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シンガポールの良いところ8つ、イマイチなところ4つ(後編)

昨日の続きです。今日は、僕が感じたシンガポールのイマイチな点について。

①統制が強い

よく冗談で「明るい北朝鮮」などと言われますが、実際シンガポールでは、人民行動党による一党独裁的な政治が行われています。政府に対する批判的な言論、報道は規制されていて、デモや大規模集会も基本的に不可です。

これが顕著に表れたのがコロナ対策。国内で感染が広がると、企業には従業員の出社停止を義務づけ、個人にはGPS付きアプリのインストールや、人と会う回数や人数まで細かく制限がかかりました。

僕は日本に一時帰国していたので一番厳しいときは経験していませんが、この間滞在していた日本人(特に単身者)の方たちからは、本当にきつかったと聞きました。

海外から入国する際の隔離も厳しく、ホテルの部屋から文字通り一歩も出られない状態で2週間(長いときは3週間)です。僕は半年の間に2回、合計5週間やりました。毎回の食事も部屋の前に弁当が置かれ、人と一切接触しない異様な経験でした。

普段は怖さや不便を感じることはほとんどないのですが、コロナのような緊急事態になると、やはりこの国は統制国家なんだと思い知ることになります。

ただ面白いのは、多くの国民が若干の不満を持ちながらも、現体制を支持していることです。きっと、人口が少なく資源も持たない小国がここまで発展するためには、「開発独裁」が最適解だったことを理解しているのでしょう。

実際、シンガポールの政府や国営企業は、国内でもトップレベルの頭脳集団によって切り盛りされていて、役所の手続きなども恐ろしく効率的です。国家財政も世界で有数の健全性を誇ります。

何も決められない日本の政治(我々国民の責任も大きいと思うけど)を見ていると、自由すぎる民主主義が本当にベストなのか、ということすら考えさせられます。

②四季がない

シンガポールにも一応季節はあります。「暑い」と「くそ暑い」です。

夏が好きな人には最高ですが、蒸し暑さが嫌いな僕にとってはデメリットでした。常に半袖・短パンでいいのは楽なんですけどね。

やっぱり四季があるって、素晴らしいことです。日本人の繊細で奥深い感性は、季節の移ろいを愛でる心から発達したんじゃないかと思うぐらい。

常に暑くてあまり服装にも気をつかわないので、オシャレな人も少ない気がします(ユニクロしか着ないお前が言うな、という話ではありますが)。

あと、これはシンガポールで暮らして初めて気づいたんですが、季節がないと記憶を呼び起こす重要なタグがなくなります。

どういうことかと言うと、僕らは過去のできごとを「あの日は大雪が降っていた」とか「桜が満開の季節だったよね」みたいな、季節が織り込まれた情景とともに記憶しているんですよね。

それがシンガポールだと常に同じような気候なので、いつのことだったかを思い出しにくいのです。やっぱり季節感って重要なんだなと実感しました。

③国土が狭い

飽きます。

僕が長期滞在してきた日本、アメリカ、イギリスは、どこも国内にたくさんの見どころがありました。シンガポールは東京23区ほどの広さしかなく、しかも北半分には行くこともほぼないので、行動範囲はめちゃくちゃ狭いです。

東南アジアの国々に旅行にいくには便利なのですが、コロナでここが制限されているのは本当に痛いです。

④物価が高い

転職や移住を考える上での最大のネックでしょう。

まず土地がないので、家賃が恐ろしく高いです。立地にもよりますが、家族で住める駐在員向けコンドミニアムは安くても20万円以上、日系企業の駐在員は平均40-50万円ぐらい、外資の駐在員だと50-70万円ぐらいのところに住んでいます。

これだと現地採用で家賃補助がない場合、住むために働く状態になりかねません。ローカルの人たちが住むような集合住宅をルームシェアしたり、といった工夫で家賃を抑える人も多いです。

あとは、車が死ぬほど高いです。渋滞緩和のために台数が増えないように税金がかけられていて、カローラで1000万円以上と言われます。その分、電車、バス、タクシーが安いので車は不要なのですが、それでもBMWやベンツが当たり前のように走っているのが恐るべしです。

続いて教育費。永住権があれば公立の学校に通えるため安いですが、インターだと年間300万円ぐらいかかります。駐在員で教育費補助があれば別ですが、自腹ではきつい。日本人学校でも70万円ほどなので、日本であれば私立レベルです。

その他のコストは、生活のしかた次第です。ちゃんとしたレストランで食事とお酒を頼むと、日本の2~3倍ぐらいかかります。ただ、ホーカーセンターと呼ばれる屋台街のようなところなら、数百円で済みます。

総合すると、家賃補助と教育費補助がもらえる駐在員であれば、プール付きのコンドミニアムで南国暮らしが満喫できます。一方で、補助なしの現地採用だと、家賃と教育費をどうするかが難題になるでしょう。

まとめ

以上、僕が思うシンガポールのイマイチなところでした。

もちろん感じ方は人それぞれですが、良いところ8つ、イマイチ4つ、という数が表しているとおり、僕にとってはとても住みやすく、大好きな国のひとつです。

実際に、始めは駐在で赴任してきて、数年暮らすうちにシンガポールが気に入って、現地で転職して永住している日本人家族もたくさんいました。

ビザ取得が難しくなってきているのが気になりますが、日本人が暮らす上で最もハードルが低い国のひとつであることは間違いありません。ご興味ある方は、ぜひ検討されてみてください!

それでは!

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