自由な世界へ
ウェブ制作のフリーランスとして働いてはや17年。
ここに到るまでの仕事の変遷を綴るマガジン、第7回です。
重大なミスをいくつかやってしまった僕は、もうこれはクビだなと思いました。
やはりそこはプロの世界。
その通りになったのでした。
でも、とても寛大な条件を提示してくれたのです。
次の職が見つかるまでしばらく猶予をくれるというではありませんか。
とはいえ、僕は他に何をしようというあてもありません。
することもなくただ会社にいるのも嫌だったので、辞める時期を早めてもらいました。
ここまで約1年半。
これまでの自分の人生の中で間違いなく一番濃い毎日でした。
でも僕は思ったのです。
やっぱり付き人の意識のままでは、いつまでたっても付き人なのだと。
ボスと対等に、とまでは行かなくても、ボスのように自立して生きるには、レベルは違おうが何だろうが、自分の足で歩かないといけないのだと。
そう思うと、やたらと希望が湧いてきたのでした。
あまりに濃い毎日だったので、やはりどこか一般社会とは隔離されている感じはありました。
プライベートはない。友達と遊ぶとかありえない。自分の自由な時間はほとんどなかったのです。
音楽で生きられるかもしれない。そう思えば、それは自分が望んだ事であったわけですけれども、それでもやはり異常な世界ではありました。
スタジオミュージシャンやいろんな現場のプロフェッショナルをみれた事はとても刺激になりました。
自分は何かのプロフェッショナルになれるかわからない。
でも、自分の足で歩きたい。
そう強く思ったのです。
なので、辞めることにはなってしまったかもしれないけれど、これからどう生きるかは全て自分で決められるのだという状況に、何だかワクワクしたんですよね。
最後の出社日、ボスは二人の時間を作ってくれて
「楽しかったよ」
と言ってくれました。
そうして僕は何もかもが自由な世界に飛び出したのでした。
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