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新しい科目「情報Ⅰ」が大学入学共通テストに登場する初年度の実施要項

 2022年度は、高等学校の教育課程が新しくなります。2021年度の中学3年生が高校1年生になると現高校1年生は異なる教育課程となるということですね。小学校・中学校で教育課程が変更になるときは、全学年いっせいに課程が切り替わるのですが、高等学校は1年ずつ教育課程が切り替わっていきます。
この22年度高校入学者が大学入学共通テストを受験するとき(令和7年度)の実施要項に関しての予告文書が公表されました。

「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)」について(通知)

まだまだ情報としては細かいことは決定していませんが、筆者自身の備忘録も兼ねて情報を整理しておこうと思います。

1.なぜこの時期にこの情報が公表されたのか?

 まだ入学していない生徒の大学入試情報に関して話し合われているのは少し早いように思います。通常、入試実施年度の2年程度前には入試に関する情報を予告・公表するというのが慣例ではありますが、新しい教育課程では「情報Ⅰ」という科目が大学入試で新規で追加される予定となっており、今までになかった科目が大学入試でどのように扱われるのかが注目の的になっています。今回の文書では大学側に可能な限り早期に検討し、予告・公表するように求めており、これをきっかけに大学側への本格的な検討を始めていく可能性もあります。
 筆者が高校現場の先生にお話を伺っていくと「『情報Ⅰ』を入試科目に課すような難関大学はあまりでないのではないか」というご意見や「仮に『情報Ⅰ』が入試科目として課されてとしても他の科目で対策が可能」という声が多いように感じています。現在、「情報Ⅰ」の前身の科目である「社会と情報」「情報の科学」を入試科目として課している大学は工業系の大学ばかりで、この流れが今後も続くかもしれないという予想は筆者も同意するところではあります。
 しかし、入試要項が発表されれば必ず話題となる東京大学や京都大学が「情報Ⅰ」と入試科目として課し、それが受験生にとっても影響を与えるような状況となれば、事態は一変すると考えられます。こうなると「誰が教えるのか」という教えられる先生不在問題が各都道府県で発生しそうだなというのが筆者の予想です。過去の経緯をみるとこのような事態になるとは考えにくいのですが。

2.試験時間が地味に変化する令和7年度入試

今回の発表では、「情報Ⅰ」についての記載が大半だったのですが、地味に「国語」と「数学②」の試験時間の変更が下記のように発表されています。

(1)国 語
現在測定している内容を維持した上で多様な文章を提示する観点から、90 分とする。※今までは80分

(2)数学②
出題範囲が「数学Ⅱ」、「数学B」及び「数学C」となり、選択解答する項目数が2から3へ増加するため、70 分とする。
※今までは60分で、21年度共通テストでは数学①のみは70分に試験時間が変更されたいる。

(3)情 報
 出題範囲や他教科の試験時間等を考慮し、60 分とする。

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3.経過措置:浪人生と現役生が同時に受験することへの対応

 令和7年度入試の受験生の中心は、新しい教育課程で学習を進めてきた学生たち(2022年度高校1年生)になります。しかし、浪人をして受験に挑戦する受験生たち(2021年度高校1年生以上)もいるわけで、教育課程が異なる学生が同一試験を受けることになります。しかし、「情報Ⅰ」は前身にあたる「社会と情報」「情報の科学」の履修内容では対応が難しいとされており、特別な経過措置が必要であるとされています。そこで、下記のように経過措置が2案検討されました。

▼経過措置の検討内容2案
A案:センターにおいて経過措置問題を作成する
B案:経過措置問題を作成せず、各大学において措置を講じる

結果的にA案が採用される結論となりました。B案は大学のアドミッションポリシーを尊重できるものの、大学ごとに対応がまちまちになってしまう可能性が高いため、逆に受験生に混乱を与えることが懸念されてました。その結果、A案となったようです。経過措置の詳細は以下の通りです。

既卒者(浪人生)のうち希望する受験生に選択可能な計画措置問題を出題する。
(1)「情報Ⅰ」および現行の教育課程における「社会と情報」「情報の科学」の、それぞれの科目の目標、内容等に基づき、既卒者(浪人生)が選択可能な経過措置問題を作成する。経過措置は1年に限る
(2)得点調整については、得点調整の対象にするかどうかも含めて今後検討する。
(3)大学入試センターが令和4年度中に試作問題(経過措置問題を含む)を公表する。

令和7年度入試の情報は、今後も頻繁に更新されていくとおもいますが、今後も注目してみていきたいと思います。

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