〈新企画〉ねぇねぇ連詩、やってみない!?②【しょう】
皆さん、こんにちは。
今宵はここまでに しょうです。
さてさて先週公開した連詩企画。
ゆかこさんがとっても素敵な短歌を詠んでくれました!
短歌のお返事として私は小説を書きました。
ではでは早速どうぞ!
「居場所」
新入社員の皆さん、おはようございます。
最初は小さな町のカフェから始まった我が社ですが、ご存知の通り、現在は「全ての人に第3の居場所を」を企業理念として掲げ、日々社員の皆さんと業務に励んでします。本日その仲間がこんなにもたくさん加わったこととても嬉しく思います。
第3の居場所と聞いて皆さんはどこを思い浮かべますか?
私が皆さんにお話ししているのは「久々に帰ってきた実家」だと思ってください、ということです。
久々に帰ってきたにも関わらず自分の部屋はちゃんとあって、食事では好きな食べ物が必ず出てくる。そして帰る時には必ずと言っていいほど、好きなものを大量に持たせてくれる、そんなイメージです。
なので当社のカフェでは「いらっしゃいませ」ではなく「おはようございます、こんにちは、こんばんは」、退店時は「ありがとうございました」の後に必ず「いってらっしゃい」というよう教育します。
本日からFlower Garden Coffeeの一員です。まずは皆さん、我が社をその居場所にするところから始めてみませんか?
これから一緒に頑張っていきましょう。
拍手の中、降段しそそくさと大会議室を後にする。
入社式の挨拶中、左手首のスマートウォッチの通話通知が鳴り止まなかった。エレベーターで地下駐車場へ向かう。
「社長、乗ってください。」
秘書がほぼ完璧なタイミングで車をつける。
「ありがとう、友美」と感謝を告げ向かった先は娘の待つ保育園だ。
「私が迎えにいっても良かったんですよ?この後予定していた会議、その後の会食はどうされるんです?」
「たまには3人でのんびり過ごしましょ。会議はリモート、会食は河岸に頼んだわ。ってかもう2人きりなんだから敬語はやめてよね。」
友美と私は児童養護施設で育った。
友美が来たのは中3の冬、ほぼ高1の時。
小3の時に母親の不倫が原因で離婚。父親と祖母に育てられたが不慮の事故で父親と祖母を失って身寄りがなくなり、施設に入ってきたらしい。
「2人で人生ひっくり返そう」を合言葉に努力し続け今がある。
「今日の夕飯は燈子が作ってね。夜、燈子がいるの久々なんだから。」「はいはい。」「はいは1回。ついたよ。いこっ」
「ママぁ〜〜」と大きな声で園内から飛び出してくる。
「むすび〜、びっくりした〜もう大丈夫なの?」
「うん!全然平気!」
話を聞くと熱が出たのはほんの1時間くらいですぐに治まり、橙子と友美が迎えに行く頃には何の問題もなく過ごしていた。
「むすび、今日何食べたい?燈子がなんでも作ってくれるって!」
「ハンバーグ!チーズ入ってるやつ!それにチーズのせるの!」
買い物を済ませ帰宅すると同時に燈子と友美は部屋着に着替え、化粧を落とし、長い髪をヘアクリップでひとまとめにし、コンタクトを外して眼鏡をかける。ここまでのスピードが凄まじい。
友美とむすびがお風呂に入っている間にリクエストのメニューを作る。
「できたよ〜。」「あと髪乾かすだけ〜」「だけ〜」語尾だけ続けて言うのはむすびのマイブームらしい。
「むすび、今日の保育園どうだった?」
「んっとね、マサくんがね、ママ2人いるの変なの〜って言ったからぶん殴った。」
「ぶん殴っちゃダメでしょ。」
「あははは。やっぱあんたの子だわ、燈子。」「なんでよ!」
「そういや燈子、会議はどうしたの?」
「あ、忘れてた。」「あんたね〜もう」
「もう」とむすびも繰り返す。
「ごめん、片づけ頼んだ!」と言い残し、bluetoothイヤホンをはめながら燈子は自分の部屋に向かった。
「やれやれだね。」「だね。」
中田友美、中田むすび、五十嵐橙子
3人の人生は誰1人かけてもいけない。
友美はむすびでもあり橙子でもある。
むすびは友美でもあり橙子でもある。
橙子は友美でもありむすびでもある。
あなたが私であり私があなたである。
きっとこれが本当の居場所。
お粗末さまでした。
最初なかなか書けず悩んでいた矢先に思いつき一気に書き上げました。
降りてくるもんですね。台風、猛暑、九州方面の方は大変そうですね。
どうか皆様、ご自愛ください。
お盆んだからこそ家族の絆、大切さを感じられる良い機会にしましょう。
ともやさんが短歌をどのように生まれ変わらせてくれるのか
楽しみにしつつ
今宵はここまでに
しょう
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