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スペインのリーグ戦と指導から学べること

スペインの育成年代にはトーナメントが存在しません。

厳密に言えばプレシーズン中や長期休暇中に開かれるカップ戦があるのですが、それはあくまでメインではありません。

もっとも重要なのは約8、9ヶ月間通して行われるリーグ戦で、9、10月ごろから5月、6月初旬にかけて行われている公式戦です。

1リーグの参加チームは16チーム前後でレベルに応じたカテゴリーが存在します。

今回は私が指導しているJuvenil フベニール(ユース)を例に説明したいと思います。

全6カテゴリーから成り立っており1、2部はスペインサッカー協会、3部以降はマドリッド州サッカー協会の管轄になります。(2部に関しては州内)

その中身は、マドリッド州内でだけで考えると

2部Nacional 1グループ16チーム

3部Autonomica 2グループ18チーム

4部Preferente 4グループ18チーム

5部Primera 8グループ16チーム

6部Segunda 19グループ16チーム

です。

つまり556のチームが毎週末試合を行っていることになります。

Segundaのリーグだけで上4つのリーグの合計チームに相当するのでいかに育成の裾が広いかわかると思います。

そしてリーグ戦なので最終順位により昇格・降格があります。どのカテゴリーでも上位2チームが昇格、下位4チームが降格です。(例外あり)

毎年5月ごろになると順位も決まり始め、昇格・降格争いがおもしろくなります。

(指導者側からしたら胃が痛くなりますが…)

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これをスペインの育成年代の子はサッカーを始めた頃から経験します。

何歳だろうが負けたら降格というシビアな結果が突きつけられます。

「うまい子」は次のシーズンチーム内で上のカテゴリーへ昇格するか他の上位チームに移籍することになります。

そして指導者はというと、結果次第では首も切られます。育成年代ですが。特に昇格がノルマや上位カテゴリーの指導者はよりシビアです。

これがスペインサッカーの日常です。

リーグ戦が根付いていることでスペインの育成年代の子たちは日本の子達より多くの公式戦を経験します。

しかし「やっぱりスペインは進んでいる」と思われがちですが決してそうではありません。

指導の緻密さや丁寧さ、規律などは日本が上です。

何が一番日本と違うかというとコンペティシオン(競争)の激しさです。

先にリーグ戦について書きましたが、常に公式戦が毎週末ある中で選手はリーグ戦を戦っています。

そしてその週末の招集(ベンチ入りは18人)を獲得するために練習から激しい削りあいが生まれます(怪我をさせるわけではないですよ)

各チーム最大25人までと決まっており、日本の有名高校のように100人を超える大所帯は皆無です。

常に公式戦を意識して練習から激しい競争をすることで、この国のサッカーはなりたっているのです。

日本にはトーナメントの美学があります。一発勝負の中で勝ち負けが出ることが美しいということです。

ただ育成の観点から見ると100人中18人しかベンチ入りできない、ましてや一回負ければ終わり。

これが日本の日常です。

練習試合ではなく公式戦に出る環境を作ることが良い育成年代の指導につながるのではないでしょうか?

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