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教育経済学的には幼児教育のコスパ最強説 | 「学力」の経済学 中室 牧子 (著) | #塚本本棚

今日は「 「学力」の経済学( https://amzn.to/3p1eW20 )」 中室 牧子 (著) #塚本本棚


【紹介文】
TBS系列「林先生が驚く 初耳学」(2016/9/25,10/9,11/6放送)で「日本国民全員が一冊持つべき」と紹介された話題の一冊!「思ったよりカンタンだった! 」、「わかりやすくてスラスラ読めた! 」など反響続々! 教育書として異例の30万部突破!

「ゲームは子どもに悪影響?」
「子どもはほめて育てるべき?」
「勉強させるためにご褒美で釣るのっていけない?」
個人の経験で語られてきた教育に、科学的根拠が決着をつける!


【書評】
幼児期の教育コスパ最強だなというのと、家庭環境が与える教育への影響はすごいなというのが結論。平等な教育を与えると、家庭環境の優劣で格差が固定するというのは何だかわかる気がする。

週休二日制が決まった時、一方は塾などへの教育投資を行ったのに対し、他方は教育の機会損失になっている点もさもありなんといったところ。

個人的には、幼児期教育はこれまで通り重要視していくのと、コロナかでも喧嘩も無く笑い声も絶えない我が家の環境をこれまで通り大切にしていこうと思った次第だ。


【本を読んで考えた・メモ】
・教育の費用対効果が高いのは0歳から3歳までで、それ以降も幼年期への投資は実りが多そうだ

・内的インセンティブ、外的インセンティブの話もあるが、両方与えるのが正しかろうと思う

・勉強などの行動に対して、それによって得られるであろう対価をきちんと示すことは大切で、お金の概念がわからないときはもっとわかりやすいもので、そして(なるべく早くお金の価値がわかるようになったら)お金で対価を示すことも大切だと感じる

・特に、お金と投資の概念がわかれば、投資は時間を味方につけた方が強力なのでなおさらだと感じる

・本書には外的インセンティブとしてお金を得た子供たちは、お金を無駄遣いせずきちんと貯蓄をし、堅実なお金の使い方をしていたとあるが、これには救われる思いだった。僕も早い段階で子供にリアルのお金の運用を任せ、学んでもらおうと考えている

・子供に自尊心だけを与えても、それに根拠がなければ子供たちを社会的なリスクから遠ざける事ができるという根拠は示されなかったとある。それはそうだと思う。自らを尊ぶに足る根拠が必要で、そこに矛盾があれば破綻する(拗らせナルシスト)だろうし、自らを尊ぶためには、その子供を愛し、愛しているという事を伝え、それにより守られているという安心から挑戦する気概を引き出して、実践させて自分を信じるに足る根拠を得る事が大切だと思う

・「頭がいいのね」より「よく頑張ったね」。これも大事な声掛けの手法だと思う。成果は持って生まれた能力から得られたと決めつけるのではなく、努力したから成果が得られたんだとほめた方が、人は努力する意欲を持つ。ただ、ジャンプとかって”〇〇の息子だから”とか、”伝説の〇〇の子孫”だからって言うのが多くてそれは良くないなと常々...でもわかりやすいんだろうな、理由としては。どこかでみんな”努力より血統、遺伝”だと思っているのかもしれない

・ハーディング家の子育ての書評でも思ったが、「ベストを尽くそう」という声かけがやはり一番いい気がする。僕自身も僕に対して常にそう問いかけている

・「能力をほめることは、子供のやる気をむしばむ」

・RPGなどの複雑なゲームは、子供のストレス発散につながり、創造性や忍耐力を培うのにむしろ良い影響がある場合さえある

・ゲームの中で暴力的な行為が行われていたとしても、それを学校や隣近所でやってやろうと考えるほど、子供は愚かではない

・テレビやゲームをやめさせても、学習時間はほとんど増えない

・高い学力の友達に囲まれると、自分の学力にもプラスの影響がある=周りの学友の影響は大きい

・”勉強をやりなさい”では効果は薄い。なぜ今勉強をすべきで、それが将来どういう影響を持つのか、どう勉強をしていけばいいのか、より深く寄り添って促さなければ効果は得られない

・子供や若者は、飲酒・喫煙・暴力行為・ドラッグ・カンニングなどの反社会的な行為について、友人からの影響を受けやすい

・教育経済学的には、子供の教育収益率が最も高いのは子供が小学校に入学する前の就学前教育である

・幼児教育の社会収益率の結果は、4歳の時に投資した100円が、65歳の時に6000~30000円程になって社会に還元されているという事を示唆している

・「自制心」、「やり抜く力」などが本書でも大切な非認知能力だと示唆されている。僕も常にベストを最後まで尽くすことが大事だと思うし、実際そうしようと日々生きている

・心理学の分野でも「細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理する」ことが自制心を鍛えるのに有効であるとされている。僕もダイエットや試験勉強でこれを行っている

・努力の力を信じられる環境にいる、そういう教育を受けている子供は「やり抜く力」が強くなるようだ

・中3時点の学力は研究データでは、遺伝が35%、家庭環境が34%を占める。更に、その後の所得は遺伝が30%、家庭環境が41%を占める。この辺の残酷な真実も過去に読んだ「教育格差」のデータ符合する

※元のレポートはこれですね
日本における教育機会の不平等:行動遺伝学的アプローチ
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/13e097.html

・上記を踏まえ、著者は”家庭が与える影響を過小評価し、学校が与える影響だけを考慮すれば、平等な教育は家庭環境の優劣で格差が開くだけ”と指摘する

・本書は著者も指摘する通り、海外のデータが多い。日本でも教育に対して様々な見地から議論が進み、日本の教育レベルの全体的な向上が図られるといいなぁと思います

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