アルゼンチン競馬がワールドカップによってどのくらいのダメージを食らったのか数字で見てみよう

先日アルゼンチンの記事で「サッカー・アルゼンチン代表の躍進は素晴らしいニュースだが、競馬産業には問題を引き起こした」という内容を読みました。つまり、「みんなサッカー見てるから、馬券売れねぇんだわ……」ということです。詳しくは☟をご覧ください。


そこで今回は、ワールドカップ前とワールドカップ最中を比較してどれくらい馬券の売り上げが落ちたのか?を実際に調べてみました。アルゼンチン競馬の馬券の売り上げがどのくらいなのか気になる人も、ぜひ最後までご覧ください。



■ ワールドカップ期間
11月21日(サウジアラビア戦)~12月18日(フランス戦)

■ 為替レート
1アルゼンチン・ペソ=0.76円(2022年12月21日時点)



ラ・プラタ競馬場の場合

12月20日 47,507,369ペソ(優勝パレード)
----- WC期間 -----
12月15日 45.642.587ペソ
12月13日 34,221,039ペソ(クロアチア戦)
12月09日 24,148,731ペソ(オランダ戦)
12月06日 41,458,689ペソ
12月04日 38,659,435ペソ
12月01日 45,812,985ペソ
11月27日 36,029,483ペソ
11月24日 45,196,667ペソ
11月22日 45,957,026ペソ
----- WC期間 -----
11月19日 ???(GⅠデー)
11月17日 49,484,613ペソ
11月15日 51,963,352ペソ
11月08日 53,176,076ペソ
11月06日 44,651,630ペソ
11月03日 49,358,694ペソ
11月01日 46,392,110ペソ

ワールドカップが始まるまでのラ・プラタ競馬場の1日の売り上げは、だいたい4500万ペソから5300万ペソでした。

しかし、ワールドカップ期間中は多い日で4500万ペソを超えるくらいまで売り上げが落ちました。

顕著なのは、やはりアルゼンチン代表の試合と競馬開催が重なった日です。12月13日のクロアチア戦が3400万ペソとおよそ30%減12月9日のオランダ戦にいたってはワールドカップ前から50%減の2400万ペソまで沈みました。オランダ戦はPK戦までもつれたので、完全にその影響です。

ラ・プラタ競馬場は、試合中は競馬開催を中断して試合終了後から競馬を再開するという対策を取りましたが、まったく効果はなかったようです(しかも、延長分は考慮していなかったので、延長戦の最中に競馬を再開してしまいました)。試合に勝ってから路上で騒ぐまでがアルゼンチン人の王道ムーブなので、試合時間だけ競馬を止めたって意味がないんです。


サン・イシドロ競馬場の場合

----- WC期間 -----
12月17日 247,176,900ペソ(下半期最大のGⅠデー)
12月14日 62,593,796ペソ
12月11日 70,359,499ペソ
12月07日 61,051,604ペソ
12月03日 70,445,767ペソ(オーストラリア戦)
11月30日 56,328,287ペソ(ポーランド戦)
11月29日 56,069,614ペソ
11月26日 77,062,002ペソ(メキシコ戦
11月23日 68,626,930ペソ
----- WC期間 -----
11月18日 80,961,136ペソ
11月16日 66,041,284ペソ
11月13日 64,112,664ペソ
11月11日 79,606,277ペソ
11月09日 73,056,492ペソ
11月05日 131,181,034ペソ(GⅠデー)
11月02日 68,349,120ペソ

ワールドカップが始まるまでのサン・イシドロ競馬場の1日の売り上げは、GⅠデーを抜かすと、だいたい6400万ペソから8100万ペソでした。

ワールドカップが始まると、ラ・プラタ競馬場と同様に、5600万ペソから7700万ペソと売り上げが落ちました。ポーランド戦が行なわれた11月30日は、普段より1000万ペソ近くも減りました。

「でも、メキシコ戦とオーストラリア戦の日の売り上げは7000万ペソを超えてるし、頑張ったほうじゃない?」と反論できるかもしれません。

いいえ、頑張れてないんです。

メキシコ戦とオーストラリア戦が行なわれた2日間は土曜日でした。10月から12月までにおける土曜日のサン・イシドロ開催の売り上げを抜粋すると、以下のようになります。

【サン・イシドロの土曜開催比較】
12月03日 70,445,767ペソ(オーストラリア戦)
11月26日 77,062,002ペソ(メキシコ戦

----- WC期間 -----
11月05日 131,181,034ペソ(GⅠデー)
10月29日 96,410,866ペソ
10月15日 166.982.374 (GⅠデー)
10月01日 81,281,248ペソ

GⅠデーを抜かしても、ワールドカップ前の土曜日の売り上げは8100万ペソ、あるいは1億ペソに迫る勢いです。試合が重なった日の売り上げは、いつもの土曜開催の約20%減でした。


いかがでしたか? ワールドカップがあるから競馬開催を中止する、ワールドカップのせいで馬券の売り上げが落ちるというのは日本では考えられないことです。それだけアルゼンチン人はサッカー・ジャンキーなのであり、日本サッカーがワールドカップで上位に進むためには、こんなサッカー・ジャンキーを倒さなければならないんです。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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