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都庁で働くデジタル人材:東京のデジタルツインを作る編

7月に発生した静岡県熱海市の土石流災害の際、産官学の有志により3D点群データなどのオープンデータが活用され、災害の実態について早期に解析が進んだことが話題となりました。

東京都でも3Dデジタルマップを活用し、サイバー空間に東京の「デジタルツイン」を構築し、様々なデータを掛け合わせることで、現実空間にフィードバックしようとする「デジタルツイン実現プロジェクト」が進行しています。

今回は、都庁でオープンデータに取り組んできた民間出身のデジタルシフト推進担当課長の清水直哉さんに、「東京のデジタルツイン」の取組についてお話を伺いました。

まずは自己紹介から

図3

―――清水さんは都庁に入る前はどんな仕事をしていましたか?

ISP(インターネットサービスプロバイダ)で、Webサービスやスマホアプリの企画や運用に携わり、その後、ITベンダのスマートシティ部門で、自治体や地域でのデータ活用のあるべき姿と新しい事業を模索していました。

―――清水さんが都庁に入ったきっかけはなんでしょうか?

スマートシティ部門に所属していた2017年に、東京都で「ICT先進都市・東京のあり方懇談会」が始まり、動向を興味深くウォッチしていました。

そんな中、東京都がICT先進都市実現に向けて、民間から特定任期付職員を公募しているのを知り、都の職員として、ICT先進都市・スマートシティを実現させたい!と思い、応募したのがきっかけです。

同じタイミングで民間から8人採用され、都のデジタル人材「最初の8人」と言われてたりもします。

―――清水さんはいまどのような仕事をしていますか?

入庁以来、オープンデータやデータ利活用を推進しており、昨年は新型コロナウイルス対策サイトの立ち上げや、Power BIなどのダッシュボード基盤の構築東京データプラットフォーム(TDPF)などの官民連携データプラットフォームの検討なども行ってきました。「デジタルツイン実現プロジェクト」を主にこの3人で進めています。

図9


デジタルツインとは?

―――デジタルツインとはどういうもので、何を目的としているのでしょうか?

ざっくり言うと、デジタル空間上に現実とそっくりの双子(ツイン)を作るのが「デジタルツイン」です。

製造業では、IoTセンサーなどにより装置や製品の様々なデータを取得し、デジタル空間上に現実空間の双子(ツイン)を再現し、様々な分析・シミュレーションを行うことで、製造工程のDXによる製品品質の向上新たな価値創出を目指す取り組みが進んでいます。

その対象を都市に拡張したのが、「都市のデジタルツイン」です。

海外諸都市では、数年前からデジタルツインの検討・実践が進んでおり、シンガポールの「Virtual Singapore」ヘルシンキのオープンデータの取組は有名です。東京都としても「都市のデジタルツイン」を実現し、都民のQOL・都政のQOSを向上させていくことを目指しています。

東京都の「デジタルツイン実現プロジェクト」では、国土交通省のProject PLATEAUと連携しながら都市整備局等が整備する3Dデジタルマップに、様々なデータを掛け合わせ、サイバー空間上でリアルタイムデータ等を分析・シミュレーションし、現実空間へフィードバックすることを目的としています。

図17

2030年までに、様々な分野で都や企業・都民の意思決定、都の政策立案に活用できるデジタルツインの実現を目指しています。


東京都デジタルツイン3Dビューア(β版)について

―――今回公開された東京都デジタルツインの3Dビューアの狙いについて教えてください。

デジタルツインは都庁内の関係部局はもちろん、各事業者や自治体が保有されている施設データやセンサーデータなどとも連携し、一緒に作り上げていく必要があります。

ただ、やはり言葉だけでこのプロジェクトの意義を広く皆様に伝えるのは難しいと感じています。

そこで、実際に3Dデジタルマップに東京都が持つ様々なデータを重ねることでどのように見えるのか、どんな可能性が見出せそうかを、都民の皆さまそして都庁内の関係者に対しても、わかりやすく示すための第一歩として、東京都デジタルツイン3Dビューアを公開しました。

―――特徴的な機能はどこですか?

