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バイデンの演説の翻訳比較その7

バイデン大統領就任演説について、新聞各紙がどう翻訳したか?を調べています。今回取り上げるのはコチラ。

I have just taken the sacred oath each of these patriots took- an oath first sworn by George Washington.
But the American story depends not on any one of us,not on some of us,but on all of us.
On "we the people" who seek a more perfect Union.

今回、英文を読んでいて意味がわからないなりにぐっと感じるものがあったのが、
But the American story depends
not on any one of us,
not on some of us,
but on all of us.
のところです。

ちゃんと意味はわからないなりに、三段オチになっていることがわかります。(三段オチと言っていいのかはわからん)一段目二段目は「not」で否定しておき、三段目には「not」がないので、Aは無し、Bは無し、しかしCなんだ!と語りかけていることがわかります。
なんとなく、バイデンの熱弁を想像できます。さてさて各紙はどんな風に翻訳しているのでしょうか。

※上記の続きである On"we the people"who seek a more perfect Union. まで含めた訳を書きます。

●「京都新聞」
米国の物語を紡いできたのは一部の人間ではなく、より完璧な団結を追求する「われわれ人民」全員だ。

●「読売新聞」
米国の物語を決めるのは、私たちのだれか一人でもないし、何人かでもない。私たち全員なのだ。決めるのは、より完全な連邦を求める「私たち国民」だ。

●「朝日新聞」
米国の物語は、私たちのうちの一人や、一部の人に懸かっているのではありません。私たち全員、つまりより完璧な連邦を求める「われら人民」に懸かっているのです。

●「産経新聞」
米国の物語は、私たちのうちの誰か一人によるのではなく、幾人かによるのでもなく、より完璧な団結を求める私たち国民にかかっている。

●「日経新聞」
米国の歴史は一人や数人ではなく、より完全な融和した米国を求める国民全体にかかっている。

並べてみると、同じ英文の翻訳なのにこうも変わるものかと驚きます。「京都新聞」と「日経新聞」はバイデンの熱弁ぶり(勝手に私が想像してるだけですが)を削ぎ落としてしまっていて残念です。合理化を進めるがゆえに「のりしろ」まで無くしてしまったがために有事に対応しきれなくなった我が国の医療体制のようでもあります。私なんぞは昔っからその「のりしろ」の部分で生きてきていますので、「京都新聞」と「日経新聞」の所業を許すわけにはいきません。こんなことなら、リンカーンのあの「人民の、人民による、人民のための政治」という名言も「人々が自分たちのために自ら行う政治」などと訳しかねません。名言がある程度「翻訳ありき」で我々日本人に伝わっていることがわかります。

「読売新聞」「朝日新聞」「産経新聞」はその点を踏まえた訳をしています。前回まで全然よくなかった「産経新聞」が今回に関してはいちばんリズムがあってよい気がします。

同じことを伝えたくても、言葉一つ、リズム一つ違うだけで伝わり方がずいぶんと変わってしまいます。気をつけなければなりませんね。

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