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21世紀の啓蒙 上 #塚本本棚

ビルゲイツが”生涯の愛読書の一冊”と推奨したことで話題になった啓蒙書です。世の中の不幸をあおる認知バイアスを様々なエビデンスで覆しつつ、世界の今とこれからを俯瞰するデータベースともなる重厚濃密な一冊。

今日は「21世紀の啓蒙 上( https://amzn.to/3ccgUpg )」スティーブン・ピンカー (著) #塚本本棚

人類をポジティブに見れるようになりますし、教養としてとらえておくべき数値がちりばめられていると感じます。

知識によって我々の生活はより良いものになりうる=啓蒙主義。認知バイアスによらず、数を数え、エビデンスと俯瞰の視点で見渡してみれば”世界は決して暗黒に向かってなどいないよ”と伝えてくれる本です。2,500円もしますが、値段の価値はあるかなと思います。

【本を読んで考えた+メモ】
・なぜ生きるか?→だって持ち得る感覚を使って様々な知性や感情、体験に触れる事って楽しくない?

・エントロピーは増大するからこそ、人は反エントロピー的な形状や機能を魅力的(稀有、希少)だと思うのかもしれない

・耳というものの機能的緻密さは未曽有

・エントロピーが増大する中、収束している状態というのがそもそも奇跡なのだが、さらに富が無いのが生物のデフォルトなので富がわずかでもあればそれは奇跡

・知を探求し知ろうとする行動は、反エントロピー的であり尊いが、しばし”ありのままでいい”とする派閥と衝突する

・どこのだれかは選べないが、生きる時代だけを選べるとしたら、人類の多くは今を選ぶのではないか?

・ニュースや記事には”読まれたい”というバイアスがかかるから、いつも世界は危機的で衰退しているように思わされるが、統計ではそうではない。生活は日々便利に、犯罪は日々減少している。

・統計を見ない悲観論者らは、勝手に世の中の進歩をあきらめるし、さも世の中がうまくいってないかのように布教する

・読まれたいがために危機を増幅するメディアや人の認知バイアスを克服するためには、客観的な数値をもってあたることが大切

・トランプのツイッターにうなずく人は認知バイアスのとりこになっていないか?また、人は容易に認知バイアスの奴隷になりうることを踏まえよう

・平均寿命は世界的に伸びていて世界の平均寿命は70歳を超えており、1920年代から一気に人間の寿命は倍になっている。1800年には平均寿命が40歳を超える国はどこにもなかったのに

・1930年頃まで、乳幼児死亡率は15%近くもあった。今は1%を切る

・しかしながら、自然淘汰は若く代謝を生む生物を好むのであり、だらだらと長寿、または不死を好まないだろう

・疫病に関しても、人類は勝利し続けている。エイズとの戦いも2030年を目途に終息に向かっている

・18世紀初頭のフランスの日常食のエネルギー価は、1965年のルワンダ(世界で最も栄養価が低いとされた国)と同程度だった。人類は飢えからも解放されつつある

・所得格差は近年広がっているが、それはすなわち幸せの格差ではない

・2011年に貧困ラインを下回っていたアメリカの世帯でも、95%以上が電気、水道、水洗トイレ、冷蔵庫、コンロ、カラーテレビを持っていたが、1世紀半前にはロスチャイルド一族ですらこれらを所有していなかった

・晩婚化というのは生物としての人間の、人口調整プロセス。世界の人口増加率は1962年の2.1%がピークで減少に転じ、2010年には1.2パーセントまで減少している。2070年辺りにはゼロに近づき減少に転じる可能性が予測されている

・著者も膨大な数の本を読んでいるが、読んでいる本は重厚濃密なものばかりで、知識を得るための読書とは自己啓発やノウハウ本を読み漁るのとは別の所にあると感じる

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