可笑しき御菓子器
夏山蒼翠にして滴るが如く。甘味錚々たれば涎も滴る。甘く薫る風とともに開催された『山滴る、甘党市 2024』。京都を中心に全国から、美味しく可愛く新しい「今」のかたちの和菓子が集ったマーケット。
今宵堂は、今回は「アテ」を「甘い」にのせかえて、お菓子のためのちょいと可笑しな器たちを拵えてみました。
お猪口屋としては珍しく「お菓子の器を考える」という楽しい初夏でした。
とはいえ、ひとくちふたくちの菓子の大きさは肴にも通ずるものがあり、「主菓子を盛るのもいいけど、和えものにもいいな」とつい思う吞兵衛の性。盛るものと盛られるもののサイズ感を再考する機会でもありました。
季節や自然を小さな菓子の中に見立てる和菓子のデザインも興味深く、小さな盃へと時季の景色や戯れを込める楽しさをあらためて感じた制作の日々でした。
「甘党市」の運営やボランティアのみなさま、そして愛すべきご来場の甘党のみなさま、ありがとうございました。一日限りの祝祭は甘く儚く、口の中でとけてゆく甘味とともに・・・。おかし、いや、かしこ。