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ニューヨークの不動産は差別との闘い 続き

途切れてしまった。続きです。

職業差別されたと思ったそのカップルは私にテキストメッセージを沢山送って来ていた。
オフィスに戻って言いにくかったがその事を伝えた。
因みにこの彼女というのはかなりの高齢でとっくにリタイアの歳を超えているのは明らか。多分80くらいじゃないかなと見ている。
ハンガリーからの移民の人で本当に働き者だし、一つ一つの仕事を丁寧にする。
しかし、このストレスの多い不動産業界に長年携わっている割にはストレスに弱いと言うか、、、、忙しい時期に差し掛かるとパニックになってNo More appointments!!!!  Can't do it anymore!! という感じでせっかくの内見のチャンスを見送らないといけない。(ちょっと面倒臭い人なんだ)
多くの人にとっては(私も含め)、この人とやって行くのは大変だ。しかしこのレンタルアパートは本当に質も良いし人気だし、ブローカー手数料も払ってくれる本当に良い管理会社なのだ。
良い加減な人間も多いこの業界で彼女は様々な嫌な思いもして来たんだろう。
なかなかガードが固く人を簡単に信用しない傾向にある。

しかし私は頑張って彼女の信用を得る事が出来ていると思っている。
内見のクライアントを連れてくる前にかなりフィルターにかけて入居審査に通る可能性の高い人だけを厳選してるし、彼女の貴重な時間を絶対無駄にしない様に細心の注意を払っている。(これ、結構大変、、、)

時々ケーキやクッキーを焼いたときはお裾分けを持って行く様にしている。
以前彼女があなたはこの業界では珍しく人が良すぎるので気をつけて、この世界はシャーク(鮫)ばっかりだからね、、と忠告をしてくれた事がある。

さてそんな彼女に言いにくい事を言わないといけない。
さっきのカップルなんだけど、こう言う苦情が来ててね、どうもあなたのコメントが気に入らなかったらしい、職業差別的な事を言われたって言って来てると伝えたら、彼女の顔が青ざめた。具体的になんて言ってるのか聞いて来たので私は自分の携帯に届いた数々のメッセージを読み伝えた。
それでどう対応したの?って聞かれたので、いや、、取り敢えずそう言う気持ちにさせてしまった事に対してはまず謝まっておきました。確かに貧乏アーティストみたいなコメントあったし、それをネガティブに取られたみたいだったので、、」
と言うと、「私をかばってくれればよかったのに!!」と泣きそうな声になったので私は焦った。いやいや、謝ったのは取り敢えずそう言う嫌な気分にさせてもらったことに対しての謝りで、まだそれ以外の事は返事していないからさてどの様に説明しましょうか、、心配しないで、私から上手く説明するわ!!!となだめて。。

彼女はもう超ストレスでこれ以上無理!!!という激しいリアクションを見せながらも、気を撮り直して冷静に考え始めた話し始めた。
『あなたも知ってるかもしれないけど、私自身とても貧乏な国からの移民だし、私自身はアートに対して凄くリスペクトしてるのは知ってるわよね。私が言いたかったのは貧乏なアーティストってけなした訳ではなく、アーティストって仕事量に対価としてなかなか十分に稼げない事が多く、そこがpoorって言うニュアンスだったのよ。。。彼らがプアーって言う意味ではなかったのよ。。』

私はそれを聞いて、オッケーそのニュアンスの勘違いを上手く説明して理解してもらおうと決めた。因みにこの彼女は物凄くヘビーなアクセントがある。私も人の事は言えないが彼女のは強烈なアクセントだ。

これ使える。。と言う事で私はカップルに謝罪の電話を入れた。取ってくれなかったのでボイスメッセージに。彼女が言わんとした内容の事が、彼女の口から出て来た言葉とは食い違っていたのは認める。。確かにそう聞こえたかもしれない。でもそれは彼女が上手く言葉に表現出来なかっただけで、彼女はこのビジネスも長く、そう言った差別的な言動を取る人ではない。。と言う内容だ。

『私の方からも連絡したほうが良いかな?どう思う?」と彼女が聞いて来たので、そうね、、こう言う事はメールとかではなくちゃんと話すのが礼儀として良いと思うわ。と答え、テキストメッセージで後で本人から電話がありますので話す機会を与えてあげてくださいね、と残しておいた。

彼女には感謝され、気を取り直して業務に戻って行った。春の忙しいシーズンなのだ。しかし久しぶりに結構焦った一連の出来事だった。

本当に下手すると訴訟問題にすぐなるし、そうなるとこの世界では生きていけない。

たかが不動産業といえニューヨークは法律の事や人種差別の問題があるので言葉は本当に慎重に選ばなければいけない。

それにしても精神的にぐったり疲れた。


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