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コロナでコピーライターの生活はどう変わったか(引越し篇)


あっという間に2020年も終わりに近づいてしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。あれこれしている間に時間が経ってしまったのですが、実は10月に事務所を移転しました。

当初は、もうこんなに打ち合わせがオンラインになるなら、ZOOMできるくらいの広さの部屋があればいいかな、くらいの気持ちで引越し先を探し始めました。でもね、すぐにやっぱりそれは無理だなと思いましたよ。出かけずにずっとそこにいるんだったら、むしろいっそう居心地の良さは大切になる。私は眠るときは狭い部屋が好きなんですけど、仕事するときは圧迫感のある部屋が苦手という困った体質で、これまでの事務所が天井高4mだったこともあり、天井の低い部屋は無理だと何軒か部屋を見てから悟りました。

で、新しい事務所も、天井高の高いロフトつきの部屋を借りました。場所は、これまでは東麻布でしたが、自宅のすぐそばの芝浦へ。JRの駅で言うと、田町ですね。

自宅はもう少し駅寄りなので、あまりこちらの方は来たことがなかったのですが、新事務所の場所は海岸寄り。窓の外は東京湾が広がり、レインボーブリッジがチラ見えします。すぐそばに運河があり、リゾートにいるような気持ちで毎日仕事しています。

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コピーライターは青山や麻布にいるべきだと思っていた頃。


まあ、このご時世、佐賀に移住した友人もいるので、都内でちょっと引っ込んだからといってたいしたことではないのですが、けれど私にとってはわりと大きな気分の変化がありました。ちょっと前まで、コピーライターの事務所は青山や麻布になければならないと思っていたのです。

実際に東京のクリエイターの事務所の多くは、表参道、渋谷、原宿、赤坂、麻布、六本木に集中し、日本に名を馳せるクリエイティブブティックも軒並みそのあたりに点在しています。

かくいう私も、フリーになってからは、南青山は骨董通りのはずれにオフィス兼自宅を構えていたこともありました。そのころはとにかく少しでも仕事を軌道にのせようと必死だったので、名刺の住所に「青山」って書いてあることが重要だと思っていました。なんかこう書くとめちゃくちゃバカっぽいですが、そもそもミーハーな田舎者なので許してください。はい。

その後、結婚して田町に移住したことから、事務所も比較的近い東麻布に移りましたが、それでもまだ田町に事務所を構えるという発想にはならなかった。当時の田町って陸の孤島みたいで何もなかったし、港区なのにちょっとイケてない感じもありました。

覚えてらっしゃるでしょうか。数年前、表参道に港区の児童相談所ができると決まったとき、青山の住民が抗議集会を起こして、連日報道されていたときのこと。その報道を見ていたら、青山民が「なんでそんな施設を青山に作るんですか? 田町にでも作ればいいじゃないですか」なんて言ってました。田町って、港区のなかではそんな扱いなんですね。

しかしコロナ禍になって、急に長い髪がしっくりこなくなったように、麻布にいる自分がしっくりこなくなってしまった私。もっとゆっくり気持ちの良いところで海でもみながら仕事したい。そんな気分になってきたのです。

実際、1日に何度も赤坂だの原宿だの六本木だの汐留だのに打ち合わせに行く生活から、ほとんど外に出ることがない毎日に変わったこともあり、もう自宅と事務所の往復がバカバカしい。と、思うようになったのです。


私、こんなに素敵な街に住んでいたっけ?


価値観が変わるというのは不思議なもので、それまで都心に向いていた目線を地元に向けてみると、そこは思いのほかいい街だということに気付きました。まず、ここ数年の田町の進化はヤバイ。愛育病院もできたし、港区スポーツセンターも移設して恐ろしくきれいになったし、駅前にムスブという商業施設もできて、巨大なスーパーも書店もあり、レストラン街も充実している。少し歩けば海が見えて、リゾートのような癒される雰囲気も味わえる。え、私、こんなに素敵な街に住んでたっけ? 全然田町を満喫してなかったじゃないか。そう気づいて愕然としたのです。

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(ムスブ田町のレストラン街。向いには高級ホテル・プルマン東京田町があります)

考え方を変えてみると、時折、青山や恵比寿へ打ち合せに行くのも、六本木や銀座に買い物に行くのも、これまでよりも非日常感があってなんだか楽しい。そこから芝浦に帰ってきて、運河や海のキラキラを眺めるとほっとします。

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そう、いままでの私たちは、なんだかちょっと忙しすぎた。気持ちが外側に向きすぎて、地元も事務所も居住空間も、そして自分自身も、あまり大切にしてこなかった。そんなことをぼんやり思ったりする今日この頃。

パンデミックに関しては、一日も早く終息することを願ってやまないわけですけれど、こうしてコロナをきっかけに変わったことは、悪いことばかりでもないなと思うのです。






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