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ダンジョンズ&ドラゴンズ:冒険者名鑑【メル・アルクト】

◇自作記事総合インデックス

始めに

 この記事は記事執筆者『古矢沢』が『ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版』で産み出したPCである『メル・アルクト』の設定や、彼女が特別大きな影響を受けたセッション中の出来事を個人的な整理も兼ねてまとめたものである。メルの参加しているKasumi氏のキャンペーンは『セッションの度にメンバー募集を行い集まったメンバーで話を進める』スタイルを取っているため基本セッションごとにメンバーが異なる点には留意。彼女のキャラメイクや初期の冒険については以下のプレイレポートでまとめられている。

メル・アルクト / Mel Arcto

 変化していく世界への強い好奇心と内に滾る冒険心に突き動かされ、故郷を離れて旅に出た若いエルフ。吟遊詩人バードでもあり平時は演奏で日銭を稼いでいる。得意楽器はフルートとリュートで、旅先では地元の特色を活かした料理を楽しむことを好む。

 戦闘は本職ではなかったが、冒険の中で己の力が誰かを救えるものであることを自覚してからは音楽を用いた多彩な魔法と母親に叩きこまれた護身術を用い、義心のため仲間と共に戦うことが増えた。それにより命の危険に晒されることや苦悩することも増えたが彼女はそれを後悔しておらず、自分の力で人助けができることを好ましく思っている。

種族:ハイ・エルフ(ムーン・エルフ)
クラス:バード
属性:混沌にして善
年齢:50歳(ムーン・エルフとしてはまだ子供)
性別:女性
身長:177cm
体重:67kg
外見的特徴:黒髪、緑の瞳、緑の帽子とマント、シンプルな旅人らしい服。首元にはノームの幼馴染から譲られた琥珀のブローチを身に着けている。
得意戦術:力場で生成したダガーの投擲、魔法の声による支援や幻惑。

「僕はメル・アルクト。見聞を広めるため旅をしている身です」///「僕たちがなんとかします!皆さんはそれぞれの身の安全を第一に!」///「色々食べられて楽しかった~!」

見聞を広める旅へ

 彼女は幻想の世界フォーゴトン・レルムに存在するデイルランズ地域の森で愛情に溢れた両親の元に産まれたムーン・エルフである。彼女の産まれたアルクト家はエルフの社会では中流階級に属し、彼女は物心ついた頃から書物や音楽、そして同族やノームの友人に囲まれて育った。

 そんな中、彼女は書物で語られる冒険者……特にヒューマンの冒険者に強い憧れを抱くに至り、自分も彼ら、彼女らのように瞬間瞬間を大事に生きてみたいと願うようになった。そして彼女は48歳の時、変化していく世界への強い好奇心と内に滾る冒険心に突き動かされ、冒険の旅に出たのだ。彼女の持つサバイバル技術や母親から叩き込まれた護身術は確かなものであり、かつバードとしての技能を活かして日銭を稼ぐこともできるため、彼女は相応に苦労しつつも現在のところは順調に一人旅を行えている。

 また、彼女はヒューマンの冒険者のように生きることを目指すにあたり、密度の高い生で経験したことを記録するため辞書のように分厚い手帳を持ち歩いており、いずれその内容を故郷の恩人達に語りたいと考えている。尚、この手帳は冒険の中で異次元へと繋がる魔法の鞄『ヒューワーズ・ハンディ・ハヴァサック』を入手し荷物の重量に余裕が出たことを受け購入したもので、旅を始めてから手帳を購入するまでの経験は記憶を頼りに書き込む形となっている。

恐怖と対峙して

 旅の中で彼女はソード山脈の町『ファンダリン』に滞在し、そこで冒険者仲間と共に仕事をする中で白竜『クライオヴェイン』の襲撃によって壊滅させられた商人のキャンプを目にしたり、鉱山で起きた崩落事故に関する救助依頼を進める中で次元間を旅する種族『マインド・フレイヤー』に関する遺跡に住む怪物たちと戦うことになったりと数多くの恐ろしい出来事を経験することとなる。

 このような経験と、その中で仲間と共に多くの人を救えた成功体験は彼女が冒険に臨む際の姿勢を少なからず変えた。それまで戦いとはあまり縁のなかった彼女は己の力が誰かを救えるものであることを自覚し、義心のために人々を脅かす脅威に立ち向かうことを選んだのだ。

