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日本の補欠制度とスペインの育成環境を比べると

おら〜

先日Twitterでこんな記事を読みました。

僕は日本を離れてもう11年になり日本での指導経験は皆無に等しい。

そんな僕でもこういう記事を読むと日本のサッカー、スポーツ界は遅れていると感じる。20年前と何も変わっていない。

先に言っておくと僕は補欠制度には反対です。

そもそも選手交代しないのであればベンチに座らせておく理由もわからないし、そういう規定にしている大会にそもそもの問題があると思っている。

トーナメントが主流の日本の育成社会

記事の中にもある「勝利至上主義」は日本のトーナメント美学が大きな影響を及ぼしていて

それは公式戦は違うと思っている指導者が多いということからもわかる。

一発勝負で負けたら終わり。だからベストメンバーで勝負する。

でもそれはクラブ、指導者の言い訳であって出れない選手には関係ない。

仮に18人ベンチ入りして3人交代したとして(日本の交代枠の数を知りません)14人は満足かもしれないけれど残り4人は必ずそうとは限らない。

前もって言っておくと公式戦のトーナメントでベンチ入りした選手は全員出すべきだし、ベンチ入り以上の人数がいるのならもう1チーム作ってでも試合に出せる環境をクラブ、協会が作るべきである。

そして全てを現場の責任にするのではなく、そうなってしまう環境を変えなければならない

スペインの育成社会

もしこれがリーグ戦主流のスペインだとどうなるか。

スペインにも勝利至上主義はある。でもそれは主にユース年代、それも上位リーグになる。育成年代の特に小中学生年代は必ず全員が試合(公式戦)にでる。

以前僕が指導していたU-11のアレビンを例に挙げると日本とスペインの違いが明らかになる。

アレビンAを指導していて当時はアレビンリーグの2部に所属していました。そこでの状況を整理すると:

・登録メンバーは20人(MAX25人)

・試合は16人までベンチ入り

・全14チーム総当たりのホーム&アウェイ、全26試合の公式戦

・上位2チーム昇格、下位4チーム降格

クラブから言われいたこと:

・必ずベンチ入りメンバーは最低10〜15分は出場させる(前後半30分ハーフ)

・招集外が2週連続にならない(例外あり)

・途中交代ばかりする選手を出さない

・現リーグ(2部)に残留する

リーグ戦主流だと公式戦がシーズン通して必ずできる。

年間で26試合が保証されいるわけだから目先の1勝にこだわる必要もない。公式戦は別といった考え方も生まれてこない。僕が当時考えていたことは、いかにこの20人の選手が練習・試合を通じて成長し、次の年代へつなぐことができるか。だけである。

だからといって勝ちにこだわっていないわけではないし、選手達は勝ちたいに決まっているから勝たせてあげるための努力は怠ってはならない。そして明確に残留という目標もあった。

当時のチームはお世辞にも上手いと言えるチームでもなかったし、同じクラブの別カテゴリーの監督からも心配されていた。というよりGMからもずっと心配されてた。笑 アウェイの試合ほぼ見に来てたし。

それでも当時の僕は「えっ!?残留で良いんでしょ?」という余裕綽々な態度でいた。なぜなら例年通りなら勝ち点20取れば10以内に入れて残留できると読んでいて「6勝して引き分けいくつかすればいけるでしょ」と考えていた。

結果的には6勝4分の10位

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欲を言えばあと3つは勝てたと思う。実際昇格した2位のGigantesには後半戦2−1で勝っている。

それでも拮抗した試合の時でも選手交代ができるか

勝ちたかったらあそこで選手交代するべきじゃなかった。はっきりってそんなことは知らない。交代のせいで負けたとも思わないし、そこまでプランニングしていなかった自分の責任だ。

そうではなくて交代した選手がそこでの経験を成長の糧にする。そうなるように導くのが指導者です。指導者が選手を信じれなくて誰が信じるのか。

こんな拮抗した試合でこの選手は出せないなと思うのであればそれは自分のエゴだと自覚しないといけない。選手は先発で出ている選手と同じように頑張ってきたのだから。

もしかしたら決勝点を彼があげるかもしれないし、そんなことは誰もわからない。ただ公式戦だからを理由に使わないのは選手にリスペクトがないと言える。

僕ら指導者は書いてじの如く導くことが仕事で、その経験を得れるチャンスを奪ってはいけないのだ。

公平だけど平等ではない

リーグ戦によって公式戦は違うという考えは生まれない。なぜならずっと公式戦だから。それでも20人全員が全く同じ出場時間を得ているわけではない。最終的に1200分以上出た選手もいればその半分の出場時間で終わった選手もいる。

でもこれは補欠を作るようなことではなく練習から選手達が競争をした結果だと思っている。週3回の練習に休まずきた選手が優先的に週末の試合に出れる権利があると常日頃から伝え、良い練習をしてる選手、成長している選手、停滞している選手の評価を下すことが僕たち指導者の役割で、その週に招集外になる選手には個別に招集外理由を伝える。招集外選手がそれで悔しいと思えば次週の練習に気合も入るし招集された選手はより成長したプレーを見せないと次の週には招集外になる。毎週これの繰り返しです。

僕らは育成年代の指導者だから勝つことを目的にしてはならない。

選手達にずっとそのスポーツを好きで続けてもらう、人間的成長を助ける指導をしなければならない。

補欠選手をなくすことはトーナメント制度をなくす

ここまで話した通り僕はリーグ戦主流にすれば補欠選手はいなくなると思っています。実際スペインにはいないですし。

アレビンの年代でも1〜4部まで存在し下手な選手でも公式戦にでれる環境が整っている。

日本は僕がプレーしていた20年前と何も変わっていません。

トーナメントで上手い選手が出て上手いチームが勝ち上がる仕組みです。

当たり前だという人もいるかもしれませんがそれは違います。

上を見るのではなくて裾の部分を広げていくことが日本のサッカー界、スポーツ界を変えていくことに繋がります。

トーナメントからリーグ戦へ移行していく動きを増やせていければなぁ…

そんな声が大きくなればうれしいです。

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