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焚書 食糧戦争

紛争、異常気象、謎の食糧倉庫の火災多発、温室効果ガス削減をお題目にした政府による農業の圧迫など人為的に食糧危機へ誘導されている昨今、食料自給率が30%台といわれているにも関わらず、戦後一貫して行なってきた減反政策にも飽き足らず、食料自給率が向上するような施策も取らずに農家を痛めつけており、日本政府は世界の潮流に続けと、田から畑に転作すれば奨励金、牛乳を輸入しながら日本の酪農家が生産した生乳を廃棄させ、牛を殺せば奨励金。

『食糧戰爭』( 丸本彰造著/新大衆社 / 昭和 19 年 8 月)は、連合国軍総司令部により焚書指定された図書である。
著者は帝国陸軍主計少将だった方で、栄養知識、食材管理、調理法等の知識が豊富で、兵士の食料管理もしていたとか。
台湾危機が現実味を帯びており、実際に紛争が起きて日本に物資が入ってこなくなれば、「腹が減っては戦はできぬ」の諺のとおり、どれだけの武器弾薬があろうとも兵士・国民が飢えて戦争に勝つことはない。
第一次大戦におけるドイツの敗戦は、イギリスによるドイツの経済封鎖が生み出した食料危機がその根本原因。
日本政府が真剣に安全保障を考えるならば、本書を読んで現状の施策を再考してもらいたい。

食糧戰争
 
 序
 
 今日、我々國民としての最大任務は、大東亜戰争に勝ち抜く、といふことである。從って我々は日常生活のあらゆるものを勝利に貢献するやう工夫刷新せねばならない。わけても國民食生活を、戰勝に役立つやうに改善することは、最も必要であり、急務である。
 私は、前欧洲大戰は食糧に始まり、食糧に終った戰争だと観察して居る。つまり、苛烈なる食糧戰争である。「食糧は戰争の勝敗を決する」「最後は食糧だ」これは交戰各國が前大戰から身にしみて體得せる貴き教訓であるが、今次大戰に於ては双方共このことをモットーとして「食糧の確保」といふことには萬全を期して居る。
        ○
 食糧は、戰力國力の源泉であって、兵器弾薬に優るとも劣らぬ重要なる國防要素である。何故ならば、その需給の適否と國民栄養の良否とは、直接戰局に重大なる影響を及ぼすものだからである。
 由来我國は、食糧の豊かな國である。しかも今日、皇軍將兵の勇戰奮闘により南方の豊富なる食糧は、次第に我が共栄経済圏内に編入されつつあり、前途まことに洋々たるものがある。然りと云って、我々國民は徒らに楽観すべきではない。大東亜戰争最後の勝利を確保するまでは、 民需食糧の輸入は控へ、一隻でも多くの船を軍用に當て、極力國内で産する食糧だけで、生活を維持するやうにしなければならぬのである。
 ここに——今日最も喫緊とされる、食糧國内自給體制の確率が要望される所以がある。
        ○
 我々國民は、断じて米英撃滅最後の日まで、火の玉となって突撃又突撃せねばならぬ。それがためには、「必要の最小限の食糧で満足し、これを合理的に調理して、簡素ながらも健康なる食生活を続けていくこと」が、毎日の食生活を通じて、勝利に貢献するの秘訣であり、要諦である。言葉を換へれば、銃後の食糧戰争に於て前線將兵に劣らぬ赫々たる大戰果を擧げることである。
        ○
 今日、我々國民の老若男女一人残らずが、食糧戰線の兵士たることは、最早云ふまでもあるまい。兵士たるの鐡石の決意、不撓不屈の實践力に對して、特に左の歌を私は心の食糧とされんことを望む。
      草を食みて旣に十日餘兵らなほ
         勝ちいくさ信じて健氣にも戰ふ
 これは、銃後國民より遥かに乏しい食糧で、半カ年に亘る苦しい戰闘に堪へたガダルカナル島の一中隊長の詠んだものである。
        ○
 本書が、銃後食糧戰線に大戰果を擧げる上に於て、些かなりとも貢献するところあれば、以て望外の欣びとする次第である。
   昭和十八年十二月
                        東京・荻窪の寓にて
                                丸本彰造
                                
      目次
 第一章 戰爭と食糧
   一、 米英への積極攻勢     1
   二、 前大戰の各國食糧     11
   三、 食糧教育の重要性     22
 第二章 農村の確立
   一、 農村は國の本       32
   二、 民族増強の基地を守れ   40
   三、 戰時下の農村食      48
 第三章 食糧の開發
   一、 戰時食糧の方向      61
   二、 新興食糧開發の指標    67
   三、 休閑地活用の問題     95
 第四章 決戰食生活
   一、 食品の總動員體制     107
   二、 健兵健民と玄米食     111
   三、 戰時食としてのパン    128
   四、 玉蜀黍とライ麥      151
   五、 雜食、混食の勵行     163
 第五章 食糧と調理
   一、 食糧心理の善導      172
   二、 食糧知識に就て      176
   三、 無駄防止十ケ條      186
   四、 無駄無し調理問答     208
   五、 調理の精神に就て     228
 第六章 食物と人生
   一、 今樣桃太郎の話      235
   二、 食物と人生        238
   三、 大和心と梅一樹      243
   四、 昆陽神社に詣でて     248
   五、 空襲下の食糧       253
 第七章 勝利への道
   一、 獨伊の食糧戰線を觀る   262
   二、 食糧戰爭に徹せよ     271
 第八章 結收
   一、 東條首相の食糧戰陣訓   278
   二、 絶對不敗の態勢へ     284

『食糧戰爭』( 丸本彰造著/新大衆社 / 昭和 19 年 8 月)


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