 そのような意識を育んでいった冒険の中で特に恐ろしいものとして彼女の脳裏に残っているのが、ある夜に経験した人間の身体を奪って成り代わる怪物達との戦いの記憶である。その怪物たちはメルら冒険者達を宿で親しげにもてなし、毒を盛って身体の自由を奪ったのだ。

 結果的に彼女は仲間と協力してこの危機を乗り越えることに成功したが、彼女はこの夜を無事に乗り越えられたことは奇跡のようなものだと考えており、今後このような形で騙されることがないよう警戒心を強めると共に、この場で同行していた全員に強い恩義と縁を感じている。

蜥蜴人『アクアク』との因縁

 蜥蜴人から逃げてきた商人の証言を元に、攫われた商人達を救助する仕事の中で遭遇した『アクアク』という名を持つ蜥蜴人のシャーマンは彼女にとって特に因縁深い敵である。アクアクは彼女が初めて遭遇した時点ではソード山脈を縄張りとする白竜『クライオヴェイン』を一方的に崇拝し、攫った人々を竜への生贄として殺害する存在であった。

 その際、村に住む蜥蜴人の人数を見て彼女は真正面からの突破は困難であると判断。『明日の贄』との言葉も確認できたため仲間と相談した上で夜に相手が寝静まった隙をつき商人を救出することとしたが、アクアク達は商人が1人逃げ明日の儀式を行うには贄の数が合わなくなっていることに気付き、残った贄を今夜のうちに捧げることを決めてしまう。

 これを受けた彼女達は『仲間のドラゴンボーン「デウィン」氏の考えた竜語の文言をメルの魔法で白竜からの神託を装って送り儀式を先延ばしにさせる』作戦を立て実行。アクアクらの崇拝が白竜そのものを理解して行っていたものではなかったこともあり、この作戦は無事に成功したが夜襲の際、騙されていたことに気付いたアクアクは『神託は人為的にでっちあげたものでも周りを操れる』ことを学習してしまう。その後、アクアクはメル達が他の蜥蜴人に殺されかけている商人を救おうとした隙をついてワニに変身して逃げ去った。そして、メル達が助けに入った時点で生き延びていた商人はエルフの女性ただ1人だけだった。この夜襲でその場にいたアクアクの手下たちは壊滅したものの、失われたものも残った禍根も大きかった。

 彼女はこの時の件について、理性では『目の前の人命を優先したことに後悔はない』『戦力差を考えれば十分すぎるほど良い結果だった』『必要以上に思い悩むのはよくない』と考えており今回の件について苦悩する仲間にも同じように話しているが、それはそれとして気にはしている。そして、この件について思い悩む中で彼女が出した答えは『放浪の旅を一時中断し暫くファンダリン周辺で暮らす』ことであった。彼女はその中で今回の結果が周囲にもたらす影響をしっかりと見た上で、可能であれば自らの手でアクアクと決着をつけたいと考えている。

 尚、アクアクというのはストーリー上での重要性が増したことに伴い後からつけられた名前であり、初登場時のアクアクは名無しのシャーマンであった。このように名無しのキャラがダイス目の悪戯やセッション中のアドリブによって重要キャラへと昇りつめるというのは、とてもTRPGらしい展開だと言えるだろう。

約束と苦悩

 彼女は先述の『鉱山で起きた崩落事故に関する救助依頼』にまつわる冒険の中で共闘したヒューマンの若者『エルグ・タルク』とある約束をした。エルグは父親との確執から実家を去り『ボブ』を名乗って暮らしている人物であり、実家から賞金と人相書きを出されている身であったため、それを察したメルは共に戦った仲間として『ここに滞在している間は力になる』ことを保証したのだ。

 その後、メルは先述した『人間の身体を奪って成り代わる怪物達との戦い』を含む様々な冒険を彼と共にし、彼を大切な友人とみなすようになっていった。そんな中、かつて邪悪な竜『アズドラカ』を滅ぼした武器であったインゴットが遺跡で発見され、それを白竜『クライオヴェイン』を倒す武器とするためには彼の実家である『タルク工房』の力を借りる必要があることが判明する。

