【中編】片側だけで感じる彼・彼女 No.1/11
「只今帰りましたぁ。」
誰もいない部屋の明かりをつけ、俺は答える人がいないのが分かっているのに、声を発した。
1LDKの単身用マンションはひっそりとしていて、冷蔵庫だけ鈍い駆動音を鳴らしていた。
仕事が終わり、ここに帰ってきて、いつもはシャワーを浴びて寝るだけだ。
そして、数時間寝たら、また会社に向かう。
毎日特に変わらない日常。
休みの日も、昼近くまで寝て、後は家でだらだらと過ごしていることが多い。でも、皆そんなものだろうと思う。
それにしても視界がボヤっとする。目の使い