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厳しくもあたたかくて #あな空

初日を迎える朝、ひたすらキーボードを叩き続けている私。ああ、鬼の担当編集の声が聞こえてくる。

本日ご紹介するのは作家である栞里の担当編集、平野沙羅さん演じる守屋結衣について。観劇を迷っている方の参考にでもなればと思っております。
※平野さん扱いのチケットは上記お名前のリンクから飛んでください。

結衣というキャラは今回上演するリブート版からになります。初演ではなかった役の一つで、長編化するにあたって栞里の職業ってなんだろうかと改めて考え始め、そして栞里に行動を起こさせる誰がいたら物語は前へと進むだろうかということを考えて作り出したのが結衣でした。茜という怪奇ライターと栞里を結ぶのも茜の同期である結衣がいたからこそ。人と人を結ぶ存在だから結衣って名前にした、のかもしれないですね。

彼女の最初のシーンの怒鳴り散らしとそれに萎縮する小説家栞里の関係と実際に締め切り間近まで書かずにいる栞里を見捨てることのできない優しい人でもあり、仕事を離れれば友人関係の二人。ツンデレの少し似ているところがある2人が仲睦まじいのは見ていて和みます。ま、締切守らない作家なんて怒られてなんぼなんですが。

結衣というのは他の役と比較すると自発的に面白いことやったろう精神の持ち主ではない。勿論他のキャラもそんなつもりはないと言いはるとは思いますが。ほかが動的に活発に動く中で、真面目で、そこが全くブレない結衣の空気感、極めて重要で、私は真面目な人がただ真面目に生きている、その場にいるだけでも結構面白い画が生まれると信じていて、今回はそれを特に実感しました。

と言いつつもキャラとしてはなかなかに濃い部分も十二分にあると思っている結衣を楽しんで貰える、共感される方は少なくないのでは。

栞里が今回真司のこと(天使に連れていかれる)で苦しんでいて、相談を持ちかけてきた時、正直結衣は理解に苦しむような話に、彼女自身も苦しんだと思います。頭では理解できずとも、心では栞里がそんなことを冗談で言う人ではない、だから信じようとする、頭と心でちぐはぐな状態って結構苦しいですよね。更に真面目だから余計に。

どんなに多くの人を集めても倒せない、太刀打ちできない相手が出てきた場合の絶望感、焦燥感、空虚感、あらゆる感情を抱きつつも、周りをフォローする彼女の健気な行動は、救いにつながっていくのではと。

結衣を演じてくれている平野さんは今回うちの舞台に初めての参加。はじめましての時、だいぶ真面目な、もうそれって結衣そのものな印象の人が来られたなと思ったわけです。最初役作りでは今の10分の1ぐらいのキャラの濃さでしたが、今が本当にちょうどいい。怒って、慰めて、フォローして、焦って、動じない瞬間があって、いや、見ていて面白いです。髪振り乱して感情を露わにするところは是非観ていただきたい。

公演詳細

公演情報は劇団Twitterから


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