 かくしてメル達はタルク工房のあるネヴァーウィンターへと足を運ぶこととなるが……その地でメル達は『エルグ・タルク』を名乗る人物が工房へと帰還し彼の捜索が終了したことを知る。人の姿を真似る邪悪な怪物『ドッペルゲンガー』が彼を騙り一家の中に入り込み、集まった貴族を守るだけで護衛が手一杯となる宴の日を狙って略奪の手引きをしようと企んでいたのだ。加えてドッペルゲンガーは工房の仲間に暴力を振るってさえいた。

 それを知ったメル達は本物エルグと共にドッペルゲンガーの企みを打ち砕くため動くこととなるが、その中でメルは仲間の1人であるノームの女性『ノグリ(PL:ぷりっちょ)』から『アプローチはもっと積極的にしなくちゃ』と自身がエルグに抱いている感情が恋心であることを暗に指摘される。本人はその場で『い、いや、そういうのじゃ……』と否定したが、その後の戦闘でも正体を隠すため赤い甲冑を纏って戦場にエントリーするエルグを見て『うん、随分と格好いい登場じゃないか……』と口走ってしまったりもし、本人としても自身の気持ちを否定できなくなってゆく。

 加えて、ドッペルゲンガーと手を組んだ略奪者なども敵側にいたその時の戦いは彼女にとって『初めて経験した敵側の人間に死人の出るような戦闘』でもあったため、戦闘終了後、彼女の思考は余りに多い処理すべき問題にキャパオーバーを起こすこととなる。宴の場で戦闘を起こしたことの事後処理としてネヴァーウィンターの統治を担当する守護卿の部下と共に報告書の作成に忙殺されることになったのは、そのままであれば延々悩んでいたであろう彼女にとってはむしろ救いだったかもしれない。

 とはいえ、彼女はその後も自らの感情について悩み続けることとなる。エルフとヒューマンの寿命差や相手側の気持ちは勿論のこと、大勢の人生を左右し実際に死人も出るような冒険の中で恋愛感情に振り回される自身への自己嫌悪、冒険への影響、そしてエルグの実家であるタルク家が歴史あるドワーフの名家である(※)ことから予測される社会的苦難なども彼女にとっては悩ましいものだ。一部の悩みについては信頼のおける仲間に相談を持ち掛けることもあるが、少なくとも冒険者として仕事をしている最中は自身の感じている苦悩を可能な限り表には出さず、普段通りに明るく振る舞いたいとも考えている。この状態がどのように推移していくかは今後のセッション次第だろう。

※Kasumi氏の卓ではドワーフとヒューマンが混血した場合はハーフエルフのように双方の特徴が混じった子供が産まれるのではなくドワーフかヒューマンのどちらかが産まれるという独自設定を採用しており、エルグは父親がドワーフで母親がヒューマンである。エルグの父親との確執も父親の『当主として格がつくのに最低限必要な年齢は50歳』であるという考えがヒューマンであるエルグにとっては『人生の半分を消費してやっとスタートライン』ということを意味していたことから生じたもの。

古矢沢メモ

 メルは自分が初めて産み出したD&DのPCです。最初のPCということもあり『個性は動かしているうちに出てくるだろう』とシンプルな設定で始めましたが、実際セッションで動かしてみると想像以上の勢いで設定が広がっていき、結果的には期待以上の変わり者になりました。

 今こうして彼女について振り返ってみると、彼女は総体としてはプロフィールに書いてある通り『混沌にして善』の属性を持っており、実際に自由や多様性を尊ぶ気質を持っているものの、自分の関わることとなると真面目に考えこみすぎて自由に動けなくなってしまう一面もあるように思います。

 自由奔放な性格に見えて奥に秘めた感情は割とドロッとしており、その心の奥底には多くの悩みを抱えています。ですが平時の明るい振る舞いが全て見せかけの強がりかというとそうでもなく、冒険に楽しみを見出す明るい一面も確かに本当のものです。

 動かす際に考えることが多く、物語が進むにつれ次々に新たな一面が見えてくる彼女は向き合っていて楽しい子です。縁や恩義を大切にする子なのもあり他のキャラとの関係性が深めていきやすいのも嬉しいところです。D&Dにおける最初のPCが彼女であったこと、そしてセッションメンバーに恵まれ彼女がこのように育つことができたことを、心から感謝したいです。

おことわり

 当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。

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参考:ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのファンコンテンツ・ポリシー

記事作成に利用した画像生成AI:「TrinArt」

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