会社を辞めて、ちょっと海外に飛んでみた話
髙橋広野です。この11月で新卒から約3年半勤めた建築設計事務所を退職することとなりました。今後は20代最後の半年間をキャリアブレイクとして修行期間にするとともに、その後には開業と、また別の建築設計事務所で経験を積む新たなスタートを切ろうと思っています。
そんな人生のターニングポイントで当企画に当選し、生まれて初めてのグアムへと飛んできました。常夏のリゾート地なんて自分自身で選択して行く柄でもなく、この企画がなければ一生来ることはなかったであろうグアム。今回の旅では、何か特別な過ごし方ではなく、いつものように日常の延長として、知らない土地に初めて訪れた時の自分なりの過ごし方、土地の魅力の探り方を、このグアムでも実践してきました。
1. 3泊4日のグアム旅へ
そもそもグアムって?
グアムは西太平洋のミクロネシアにある米国領の島。日本からの直行便で片道約3時間半。時差がたったの1時間しかなく、こんなに近いのですが一応アメリカです。グアムといえばハワイに並ぶ“常夏のリゾート観光地”。海に、プールに、マリンスポーツに、バーベキューに、ショッピングに…。日本から圧倒的に近い上に、比較的安価に行ける海外旅行が楽しめます。
グアムへの行き方
今回はユナイテッド航空の福岡からの直行便を使って往復しました。片道たったの約3時間半で機内食付き。2022年11月現在では、観光や短期滞在でのビザは不要で、新型コロナウイルスワクチンを3回接種済みであることを条件に、日本帰国時の陰性証明書の提出が免除されます。(グアム入国にも特別な制限はありません。)とにかく、複雑な手続きや待機期間などがなく、ほぼコロナ前通りの旅が戻ってきています。
旅のスケジュール
今回の旅は3泊4日。内初日と最終日はほぼ移動のみで、丸1日自由に動けるのは2日間という短過ぎず長過ぎずなスケジュールで旅をしました。
旅の費用(約15万)
今回のこの旅のタイミングでは、1ドル約140円前後というなかなかの円安。あまり贅沢はせず、特別なことはせず、といったつもりで過ごしたところ、これくらいでした。
食事は、比較的安価なファストフード店で1食約10〜15ドル(1,400〜2,100円)。暑さが暑さだけに飲み物はかなりこまめに買って、ペットボトル1本2ドル(280円)〜。普段から1日2食な食生活なのであまり贅沢しないでも、それなりにお腹を満たすくらいに食べると、一日40〜50ドル程度の食費です。
通信環境
今回は普段使っている楽天モバイルをそのまま持って行って使いました。普段住んでいる日光では電波が悪すぎて正直不平不満だらけの楽天モバイルなのですが、なんと海外では問題なく使えます。(国によります。)グアムは対象範囲内だったので、新たな追加費用もかかることなくそのまま使えました。(2G以降は通信速度制限ありでしたが、2G使い切ることなく旅を終えました。)
ほかは基本的にホテルのWi-Fiでことが足りて、外出した際に地図を確認するくらいでした。
移動手段
これがなかなか悩ましかったのですが、現地でのちょうど良い移動手段がありません。シャトルバスがあるものの、コロナ化で本数がかなり少なく、動いてない日もあったり。それ以外では、タクシーかレンタカーに頼るしかなく、正直移動は不便でした。レンタサイクルなんかがあればかなり自由にあちこち行けたのにと思います。(一昔前は日本人経営のコンビニでレンタサイクルをやっていたそうです。)
2. まちを歩いて、まちを知る
自分が知らない土地に初めて訪れた際にまずやることは、とにかく自分の足で歩くこと。まちを体験するには、とにかくひたすら歩きまわる。自分の目で見て確かめて、気の向くままにとにかく歩きまわる。常夏の島、グアムでこの4日間の合計で約70km。特に一番歩いた日には1日で36kmという道のりを実際に歩いてきました。
1日目|空港→ホテル
初日のグアム到着は現地時間の16:30頃。空港からホテルまで約5kmの道のりを、寄り道しながら歩いてみる。
カーショップや、ガソリンスタンド、飲食チェーン店が立ち並ぶロードサイドは、一瞬日本とほぼほぼ変わらない雰囲気が感じられるものの、あらゆるもののスケール感がひとまわり大きく、アメリカらしさが感じられる。
突然の夕立に降られ、気温湿度ともに少し高めのロードサイドを歩く。
立ち寄ったローカルスーパーで晩御飯のピザを調達。コストコのような雰囲気で、食料品・日用品・衣類・おもちゃなどなど、あらゆるものが安価で山積みになって売られていた。
海外お菓子のパッケージデザインが新鮮で、可愛らしい。
原色の色使い、迫力のあるフォントでインパクトのあるパッケージが多い。
ホテルがあるのはショッピングエリアのど真ん中。
過剰なくらいにギラギラと、光り輝く眠らない街の中へと吸い込まれる。
ホテルの客室から灯りが漏れる。客室からの景色もまた素晴らしいのだろう。
今回のお宿はこちら。(Guam Plaza Resort & Spa)
2日目|ホテル⇄エメラルドバレー
2日目は早朝から活動開始。朝のビーチで過ごす人々を横目で観察しつつ、ずっとずっと西の先にあるエメラルド色の小さな渓谷エメラルドバレーまで、片道約15kmの道のりをひたすら歩く。
朝のタモンビーチ。透き通った海に思わず足を突っ込む。
朝の穏やかな海と、雄大な空。この景色だけで1日中過ごせそう。
朝はジョギングすをる人、泳ぐ人、SUPをする人…。
