歯よ、さようなら
右下の奥歯2本を抜いた。
3、4年前、僕は年齢は40代なのに、歯は60歳代だと言われたことがある。
ランニングを頑張ったりして、お腹もそんなに出てないし、まだまだ見た目は若いと思っていたのに、こんなところに盲点があったのかとショックを受けた。
そしてついに今日、その日がきた。
「一刻も早く抜いた方がいいです」
美人歯科医はそう言った。
「はい、お願いします」
もう骨が溶け、歯の支えがなくなっているレントゲンの画像を見せられ、僕は、そう言わざるをえなかった。
麻酔を3本ほどうち、その美人歯科医はこともなげにポンポンと抜いた。
あっという間の出来事であった。
乳歯から生え変わり、永久歯になって、40年近く僕を支えてくれた歯。
それが2本も無くなってしまうなんて。。
「持って帰りますか?」
美人歯科医に聞かれ、迷った。
「いらないです。捨ててください」
と一度は言ったものの、またしばらく迷い、いや、これはどうしたって持って帰った方がいいに決まっているという思いに至った。
「すみません。やっぱり持って帰ります」
持って帰ってきた2本の歯。
たぶん、引き出しかどこかにしまわれて、そのままになる運命だろう。
でも、持って帰ってきて本当に良かったと思っている。
長い間お疲れ様でした。
そしてありがとう。
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