【仕事の裏側】転職エージェント(企業担当)が一次面接と二次面接の間で何をしているか
転職エージェントって間に入る仕事なので、具体的に何をしているのか、転職者からも企業からも見えにくいんだろうなと常日頃思っています。
先日、企業担当として自分がしていた立ち振る舞いに、地味で目立たないながらも転職エージェントらしいエッセンスが凝縮していたかもとふと思い立ったので、どんな動きをしていたかまとめてみます。
一次面接終了後、からの話です。
応募者の感想を回収
応募者Aさんから感想を回収し、企業Z社に伝えました。
転職エージェントの立場としては、Z社に「面接をしていただいた」ので、可能な限り応募者側の感想を回収した後で、面接実施のお礼方々連絡します。
企業から選考結果を回収
企業から結果を回収しました。
これは面接のお礼連絡のタイミングですぐに回収できることもありますが、だいたい後日メールでポンと届くことが多いので、この時点で評価ポイントなどの詳細な情報はほぼありません。
無事に合格だったので、二次面接の調整を進めていきます。
二次面接の候補日程を応募者から回収、企業に伝えて日程確定です。ひとまず面接日程調整だけ進めちゃいます。
ここまでは大したコツもなにもない話です。
ポイントになるのはこの後です。
企業に評価ポイント・選考状況をヒアリング
二次面接の実施日までに、Z社から諸々ヒアリングしました。
・企業側で他に選考に進んでいる人がいるのか
・いるなら今回のAさんの評価は何番手なのか
・二次面接の結果はどれくらいで出るか
・二次面接の内容、面接官の雰囲気など
これらのヒアリングをして何を確認しているかというと、Aさんが内定しそうかどうか、です。
また、この時点ではAさん側の最新状況(Z社の志望順位が高いのか、他の会社の面接予定はいつか、など)が不明だったので、スケジュールの目処もZ社から事前に情報収集しています。
企業側が内定を出してくれそうだと分かれば、次はAさんが内定を受諾してくれそうか、を確認していく必要があります。
スケジュールを大事にする理由も、選考スケジュール次第で、仮にどんなに企業側の評価が高くて内定が出ても受諾しない可能性があるからです。
つまり、企業担当の転職エージェントとしてこれから着手するのは、企業に内定を出してもらうため選考通過確率を少しでも高めること、Aさんに内定受諾をしてもらうため断る可能性を少しでも下げることの2点です。
さて、このあと書くのはそんな取り組みのために具体的に私がとったアクションについてです。
Z社に「Aさんの評価は何番手か」を尋ねると、「まだこれから一次面接を控えた候補者Bさんがいるのでそことの比較次第ですね」という回答でした。
Aさんの一次面接は6月5日、二次面接は6月15日
Bさんの一次面接は6月13日です。※日にちはフェイクです
このあと想定される最悪のストーリーはこうです。
・Bさんの一次面接が終わって、AさんよりもBさんの方が評価が高いとなった
・Aさんには先に二次面接を受けてもらうものの、Bさんの二次面接まで結果は待ってもらうことにする
・Bさんに内定辞退されて、待たせていたAさんにも内定を出したが企業の温度感が高くないことが伝わって辞退
・結果、AさんもBさんも採用できず
AさんBさんのどちらが評価が高くなるかは、転職エージェントにはコントロールできません。転職エージェントにできることは、どんな場合になってもいいよう想定と準備を進めることです。
ここでポイントになるのは、Bさんの二次面接の日程です。
Aさんの一次面接は6月5日、二次面接は6月15日
Bさんの一次面接は6月13日
いかにBさんの二次面接日を6月15日に近い日程で早期に実施するかがポイントです。
Aさんの二次面接日から日が空くほど、さっきの最悪ストーリーが実現してしまう確率が高まります。
さて具体的に、私がとったアクションは、
Bさんの一次面接前に、二次面接の日程調整を進めることです。
Bさんにはこう伝えます。
「すでに7日に最終面接を予定している候補者がいます。あんまり遅くなると、Bさんが最終面接を受ける前に、他の人で採用が決まってしまうかもしれません。だから、まだ一次面接の実施前ですが、もし合格となった場合の面接候補日時を今から挙げていただけますか?」
Z社にはこう伝えます。
「もし一次面接を終えて、Aさんも内定を出せるレベルだけどBさんの方が優先度が高い、となった場合。あんまりBさんの二次面接日がAさんと空きすぎると、Aさんを長く待たせることになる可能性があり、最悪2人とも採用できずに終わるリスクがあります。そこで、もしBさんの評価が高かった場合にすぐ二次面接が設定できるように、あらかじめ候補日時をBさんからお預かりしました。可能であれば二次面接官の社長のスケジュールをこちらで仮押さえしていただけると幸いです」
結果から言えば、Aさんの方が評価が高くて、トントンと内定受諾に至りました。
だから、私のこんな取り組みなんてAさんはまず知りません。やってもやらなくても、Aさんの入社には関係なかったことです。
でも、こうした備えによって、Z社は採用確率がアップしたはずです。
なんだかすごく地味ではありますが、こういう動きこそ知られざる転職エージェントの仕事だなぁとつくづく思うのです。
へぇ、そんな裏側があるんだねと、面白さや興味深さを感じてもらえたら嬉しいです。
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