グアムの朝はタモンビーチから始まる。とでも言うかのよう。
この朝の時間は観光客の時間というよりも、住んでる人が日常の一部としてビーチで過ごす時間のようだった。
延々と続くビーチを一旦は後にして、再びロードサイドへ。
朝のショッピングエリアは比較的静か。掃除機の音が鳴り始め、オープン前の清掃の時間。
車のまばらに通り過ぎる。
昨日歩いた道を少し戻る。
グアムの看板はなぜかほんのちょっと傾いている。
車線が増え、横断歩道が長くなる。ショッピングエリアを抜けてロードサイドエリアへ。大型の車がすぐ隣を走る。ロードサイドには日本でもよく見るチェーン店、カーショップ、ガソリンスタンド。家具屋、建材屋、銀行などなど。マックにデニーズ、ケンタッキー、バーガーキング。
ロードサイドショップが立ち並ぶ景色から、住宅や学校のある少し落ち着いた景色に移り変わってきた。大きなお店は少なくなって、日本でいう小さなコンビニのようなスーパー、カフェ的なお店などなど。
そしていよいよ歩道のない道。車道の脇をひたすら歩く。大型車が通る時の風と振動は大迫力。
4時間ほどで、ついにいよいよエメラルドバレーへ。
透き通ったエメラルド色の水。水中には熱帯魚が自由に泳ぎまわる。
大型バスでやってきた団体の観光客が大勢。
この景色を見てみたかった。
細長い熱帯魚が海藻のように漂っていた。
そして、ここからは折り返し。
昼過ぎでいよいよ暑さが最高潮のグアム。
また車道の脇をひたすら歩く。
たまにある木陰が命の源。
海沿いのエリアは、遊歩道があって楽しく歩ける。
いつまでも続く海景色。
青い空に、青い海に、青い建造物。
車道、電柱のスケールがやはり日本より一回り大きい。
歩道から片持ちで長い腕を道路に伸ばす信号機が地味にすごい。
この景色ならいくらでも歩ける気がする。
グアムの建築は海上コンテナの利用がよくみられる。倉庫に、カフェに、住宅に、建築現場の現場事務所まで。
そしてまた街の方へと帰ってきた。
高層建築がみられるのはホテルエリアくらい。
街並みも観光地は鮮やかな色合いのファサードが目立ってくる。
そんなグアムまちあるきで見つけたグアムらしさの一つがミューラルアート。
グアムの建物のファサードを彩る大きな壁画。グアムの建築はSRC造のシンプルな作りが多く、大きく平坦な壁面が取られている。その壁一面の大きな大きなアートが入ることで、建物自体のシンプルな構成の中にも、目を引く唯一無二の個性が表現されている。
アートの特徴はとにかく人物が多いこと。
どこか見られているような雰囲気。
こうしたアートはロードサイドにも、観光ホテルエリアにも見られた。
誰がどんな思いを込めて描いたのか。
こうした建築を見ると、いかにもアートを入れることを前提に建物を設計しているようにも見える。
アートが作る街並み。
建物に限らず、敷地を区切る塀にもアートが刻まれ、閉塞感が楽しさに変わる。
そしてもう一つがグアム建築の開口部。
時折、窓がマジックミラー的に使われていて風景を反射したり、窓一面を広告が埋め尽くしていたりもする。
シンプルな反復が規則正しく美しいリズムを感じさせる。
そこに遊び心を加えただけで街並みがちょっと豊かになってる。
3日目|ホテル⇄デデド朝市
3日目も朝から活動開始。ホテル北側のデデドで毎週末開催されているローカルフリーマーケットへ。
デデドへは、静かな住宅地を抜けていく。
朝から芝刈りが日課みたい。
この道をまっすぐ歩く。
電柱と看板のほか、何もない道が長く続く。
地元で採れた新鮮なフルーツや野菜、鮮魚類の他に、B級グルメやスイーツ、ドリンク、ハンドメイドのアクセサリーや雑貨、バッグに洋服などなど。
価格もリーズナブルな商品が屋台に並んでいます。
日本ではあまり見かけないフルーツもちらほら。
バナナは青いまま。
キッチンカーが並んでお祭り感が漂う。
無造作でワイルドな商品達。
ハムチーズサンドイッチ、照り焼きチキン串、メロンジュースをいただく。
メロンがちょっと甘め。
串焼きのお兄さんのノリが良くてついつい買ってしまった。
グアムの週末はデデドの朝市。朝から充実していい1日を過ごせそう。
そしてまたまたウォーキングタイム。
ちょっと近くの岬まで歩く。
この雄大なスケールは北海道を思い出す?
道と、空と、電柱と。
ただひたすらに続く道。
ただひたすらに歩きホテルへ帰る。
午前中に活動して午後はホテルで仮眠とワークタイム。
夕方のタモンビーチへ。今まで観光客に会うことが少なかったが、ここは観光客で溢れていた。
夜になっても賑やか。
光り輝くグアムの夜。
煌めくネオンサインと、ライブ感のある生演奏。
夜景を背景に終わらない夜の時間があった。
最終日|ホテル→空港
最終日は朝5時からタクシーでホテルを出発。
そして、現地時間7:30発の飛行機で福岡へ。
3. 人生を切り替える、再出発の旅
今回の旅では、またひとつ知らない景色を見ることができました。この企画に当選することがなければ、おそらく一生グアムを訪れることはなかっただろうし、このタイミングで海外に行くこともできなかったと思います。
正直グアムで何して過ごそうか、実際に行ってみるまで想像がつかず、結局ついてからも思いつかず。とりあえずいつものようにただただ歩いてみることにしました。
でも結果、人生を切り替えるのにちょうどいい旅になったと思います。
今度はしっかりアメリカ本土へ。12月から再スタートです。
髙橋広野
最後までご覧いただき、ありがとうございます!