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1人目の客になれた話 安満遺跡公園編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。何度も何度も同じ話を書くから辟易している方もおられるかもしれませんが、先週の明石家電視台の「さんまの小耳に挟ませたい!」でこの趣味について話し、見事、「大耳」を獲得し、その際、中川家の剛さんには「是非全国に活動を広げてほしい」というありがたい言葉をいただきました。

 ならば京都から外へ出ることも厭ってはなるまい。本当は今日は京都市内、松ケ崎にスーパーのLIFEがオープンするのでそちらへ行くという選択肢もあったのですが、午前9時前、阪急大阪梅田行きの特急列車に乗りました。
 今日は午前10時から高槻市にある安満遺跡公園にて、「パエリアサミット2024」なるイベントが開催されます。
 スペイン料理の代表格で世界三大炊き込みご飯の一つ、パエリア。日本にもパエリア作りに長けた料理人が数多存在するらしい。スペインではパエリア世界一を決める世界大会が毎年開催されていて、今年で63回目!世界各国の予選を勝ち抜いた45チームが腕を競い合うスペインで最も古い食のコンクールなんですが、今日明日、安満遺跡公園で開催される「パエリアサミット2024」では、この世界大会への出場をかけた選考会が開かれるのです。選考会には日本各地から19チームが出場し、すべてのチームに同じ食材が配布され、定められた2時間半の制限時間内に15人前のパエリアを作り上げます。パエリア界の海原雄山、山岡士郎らが勢揃い、東北からはパエリア界の弁慶高校が徒歩で高槻入りしたといいます。大会で作られるパエリアはすべて審査対象になるため、我々一般人が食べることはできませんが、会場は一般公開され、料理人たちの熱き戦いを鹿賀丈史の気分で観ることができます。

 そのパエリアサミット2024の1人目の客にはどうやったらなれるのか、それはわかりませんけど、海賊王になるといってとりあえず出発したルフィの如く、私もとりあえず高槻市駅へ向かいました。ONE PIECEのことをろくに知らずに例えに使ってしまいました。ごめんなさい。

 高槻市駅を降り、道標に従い、安満遺跡公園へ歩く。令和3年にできたこの公園はどうやら高槻市の中心部にある、市にとっても重要な観光拠点であるらしく、十歩歩けば道標にぶつかるというくらい親切に道順を教えてくれているのでさすがの私も迷うことなく到着できました。

 甲子園球場5個分の広さと聞いていましたが、確かにめちゃくちゃ広い。狭い京都に住んでいると余計に広く感じます。下京区まるごと入るんじゃないかというくらい。安満遺跡公園は結局どこにあるんだろうか、とあくせく探していたら知らないうちに園内に入ってしまっていた私はまさに手のひらの孫悟空状態であったといえる。

とにかく広い安満遺跡公園


 パエリアサミット2024はこのだだっ広い公園の東の広場が会場で、私は午前9時40分頃に到着していたのですが、入場ゲートがあるわけではないので、イベントが幕を開ける午前10時にスタッフの方から「いらっしゃいませ〜!あなたがパエリアサミット2024の1人目のお客様です〜!」などと歓待を受けるわけではありません。なんとなく、ぬるっとイベント会場に入り込むことができてしまいました。
 後ほどフラメンコショーなどが開かれるであろう特設舞台の前は日除けの屋根があり、その下では既に家族連れやカップルたちが寛いでいます。これではイベントそのものの1人目の客であると言い張るのには無理がある。

特設ステージ



 特設ステージの隣では、能登半島地震被災地を応援するチャリティーパエリアが作られており、これは1.5mの大鍋で1000人分のパエリアを作り、1000円以上の募金につき、パエリア一人前をいただけるというもの。大鍋と聞いていたので、私は勝手に15mほどの巨大鍋を想像していたので思いのほか、小さくて拍子抜けしてしまいましたが、それは私の頭の中が悪い。これも一種の蛙化現象でしょうか。全然ガッカリはしていませんが。

