自分の為の音楽を

「ぽろろろ～ん♪」

「♭ラ・シ・レ・ファ・ソ・シ・レ・ファ・♭ラ・ソ・ファ・♭ミ・ミ～♪」

「ぽろろろり～ん♪」


早朝５時。

少し夜明けが早くなってきた初夏

薄明るい部屋に、たどたどしい音色が鳴る。


ここ数日の間に手に入れた、ジャズギターを練習する充実した時間。

僕の朝のルーティーンはこの流れと決まっている。





ジャズギターを弾けるようになろう！と思い立ったのは、もう1年以上前のこと。


今まで、なんとなくの感覚で弾いてきたギターに、ちゃんと向き合おうと思い

昔ライブを見て知った、プロジャズギタリストを先生に選び

1.2カ月に一回のペースでレッスンを受けている。


徐々に弾けるようになってはいるんですが、、、、、


正直、自分自身が想像していた以上の成長は見られていない。


そこに、とてもモヤモヤしていた。



原因は、先生が悪いとか、センスがないとか、ジャズの敷居が高すぎるとか


そんな問題じゃなく、ただただシンプルに


「ジャズギター以外の事をやりすぎている」


だった。



僕は会社員&家事・育児をやる傍ら

楽曲提供や編曲、伴奏制作の仕事を個人的にやっている。


この音楽仕事の売り上げから、自分のギターレッスン代をまかなったり

新しい機材の導入等を行っている。


音楽スキルを伸ばせるし、収入源にもなるから、この仕事はとても重宝している。


けれども、、、時間を費やしすぎていた。


仕事としてやっている以上、納期を守り、クオリティの高いもの

クライアントさんの希望に沿うものを提供しなければならない。


そのプレッシャーから、どうしても音楽の仕事（楽曲提供・編曲）を優先してしまう。


ただの趣味でやっているジャズギターは、余った時間でやるしかなかった。


でも、、、、時間なんてぜっっんぜん余りゃしない！


毎朝早起きして


「よし！今日は○○まで作業を進めて、残り30分でジャズギターを練習しよう！」


そう毎朝心に誓うのだけど

“早く納品しておきたい”という気持ちから

どうしても、音楽の仕事を優先してしまい、ジャズギターを練習する時間はどんどん後回しになっていった。


それが理由で、モヤモヤと晴れない気持ちになる日々が続いていた。



そんな中、あるきっかけをくれる人が現れた。

現れたというよりは、見つけた。


“JAZZギタリスト系ユーチューバーの小川さん”


という方だ。


彼は、現在でこそジャズギタリストをやっているけども

その前までは、ジャズではないジャンルのギターで仕事をしていたそう。


小川さんは、ギタリストとして教則本を出し、そこそこ仕事も貰い

油が乗り始めた時に、ある絶望を味わい、人生の転機を迎えたそうです。


その時に、お金が入るとか、人を見返せるとか、人から認められるとかじゃなくて


本当に自分がやりたい、「自分の為の音楽」をやろうと決心し


なんと、今まで受けていたギターの仕事をキッパリ断り

ジャズギターを習得し始めたそうです。


この小川さんの話に激しく共感、感化された僕は

気づけば、長文のコメントを返していた。



「僕も、お金の為だったり、誰か（依頼をくれたアーティストさん）が喜ぶと思い、人の為に、人の役に立つ音楽をしていました。

でも、小川さんのお話を聞いて、ちゃんとやりたかったジャズギター、そして自分為の音楽を深めていこうと思えました！！

ありがとうございます！」


すると、小川さんは

わざわざ、このコメントに対する返事やアドバイスを

動画に撮って、YouTubeにアップロードしてくれた。


思わず「えぇーーー！！」って声に出すほど嬉しかったし、感動した。

ネットを通してだけど、こういった方に出会えて本当に良かった。



以来、、


僕は音楽制作や、伴奏制作の募集を控えた。

またタイミングがあれば本格的にやるかもしれないけど、今は違う。


そう確信している。



・



子供達が起きる前

1人薄明るい朝、JAZZギターを練習する


日に日に自分のギターがJAZZサウンドに近づく。


最高の瞬間だ。



こんなにも、やりたい事をやることが

心の充実に繋がるとは、思ってもいなかった。


確かに、お金は入らなくなるし、誰かが喜ぶわけでもない。



でも、人生そこじゃない。そこじゃないんだ。


まずは、


「自分が心からやりたい事やって幸せかどうか」


これが基盤なんだ。



納期に迫られて、イライラする事も、不安になる事もない

日常の至福を味わえる、気持ちの余裕。


時間はたっぷりある、少しずつ進めばいい。



この数日、僕のギターは急成長している。