を作り、競争領域に資源を集中するようにしなければ今後ますます魅力のない業界になっていくことになります。
共創領域の作り方
具体的には開発プロセスと開発ツールを共有し、多企業が協業しやすくすることです。
当然、これまでの開発のやり方と違い、沢山のアイデアを体験ベースで検証しながらイノベーションを起こしていく必要があります。
企画段階から使えるモデル作成ツール、モデルからプロトタイピングを作成し検証するツール、プロトタイプから本番開発にシームレスに移行するための開発全体のフレームワークが必要です。
いろいろと情報を集めてみると自動車業界では、開発後半の試作車にお金と時間が掛かってしまうため、それを開発前半のモデルベース開発やシミュレーションに置き換えていこうとしています。
デジカメでは、これまで大規模なシステム変更は無かったため、新しい価値を見つけるツールが不足していますので、自動車業界のツールを利用するこが近道になるはずです。
いくつかのツールのリンクを貼っておきますので、未来のデジカメ開発をイメージしてみてください。
MATLAB /Simulink
モデルベース開発をするためのツールです。これまでは細かい部分の開発に使われていた印象ですが、最近では複数の製品の連携や、環境や人との関係を含めた大きなシステムデザインに使われるようになってきています。
新しく加わった「システムコンポーザー」によって、より抽象的なモデルや未定義のモデルの許容が可能になったようです。
Qt
リッチなユーザーインターフェイスのための開発ツールです。表面的なグラフィックだけでなく、さまざまな機能イベントと組み合わせて開発することができます。
マルチプラットフォームのアプリ開発にも使えるため、スマホによるコントロールを持つ製品では効率的な開発がおこなえます。
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