ベースとなる3Dデジタルマップに、デジタルツインの特長でもあるリアルタイムデータをはじめ、様々なデータを重ね合わせてみることができます。

図13

図14

これまで「東京都オープンデータカタログサイト」に各局のオープンデータを掲載してきましたが、各局のデータを1つのビューアに集約して可視化するという意味では都庁で初めての試みとなります。

たとえば、河川監視カメラと浸水予想区域図のデータを重ね合わせることで、その地域の状況を把握し、水害の予防にも役立てられることを期待しています。

3Dビューア公開後、庁内からは「このデータは載せることができるのか」「どのようにデータを用意すればよいのか」「こんな業務に活用できるのではないか」というような前向きな意見を多くいただいています。

今後も様々なデータを追加する予定です。

図15

図1

―――作成にあたって苦労した点を教えてください。

苦労というわけではないですが、デジタルツインをわかりやすく示す、という目的のためにユーザーインターフェース(画面設計)にはこだわりました。

開発当初のデモ版を庁内でテストした際に、3Dで様々なデータを見られることに関して「おおっ!」という反応はあったのですが、実際にどうやって操作すればいいのかわからない、という声が多く聞かれました。

東京都デジタルツイン3Dビューアは、TerriaJSというWebブラウザだけで3Dで位置情報を視覚化できるオーストラリア生まれのオープンソースをベースに開発しています。

メニューボタンの表示等も日本語の翻訳がまだ進んでいないため、各ボタンの日本語訳も検討して作りこんでいますが、元の英語をそのまま日本語に翻訳しても、内容的にわかりにくい部分が多々あったため、わかりやすいように表現を工夫しました。

庁内だけでなく、外部の方にもインタビューも行い、ユーザーテストを実施し、メニューボタンの位置や数、日本語の表現などはリリース直前まで何度も修正しました。

とはいえ、まだまだイマイチ操作方法がわからない、というご意見もいただいており(汗)、リリース後の改善も検討中です。より良いサイトにしていくためにも、皆様からのご意見ご要望お待ちしております

デジタルツインに関するご意見・ご要望フォームはこちら

また、東京都デジタルツイン3Dビューアのソースコードは、GitHubで公開しています。


オープンデータ、東京都のデータの利活用について

―――清水さんがデジタルツインを通じて実現したい、都のデータの利活用の姿を教えてください。

デジタルツインを実現するために必要となるデータを、庁内を活用することはもちろん重要なのですが、オープンにして差し支えないデータについては、やはりオープンデータとして皆さまにデータを活用していただける状態にしておくことが、とても重要だと認識しています。

先日の第2回「東京都における都市のデジタルツイン社会実装に向けた検討会」で、静岡県庁で3D点群データの整備とオープンデータ化を進められている杉本様にご講演いただき、7月に発生した熱海市の土石流災害の際に産官学の有志によるコミュニティによってオープンデータが活用されたことで早期の検証に結び付いたというお話を伺いました。

災害対応に当たられていた土木の専門家でもある静岡県 難波副知事も、オープンデータの重要性を実感されたと述べられていますが、有事に備えた平時からのデータ整備オープンデータ化、そして産官学でのコミュニティ形成が大事であるということを改めて実感しました。

東京都のデジタルツイン実現に向けて、産官学でデータを有効に利活用できる環境と関係性(コミュニティ)を作っていきたいです。

というわけで、コミュニティ形成に向け「デジタルツイン実現プロジェクト」の関連事業である東京データプラットフォーム(TDPF) Slackワークスペース内に、デジタルツインSlackチャンネルを開設しました。

まずは場を作っただけという状態ですが、デジタルツインや官民でのデータ利活用に興味関心をもっていただいた民間企業アカデミアシビックテックの皆さま、区市町村他の自治体の皆さまのご参加もお待ちしております!

参加方法は、下記の第2回検討会の事務局資料に記載している事務局メールアドレス宛にご連絡ください。

図18


最後に

―――最後にnoteをご覧の方にメッセージをお願いします。

長くなりましたが、東京都のデジタルツインやオープンデータの取り組みに、少しでも興味を持っていただけると幸いです

再度のお願いとなりますが、デジタルツインSlackチャンネルのご参加もぜひご検討ください

最後に、自分のような民間出身者とプロパー職員の方々ががっつり連携してDXに取り組むこと、デジタルサービス局と庁内各局が連携して作り上げていくことは、やはり重要になると思います。

デジタルツイン実現に向けたコミュニティを一緒に作っていきましょう!よろしくお願いいたします。

図19

―――清水さん、ありがとうございました。
【ご意見募集】
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