サンパウロ競馬は廃止されるのか?問題と対立をざっくり解説

 ブラジル・サンパウロ競馬が廃止の危機に瀕している。厳密に言えば、サンパウロ市議会が可決した法律によって、180日以内に廃止されることが決まってしまった。

 サンパウロ競馬は100年近い歴史を誇り、数々の名馬がこの地で誕生した。1967年には日本のハマテツソが、サンパウロに遠征してサンパウロ地区最大の競走であるGⅠサンパウロに出走した。サンパウロで活躍して日本で繁殖牝馬になった馬もいれば、ジョアン・モレイラ騎手が現在拠点にしているのもサンパウロである。

 なぜ、サンパウロ競馬は廃止の危機に瀕したのか? なぜ、サンパウロ・ジョッキークラブとサンパウロ市議会は対立しているのか? サンパウロ・ジョッキークラブはこれからどうやって法律に反論するのか?

 先に断っておくと、この問題は競馬の範疇をはるかに超えている。博識ぶるのに使える海外競馬ニュースではなく、サンパウロという巨大都市の開発・政策・財政・法律が複雑に絡む時事問題である。

 そのため、筆者自身にも分かっていないことが多い。間違っていたら申し訳ないとあらかじめ謝罪しておく。それでも、できるだけ分かりやすく内容をまとめてみたので、興味のある方は最後までお付き合いをお願いしたい。


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