発売日前日に思う事

いよいよ明日、12月27日に闇塗怪談の10巻目であり最終巻である
『終ワラナイ恐怖』が発売になる。
いや、どうやら既に本が手元に届いていらっしゃる方もいる様なのだが
今回の最終巻に関しては出版元である竹書房さんもいつもにも増して
販促に力を注いでくださっている。
つまり俺としては絶対に失敗では終われないという事だ。
買って読んでもらう為に書く作家としての失敗と言えば、やはり「売れない」
という事が一番最初に頭に浮かんでくる。
ただ、確かに売れるに越した事は無いが、今回の本には俺自身、並々ならぬ心血
を注いできた。
自分自身が会社でブログを書き場しめた頃からの読者さんや新たに始めたブログの
読者さんに支えられている物書きなのだという事は誰よりも自分自身が自覚している。
それは本当にありがたく感謝してもしきれないという思いがあると同時に、そんな
読者さん達の為にももっと物書きとしての地位を確立し、他の作家さん達にも
認められるような作品を書かなければ・・・。
そんな思いが強かったからだ。
だから第2巻以降にはあえて自分の身の回りで起こる怪異は出来るだけ書かないように
してきた。
それは最後の最後に自分の全てを吐き出し悔いの残らない作品にしたかったからだ。
そして、自分の全てを吐き出すという事は自分の恥部や情けない部分も全て
曝け出すという意味でもある。
そういう意味では今回の作品は自分としては本当に満足のいく作品に仕上がっている
と自負したい。
親戚や実家、そして家族からも止められた話を敢えて書き綴った。
そのせいで白い眼で見られた時期もあったが、そんな事は正直どうでも良かった。
自分が書きたい話だけを厳選してじっくりと書き綴る事が出来たし誰かに知って
欲しいと心の奥で思っていた話もしっかりと書くことが出来たのだから、ある意味では
もう思い残す事は無いという気持ちである。
ただ今作の執筆には本当に多くの時間を費やした。
すぐに体調が悪くなってしまう・・・。
長い時間書き続けられない・・・。
数台のパソコンを駆使してもなかなか保存が出来ない話が多かった・・・。
そして、我が家の中だけでなく親戚や実家においても怪異が頻発してしまった。
とある話をパソコンに向かい書いていると目の前で勝手に文字がタイピングされる。
ここでは書けない様な汚い言葉や危険な言葉ばかりを・・・。
それを目の当たりにしていると、霊の存在など信じない、とかどうせ創作だろう、
というコメントやレビューが滑稽に思えてくる程だ。
怪異は実際に俺の目の前で起きた。
数えきれないほどに・・・。
そして、それは家族や親戚の目の前でも・・・。
目の錯覚だとか気のせいだとか集団催眠だとか何かと理由付けをしたがる方も
多いのかもしれないが実際に体験してみれば分かる。
幽霊は確かに存在するし怪異も実際に起きるものなのだ。
それを信じられない者はそれ以上の恐怖を感じられずに生涯を終えるのだろうし
信じる者には更なる恐怖が訪れるのだと思う。
霊も怪異も意思を持っているのだ。
きっと信じない者の前には永遠に現れる事など無いのだろう。
勿論、今作の中にも読み手に実害を伴わせる様な話は一切収録されてはいない。
しかし、少しばかりの怪異ならば起こり得るかもしれない。
もしも、そんな事態に遭遇した際には目を逸らさずに怪異と向き合って貰いたい。
これが怪異なのか・・・。
なるほど・・・確かに説明がつかない現象だな・・・。
そんな感じで冷静に対処していただきたい。
そうすれば怪異はきっとあなたにもっと近づいてくれるかもしれない。
勿論、怖いものは怖い・・・・でも構わない。
ただ敵意だけは持つべきではない。
怪異も意志を持っている。
相手の敵意は簡単に感じ取ってしまうのだから。
と、ここまで書いてきたのはあくまで読み手側に起り得る話。
書き手である俺は今回ばかりは本当に恐ろしい思いを何度もした。
それはいつもとは違い深夜にも執筆を続けた事にも原因はある。
過去に何度も深夜の執筆中に怪異に邪魔されたり驚かせられたりした教訓から
午後10時以降は怪談の執筆はしない事に決めていた。
しかし、今作を書くにあたりそのルールを一時的に撤廃した。
それは、深夜という時間帯は感性も研ぎ澄まされるし人的な邪魔も入り難い。
そして何よりも自分が何かに怯えながら書く文章には説明のつかない恐怖感が
宿る事があるからだ。
そして、それは今作をより恐ろしい作品に仕上げる事には役に立った。
しかし、次回作があるのなら、再び午後10時以降は書かないというルールを
復活させるつもりだ。
あまりにもその代償が大き過ぎるから・・・。
今作の執筆中に見つかった病気は二つ。
それはすぐに死ぬと状態ではないかもしれないが逆に言えばいつ突然死しても
おかしくないという状態であった。
そして、
・知らぬ間に寝落ちしてしまい幽霊に顔を覗かれながら揺り起こされる・・・。
・窓の外から何も音が聞こえないことに気付き窓を見ると、得体の知らない
 女が窓に貼りついていた。
・寝ていると数えきれないくらい首を絞められた苦しさで目を覚ました。
・真夜中にトイレに行こうと階段を降りていくと1階の廊下から階段を見上げる
 背の低い男が立っていた。
・寝る時に聞きながら寝ている音楽が真夜中に目を覚ますと読経の声に
 変わっていた。
などなど枚挙に暇が無い状態だった。
とにかく毎日が怪異との戦いと言っても過言ではなかった。
そんな中で何とか書き上げた闇塗怪談『終ワラナイ恐怖』
その全てを知りたければ来年1月1日にNOTEにアップする有料記事、
『闇塗怪談・裏』も合わせてお読みいただければと思っている。
色々と書いたが、今作が現時点での俺が提供できる最大限の恐怖になる。
それが読み手である皆さんをほんのひと時でも怪異というアナザーワールドへ
連れていけたのなら作家冥利に尽きるというものだ。
私の全てを曝け出した今作。
読み手である皆さんも固定観念も思い込みも全て捨てた裸の状態でお読みいただければ
幸いである。

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