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誰よりも好きな人を想う #あな空

初日が間もなく始まります。そんな時に忙しなくキーボードを叩いております。

本日ご紹介するのは、当劇団には今回で5回目のご出演、鈴木ゆうはさん演じる藤島栞里について。観劇を迷っている方の参考にでもなればと思っております。
※鈴木さん扱いのチケットは上記お名前のリンクから飛んで下さいませ。

栞里という人間は傍若無人でジャイアンに近しい存在ではあるけれど、人を惹きつけるようなカリスマ性がある女の子をイメージ。相手の気持ちとか一見して無視して振る舞うようなことも多い様子。しかし相手がどう思っているかなどを敏感に感じて、推し量って生きている部分もある。それはそれで不器用な人間だと思うわけで。そういう一面があるからこそ、なんやかんや言っても付き合ってくれる人が多いのだろう。

好きな人に好きと言える子ではあるけれど、本音を隠してしまう、気づかせないようにするテクの持ち主。それが今回の物語では、夫を気遣って、想うあまりに最悪の結末を手繰り寄せてしまう。

天使たちの訪問により、自分の旦那が奪われる、連れ去られるという事態を飲み込もうとしても飲み込めない栞里。いつもなら真司に助けてよと言えるのにそれが言えない。自分で解決しようとしてみるが、神様相手に何ができるというのかと自問する。力の無さに絶望する。自分が好きな人がもうすぐこの世界から消えてしまう。人間の弱さを痛感する。

初演では栞里に職業など設定を付けていなかったのですが、今回のリブート版では小説家にしました。小説家の武器は想像力/創造力にありますが、今回の事態はどんなに想像しても容易に理解できないことの悲しみもある。

今回、栞里を演じる鈴木さんと初めて会ったのは、浅草九劇で劇団が上演した「私の娘でいて欲しい」のゲネだったと思いますが、その時の事務所のマネージャーさんと一緒にいらした際にご挨拶をしたのを思い出します。控えめで、文字通りマネージャーさんの影に隠れるように立っていて。その次の公演「何も変わらない今日という日の始まりに」でご出演いただいて以来、コンスタンスにご出演いただいております。

作品を書くにあたって、この役ならどういう芝居をするだろうかというのはある程度想像できるのですが、実際には毎回その上(想像を超えた)の結果を本番に向けて出してくるのでいつも鈴木さんには驚かされます。それが今回の主演を考える際、私の中では鈴木さん一択でした(私はキャスティング権がないのであくまで心のなかで思っていただけですが)。

作劇にあたっては感情の発露について私は特段台本上、指定はしません。笑うとかそういうのは書き込むことはありますが、流れや相方の芝居に影響を受けて作り上げていく場面では書き込んだところで意味がないと思っているので。

今まで女子高生を多くお願いしていた記憶がありますが、今回は奥様役。最初はどことなく幼さが強くあり、夫婦に見えるまでにひたすら稽古を重ねてきました。今は、夫を大事にするツンデレ奥様が完成しました。

稽古場ではいつも物静かで、真摯に芝居づくりに向かい合ってくれていて、言葉を、感情を、シーンを大事にしてくれる役者さんだなと改めて思うことが多かった今回の現場です。ありがとうございます。

鈴木さんが持っている朗らかさや和む空気感、優しさが、栞里を作っていくにあたってブレーキの機能を果たすこともありましたが、もっといっていいと曖昧な指定を私からオーダーする度に変えてきてくれるのも本当にありがたかった。

瞬間瞬間で見せてくれるその目の芝居、夫婦の日常を見てほしいと願いつつ、これはネタバレになるので多くは語れませんが、力強く前を向こうとする、未来を信じる姿を観にいらしてほしい。

公演詳細

公演情報は劇団Twitterから

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