人間と同じですよ!
最近Aさんが関わった話を書くことが減っている事にお気づきだろうか?
以前ツイッターかブログで少しだけ触れた事があったかもしれないのだが、実はAさんは現在病気療養のために入院している。
かなり厄介な病気のはずなのだが本人はいたって元気であり、コロナ禍という事でお見舞いにはいけないのだが毎日のように俺や姫ちゃんの元には
お腹空いた~!
というメールが頻繁に届いている。
まあ個人情報という事で、病名や状態、そして退院時期などは話せないのだが、本人はさっさと退院して復職し、また金箔関係の副業をやりたいと思っている様だ。
しかし、明らかに病気によって霊的な力は弱まっている様で、本人曰く
今できる事といえば、入院しているこの病院から霊を根絶させるくらいの事ですかね・・・。
と宣っているが、まあそれ自体がとんでもないことだと思うのは俺だけだろうか?
で、話は戻るのだが、そんなAさん不在の中、富山の住職から助けを求められたことがあった。
富山の住職でも対応しきれない悪霊。
そんなモノが住職の知人の寺に棲みついているという事だった。
勿論、住職もAさんの病気の事は分かっている。
だから、姫ちゃんに助けを求めようとしたのだが、姫ちゃんは基本的にAさんの許可なしには動かない。
そして、そんなAさんの返答はといえば、
姫ちゃんは今、仕事の研究部門で大変な時期なんですから、余計な仕事を増やしちゃダメですから。
それにお坊さんもそれだけの力を持っているんだったら何とか出来るんじゃないですか?
以前はあんなに自信過剰な憎まれ坊主だったのに、変わっちゃったんですね?
という冷たいものだった。
まあ、確かに以前の住職を知っている俺からしても、「もっと頑張れよ」と言いたいところではあったが、俺と会った時の住職はかなりボロボロの状態であり、とてもそんなキツイ台詞を投げかける気持ちにはなれなかった。
そして、住職は俺からAさんに頼んでみてくれ、と懇願してくる。
住職としても何とか知人のお寺を護ってやりたいという思いなのだろう。
だから、俺はなんとかAさんと電話で話す機会を持った。
そして、その時にAさんから言われたのが以下のような言葉だった。
そこまで言うのなら姫ちゃんじゃなくてKさんが力になってあげれば良いじゃないですか?
親友でしょ?
それなら命の一つや二つ投げ出さないと!
そう言われた俺はすぐに
あのさ・・Aさんって俺の本質を知ってるでしょうが?
気も練れないし読経も覚えられない・・・。
そんな俺が力を貸したって焼け石に水だから。
Aさんだっていつも言ってるじゃん?
お荷物とか雑用係ってさ。
そう返した。
すると、Aさんは
いいえ、違いますよ!
焼け石に水、ではなくて焼け石に熱湯、いやサツマイモみたいな感じですかね?
まあ、それはいいとして、実際Kさんもお坊さんも今までの経験の中で一体何を見てきたんですか?
現世にいるのはほんの一握りの悪霊と数えきれないほどの善なる霊です。
そして、いつも言ってるじゃないですか?
人間も霊も元々はおんなじだって。
そしてね・・・力が強いのは悪霊だけではないんですよ。
善なる霊の中にも凄まじい力を持った強い霊がいます。
それこそKさんの背後にいるお姉さんよりももっと強力な霊も・・・。
もしも、道を通りかかって誰かが虐められていたらどうします?
まあ、きっとKさんなら自分の能力も顧みずに助けようとするんだと思いますけどね。
確かにKさんが助けに入ったとしても何の助けにもならないのは間違いないんですけどね。
でも、その場に通りかかったのがKさんじゃなくてもっと屈強な格闘家や自衛隊員や
警察官だったらどうなります?
きっと虐めていた奴は後悔する事になるんですよね。
つまりそういう事です。
Kさんやお坊さんに力が足りないのならばそんな霊たちに助けを求めればいいんです。
人間の中にも悪いことが許せない者がいるのと同じで霊の中にもそんな悪行を見逃せない強力な霊もいます。
もしもKさんやお坊さんがこれまで善い霊達に対して真摯な姿勢で対応していたとしたらきっと助けてくれると思いますけど?
と返してきた。
それを聞いた俺は、
確かに以前からそんな話を何度も聞かされてるから、頭の中では理解しているつもりなんだけどね。
本当にそんな事が可能なの?
と返したがすぐにAさんがこう返してきた。
馬鹿なんですか?
あっ、馬鹿でしたね。
それじゃ説明してあげますけど・・・。
いつも言ってるじゃないですか?
人間も霊も同じだって。
明るく親切だった人間が突然死ぬと性格まで変わるんですか?
善人が亡くなったら即、悪霊になったなんて聞いたことがありませんから。
悪霊は何らかの邪魔が入ってあの世に行けなかったのが殆どで、その他のは恨みや辛みを持ったまま死んだ奴が、生きている人間が恨めしくて道連れにしようとか酷い目に合わせてやろうと思ってこの世にわざと残った奴らです。
そして、悪霊でもないのにこの世に残った霊というのは大切な裳の何かが心配で寄り添い助けたいと思ってこの世に残った方たちです。
その中には人間と同じで、視て見ぬふりをするモノもいれば、我慢できずに行動するモノだっていますから。
でも、やり方がわからないというのなら私が力を貸します。
遠隔で悪霊と対峙するのは無理だと思いますけど、それくらいなら問題ないと思いますから。
まあ、あとは私が何とかしておきますから、Kさんとお坊さんは軽い気持ちでそのお寺に行けばいいですよ・・・。
そう言ってAさんは電話を切った。
そして、それから数日後、俺と住職はそのお寺を再訪した。
完全防備で・・・。
しかし、笑ってしまうくらいに何も起きない。
いや、空気が澄んで清々しささえ感じられた。
おい・・・・何も起こらないじゃん?
どうなってるんだよ?
と問いかける俺に住職は、
いや、ワシの方こそ聞きたいわい・・・。
あれだけ荒らぶっていたのに・・・・なんでだ?
と聞き返してくる始末。
結局、そのお寺の住職の話によれば、ほんの数日前に何かひどく荒れた日があったらしいがそれ以来、お寺は以前にもまして平穏な状態に戻ったとの事だった。
これで一件落着という事になったのだが、それから数日後、俺の元には
相談料、交渉料、などの名目が書かれた差し入れ希望リストのメールが届いたのは言うまでもない。
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