十分でかいお鍋とパエリア


 
 チャリティーパエリアが完成するのにはまだ時間がかかるらしい。
 巨大鍋を囲むようにして、キッチンカーや飲食店のブースが軒を並べています。この出店ブースのうちの何店舗かの1人目の客になれれば、と思い、やってきたのです。ながらく脱線してごめんなさい。
 もうすぐ午前10時というところですが、炭火焼きのお店などはまだまだ火おこしに時間がかかりそうです。陳列に手間取っているブースもあります。ワインのお店の準備が整っているようだったのですが、白ワインはまだ冷えていないため、赤ワインのみの販売とのこと。構いませんよ、と種類もよくわからないのにメニューに書いてある固有名詞で堂々と注文してみました。1人目のお客様だから、とどうやら少し多めに入れてくれたらしい。

令和6年6月1日、午前10時に幕を開けたパエリアサミット2024にブース出店している「マスマススペイン」の1人目の客は私です。

赤ワインで乾杯❤️
11月にイベントを開催されるとのこと。
そっちも1人目の客になりたいな。



 場内アナウンスで「大鍋のパエリアを薪で作っております」と言っていたのですが、私は「薪」を「巻き」だと思ってしまい、「そうか、急ぎでパエリアを作っているのか、大変だな」と思ってしまいました。ラジオのお仕事をしている弊害、一種の職業病といえるでしょう。

 ブースは17店もあるらしいので、どうせなら他の店の1人目も狙いたいのですが、炭火焼きの店はまだできあがる気配がありません。もしかして注文してから作るスタイルなのかもしれませんが、それにしても火がおこっている気配もないので別のブースを物色してみると、唐揚げやコロッケなどなんとも美味しそうな揚げ物が並んでいるブースを発見しました。
「いけますか」と聞くと「大丈夫です」とのことだったので、唐揚げを注文。「僕、1人目の客ですかね」と聞くと「そうですよ」と答えてくださり、私のTシャツにも気づいてくださいました。一通り、趣味について説明すると大変面白がってくださり、幸せとはこのことか、と唐揚げを食べる前にそれを噛み締めました。どこのお店とおっしゃっていたか、忘れたのですが、発酵惣菜のお店です。

令和6年6月1日、午前10時に幕を開けたパエリアサミット2024にブース出店している「発酵惣菜店オメカシ」の1人目の客は私です。

とても感じのいいお姉さんです
発酵惣菜いっぱい



 勢いに乗った私は「発酵惣菜店オメカシ」の四軒か五軒隣りの「エチョラ」というお店の1人目の客にもなりました。こちらは3個1000円のピンチョスを販売されていて、その種類の豊富さときたらダルビッシュの変化球のバリエーションを軽く超えるほどです。こちらは本町にお店があるらしいです。

ピンチョスを持ってます
これでエチョラと読むらしい



 チャリティーパエリアは12時に販売開始するらしい。せっかくならこれも1人目に買ってやろうと思い、受付のところに待機しておりますと、スタッフの女性の方が「うわ!1人目の客って書いてある!めっちゃおもろいねんけど!ちょっと2ショ撮って!」と、隣の男性スタッフにスマートフォンを渡し、私の隣にやってきました。このあと食べるチャリティーパエリアと、この写真撮影の思い出だけでしばらく何も食わずに生きていけそうな気がする。インスタグラムもフォローしてくださいました。もうあまり面白くないことは投稿できない。「うそ、まじで。稲ちゃんと撮ってるやん」「こないだ明石家電視台に出たときに撮ってもらったんです」「ていうか、喋り方も似てるやん」「骨格が似てると喋り方も似るんかもしれないですね」「声も似てるー」

愛しかない。
顔が俺の半分もない。



 その後も、何人かのスタッフさんと一緒に写真を撮ってもらう。情熱の国スペインのパエリアに魅せられた皆さんだからなのか、そんなこと関係ないのかわかりませんが、皆さん、面白いものを面白いと思うことに躊躇いがありません。こういう感覚を私もずっと持ち続けていたいな。なんでも「面白くない」と言うのは簡単なのだ。世の中は、面白いと思えば面白い。簡単なほうに転がっておいて顰めっ面していたらどんどん面白いことは逃げていってしまう。そういう空気からはなるべく離れて生きていきたい。

 購入した際、「いま、1人目のお客様がチャリティーパエリアを購入されました!」とアナウンスがあったのが実に気持ちよかった。
 
令和6年6月1日、午前10時に幕を開けたパエリアサミット2024にて能登半島復興支援チャリティーパエリアを1人目に購入したのは私です。

 パエリアサミット2024は明日も安満遺跡公園で開催されています。
 

チャリティーパエリア
美味しかった❤️

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パエリアサミット2024について詳しくはこちら。

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