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行政こそオープンソースに投資すべき理由~「東京都コロナ対策サイト」開発の裏側~

日本を代表するデジタル分野のスペシャリストを都庁にお招きし、デジタルサービスなどの仕組みを解説していただく「都庁デジタルセミナー」。

第2回(12/23開催)は、東京都「新型コロナウイルス感染症対策サイト」の開発事例をもとに、一般社団法人コード・フォー・ジャパンの関治之代表理事から、「オープンソース」をテーマにご講演をいただきました。

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政府CIO補佐官や内閣府オープンデータ伝道師などを務める関代表は、2013年に市民参加型の公共サービス開発などを手掛けるコードフォージャパンを立ち上げ、テクノロジーを活用して地域課題の解決に取り組んでいます。ここからは、関代表理事によるセミナーの模様をダイジェストでご紹介していきます。

(当日の説明資料はこちら☟)

東京都のコロナ対策サイト構築、国内外224人が協力

東京都の委託を受けコード・フォー・ジャパンが開発した新型コロナウイルス感染症対策サイトは、ソースコードを公開し、「オープンソース」で作られました。

オープンソースとは、システムを構築するためのソースコードを、再利用可能な形で公開することです。商用・非商用の目的を問わず、ソースコードの利用や修正などが可能であることや、ライセンス条件が付与されていて、条件に従えば、著作者の許諾を取らずに利用できることがポイントです。

最大のメリットは、世界中のエンジニアが共同でサービス開発に携われること。東京都のコロナ対策サイトも、わずか1週間で構築し、3月3日に開設したのちに、そのソースコードを「GitHub」というソフトウェア開発プラットフォームで公開したことで、多くのエンジニアの参加を促しました。

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「サイト立ち上げ後、3週間で国内外から224人が改善に協力し、750件の提案がありました。自分たちだけで作っていたら、ここまでスピード感のある形での変更はできませんでした」と関代表は振り返ります。

とりわけ高い関心を集めたのは、台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏から、多言語対応の際の「繁體字」のラベル表記について、具体的な提案があったことです。「このようなコラボレーションが起きるのもオープンソースの醍醐味」と関代表は力を込めます。

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なぜこれだけ沢山の方々から様々な提案がある中で、スピーディーにサイト改善に取り組めたのでしょうか。

関代表は「サイト構築にあたっての行動原則やビジョンなどを明確にしたことが大きい」と語ります。「我々はなぜここにいるのか」や「サイト構築にあたっての行動原則」を前もって示すことで、共創が上手く進みました。

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行政がオープンソースに投資すべき3つの理由

長年にわたって、世界中のオープンソースプロジェクトに関わってきた関代表は、「行政こそオープンソースに投資すべき」と訴えました。その理由として、以下の3つを挙げます。(参考:関代表のnote記事「行政がオープンソースに投資すべき理由」)

① 進めたい政策の理解や発展につながる

システム開発を進めるにあたり、ソースコードを広く公開することで、関代表は「いろいろな改善フィードバックを外部から広く、ダイレクトに受け取ることができる」と説明します。システムがより分かりやすく、より使いやすく改善されることで、行政の進めている政策について、幅広い層が理解しやすい形での発信(PR)が可能となります。

加えて、東京都のコロナ対策サイトをベースに他の自治体が同様のウェブサイトを構築し、機能改善を図れば、今度はそのサイトを参考に、東京都が自分たちのサイトを改善することも可能です。こうした自治体間の相乗効果で、より良いシステムに発展させることができます。

② 同じような行政システムを個別に作らなくて良くなる

今回の東京都のコロナ対策サイトは、70以上の自治体で活用されましたが、仮にそれぞれが個別に構築していたら、どうだったでしょうか。サイト仕様書の作成、ベンダー選定、システム開発、運用テストなどに多大な費用や時間、人手をかけ、同様のサイトがいくつも作られることになります。効率的ではありませんよね。

オープンソースを活用すれば1つのシステムで済むため、「日本全体の税金の節約につながる」と関代表は言います。

③ 社会的な知的資本の蓄積につながる

サイトリリース後、コード・フォー・ジャパンのslack参加者は8倍に増え、4300人に上りました。また、コロナ対策サイトに関するさまざまな情報をまとめたWEBサイトが次々と立ち上がりました。

「知恵を公開したことによって、大勢の人たちがコミュニティーに参加してくれました。結果、各都道府県のさまざまな情報が集まることになったのです」と関代表は言います。

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セミナーでは、会場やWEB上で寄せられた参加者からの質問にも随時ご回答いただきました。代表的な質問を2つご紹介します。

質問①:GitHubを活用する際、悪意のあるコードを隠して提案してくるような場合にはどう対処するのですか?
関講師:すべてソースコードをレビューし、動作確認してから受け入れています。また、東京都のサイトは、リードオンリー(閲覧のみ)にするなど、攻撃されにくいインフラ構成にしています。ここは技術力がないと難しい面もありますが、センシティブな情報を扱う場合には、初めからオープンソースにしないという判断もあるでしょう。
質問②:GitHubを通じて(無償で)協力してくれる技術者は、どのようなインセンティブで協力してくれるのでしょうか?
関講師:東京都のサイトに参加したエンジニアの多くは、コロナを何とかしたい、自分にできることがあれば手伝いたいという善意の気持ちで協力をしてくれました。また、自分自身のスキルアップや知識習得がモチベーションとなって参加してくれるケースもあります。

オープンソース活用のカギは「反復開発」

オープンソースの推進は様々なメリットをもたらすことが想定されますが、その実践は一朝一夕にできるわけではありません。今後、行政がオープンソースを使いこなすためには、分析、要件定義、設計、実装、そしてテストという一連の工程を繰り返す「反復開発」というワークフローに慣れるべきだと、関代表は強調します。

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この「反復開発」の手法を体得できるかどうかが、今後行政がシステム開発を行う際、オープンソースを上手く活用するうえでの分水嶺になることは間違いなさそうです。

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「バーチャル都庁構想」の実現に向け、東京都ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する核となる職員の育成に取り組んでおり、本セミナーはその一環として開催されています。

デジタルに関する最新知識を学ぶことができる本セミナー等を継続的に行うことで、都政のDX推進を担うデジタル人材を育成していきます。

第3回の都庁デジタルセミナーは、2月に開催を予定しています。この模様も後日レポートする予定ですので、引き続きご注目ください!

第1回のセミナーでは一般社団法人リンクデータの下山紗代子代表理事に「オープンデータ」をテーマにご講演いただきました。
記事はこちらからご確認ください。
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