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読書の記録 湊かなえ『告白』

 私が小説を書いてみようなどと考えるきっかけをくださったのが湊かなえさんです。お会いしたことはありませんが、勝手に先生とお慕い申し上げております。先生とは、いずれ、どこかで作家としてお会いする。ということを私は勝手に先生と約束しています。その約束がぼやけてしまわないように、定期的に先生の本は読まないといけません。
 
 しかし、後味の悪い小説でした。イヤミスの女王と呼ばれるだけのことはあります。これがデビュー作なんですね。先生とお慕い申し上げているにもかかわらず、私は先生のことを実はあまり知らないのです。

 後書きで映画監督の中島哲也さんが書いていますが、登場人物それぞれの「告白」には「嘘が混ざっているはずだ」と。私もそのように思いました。全員が全員、おそらく、自分に都合のいいように事実を改竄していると思います。現実でもそうじゃありませんか。自分が悪くないこと、悪いのは◯◯であることを立証するために、自分が悪いかもしれない証拠となるものは上手に隠蔽します。責任は押し付けられるところ押し付けます。自分にも、そういうところがあり、それが果てしない恥辱であるからこそ、それを平気でやってのける立場のある輩のことが許せなかったりするものです。

 『告白』の登場人物たちも、きっと嘘をついていると思いますが、それを追求したところで何も変わりませんし、そういう読み方はしません。ただ、読んでいる私に都合のいいように解釈するならば、いちばん最後、物語の最後の最後の森口先生の最後の告白は、私は嘘だと思います。私はそう読みました。読み手に判断を委ねるところも、湊かなえさんの作品の魅力なのかもしれません。これからもっと読みますわ。

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