「シン・トセイ」は2年半でどこまで進んだ?デジタル環境に関する満足度調査の結果をお伝えします
都政の構造改革を着実に進めていくためには、改革の現在地を定期的に調査して数値化し、その結果を踏まえて、取組をアジャイルに修正していくことが必要と考えています。
シン・トセイでは、行政手続やデジタルサービスについて、ユーザーである都民の方の満足度を調査し、海外都市と比較することで東京の現在地を把握しています。
また、都政のQOS向上のためには、行政サービスを担う職員が、効率的で生産性の高い仕事ができる環境を整えていくことが必要です。そのため、シン・トセイでは、都民の方だけでなく職員もユーザーと捉え、都庁のデジタル環境などに関する満足度を調査しています。
今回は都民・職員それぞれの満足度調査について、3回目となる2022年度の結果をご紹介し、都政の構造改革がスタートして約2年半が経ったトセイの現在地をお伝えします。
①デジタル化に関する都民の満足度調査
■海外都市と比べて総じて低い満足度
デジタル化された行政手続に対する都民の方の総合満足度は昨年度から1ポイント上昇し26%でした。海外5都市(ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル)では66%であり、昨年度に引き続き、東京の満足度は海外都市と比べて低い状況でした。
分野別に見ると、デジタル化された行政手続を利用した人の満足度は、おおむね6~7割程度ではあるものの、海外5都市と比べると未だ低い結果でした。
また、今回の調査からは、満足度をより掘り下げて把握するために、「探しやすさ」「使いやすさ」「手続に要する時間」などの要素に分けて調査しました。その結果、項目により7割近い満足度のものから、5割を下回るなど内容により上下はあるものの、こちらも総じて海外5都市を下回っていることが分かりました。
デジタルサービスの主な玄関口となる公式ホームページを比べてみると、東京の公式ホームページの認知度は8割を超えているものの、満足度では海外5都市に大きな差をつけられている状況です。
■満足度の向上に向けた取組
こうした状況を改善するべく、東京都では、すべての行政手続(約28,000プロセス)を2026年度までにデジタル化することを目指し取組を進めています。
また、先日公表した「シン・トセイ3」では、「サービスデザイン徹底プロジェクト」を新しいコア・プロジェクトの一つとして位置づけました。
使いやすいデジタルサービスの提供を徹底するために、専門家を含めた「サービスデザインチーム」の編成や都民をテスターにしたユーザーテストの実施などに取り組むこととしています。
さらに、東京全体のDXの取組を「スピードアップ」「スケールアップ」「クオリティアップ」するために、新団体「GovTech東京」を設立する構想を昨年9月に公表しました。
デジタル人材のシェアリングやソフトウェア等の共同調達の推進など、区市町村とともに東京全体のDXを効果的に推進していく団体として、2023年度の設立に向けた準備を進めています。
こうした取組を通じて、便利で使いやすい行政サービスを東京全体に届け、都民の方の満足度向上につなげていきたいと考えています。
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②デジタル環境等への職員の満足度
■職員の「満足」が「不満足」を初めて上回る
デジタル環境に対する職員の満足度については、「満足」が昨年度から4ポイント増加して29%。「不満足」が4ポイント減少して28%と改善し、3回目の調査で初めて職員の「満足」が「不満足」を上回りました。
最初に調査した2020年度の結果では「満足」が約1割、「不満足」が半分以上とかなり厳しい結果でしたが、その時と比べると「満足」と答える職員が約3倍に増え、「不満足」と答える職員が約半分まで減少しています。
これまでの取組の効果がようやく数値として現れてきたところであり、この流れを更に確実なものとしていきたいと考えています。都庁のシステム基盤改善の歩みはこちらの記事で紹介しております。
■6割を超える職員が「都政の構造改革」の効果を実感
満足度調査の中では、2020年8月からスタートした都政の構造改革(シン・トセイ)の取組について、改革の実感があるかどうかについても調査をしています。その結果、都政が「とても変わった」「多少は変わった」と回答した職員は去年より5ポイント増加し、63%となりました。引き続きより多くの職員に改革の成果を実感していただけるよう努めてまいります。
■更なる満足度の向上に向けて
都庁全体では満足が上回りましたが、本庁と事業所で差が生じており、事業所ではまだ不満の方が多いという結果でした。
こうした状況を踏まえ、「シン・トセイ3」では、全600事業所でデジタルツール等を活用したワークスタイルを変革することを目指し、より一層取組を強化していきます。
また、職員が使うシステム基盤を、より一層利便性の高いものにするべく、クラウド環境に転換する取組も進めています。2023年1月から一部の業務でクラウド利用を開始しているところですが、2025年度までにシステム基盤を刷新し、より多くの業務をクラウド環境で行えるようにしていく予定です。
こうした取組などを通じて、職員の働き方をより一層生産性の高いものに転換し、都政のQOS向上につなげていきたいと考えています。
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今回は、都政の構造改革の現在地を把握するための2つの調査結果をご紹介しました。職員満足度では一定の成果が感じられたものの、都民の方の満足度は未だ低く、より一層の努力と工夫が必要だと痛感しています。
今回の調査結果を活用しながら、都政のQOS向上に向けて更なる改革に挑戦するとともに、引き続き定点調査を続け、到達度のメルクマールとしていきます。
なお、過去の調査結果についてはこちらの記事からご覧いただけます