ラジオドラマ『お掃除戦隊マスダリー』
まえがき
こちらのnoteは #Clubhouse のルーム"クラブハウスの歩き方 Clearly Brain × Everyday"に寄稿したラジオドラマ原稿です。7月のテーマは「私がときめいたまんが・アニメ・特撮」。ルームのリプレイリンクは最後に貼っています。
『お掃除戦隊マスダリー』
作：やまねたけし
演出・音声・音響・効果・録音・編集：めぐねぇ
キャスト：
アプリコットクラッシュ
ヘブンリーブルー
トロピカルグリーン
ブーゲンビリア
アンバーホワイト
基地アナウンス
除草剤怪人
ガム怪人
住民A
住民B
住民C
ナレーション（N）
注1 本作はラジオドラマですが、演者にイメージしてもらいやすいように、音声だけでは表現が難しい設定・ト書きも書いています。
注2 戦隊の色、および太字地名はキャストに応じて変更のこと。
M OP
N 「この宇宙のどこかに、『そうじ力』で世界を救わんとするヒーローがいる。彼らは、汚れから生まれる怪人と戦う傍ら、『そうじ力』の啓蒙活動をしているのであ〜る」
（マスダリー基地内。怪人の発生を知らせるブザーがなり、警報灯が赤く光っている）
SE ブザー
基地アナウンス 「緊急出動要請！ 住民からの通報です！」
アプリコット 「マスダリー、出動だ！」
4人 「了解！」
（外。怪人が街の木を枯らしている）
SE ズシン、ズシンという足音
住民A 「大変だ！ でかいロボットが街を壊している！」
住民B 「これ以上、木を枯らさないで〜」
除草剤怪人 「ジョジョジョ〜。邪魔な木は除草剤で枯らして看板を見やすくしてやるジョ〜。これがオイラの環境整備だジョ〜」
住民C 「助けて〜！」
住民A・B・C 「マスダリー！」
アプリコット 「環境整備こそ、すべての活動の原点であ〜る！ マスダリーアプリコット！」
ヘブンリー 「水回りは私にお任せ！ マスダリーヘブンリー！」
トロピカル 「照明にも気を配ろう！ マスダリートロピカル！」
ブーゲンビリア 「お部屋に緑を！ マスダリーブーゲンビリア！」
アンバーホワイト 「すべての汚れを漂白する！ マスダリーアンバーホワイト！」
アプリコット 「おそうじ戦隊！」
全員 「マスダリー！」
アプリコット 「合体だ！」
SE 金属同士が合わさるような音
N 「説明しよう！ マスダリーたちの乗る掃除道具は、合体して巨大ロボットになるのであ〜る！」
アプリコット 「『環境整備』を、そんな意味で使うんじゃな〜い！ アプリコットスマーーッシュ！」
除草剤怪人 「ぐわーっ！ これは侵略のじょそう（序章）に過ぎな……い……」
SE 爆発
全員 「おそうじ戦隊マスダリー！」
N 「第13話 この塵は土埃にあらず、実は『怒り』を塵というのだ」
（ある朝、レッドが基地にやってくるが誰もいない）
SE 自動ドアが開く
アプリコット 「おはようございます。って、今日はみんな出張なんだよな。えっと、ヘブンリーが尼崎、トロピカルが仙台、ブーゲンビリアが沖縄、ホワイトがオーストラリアと。マスダリーの活動も全世界に広がりつつあるな。私たちの目標である地球磨きを達成できるよう頑張らねば。さて、今のうちに、新刊『ヒーローになれる「そうじ力」』の原稿を進めるとするか」
SE ブザー
基地アナウンス 「緊急出動要請！ 住民からの通報です！ 緊急出動要請！ 住民からの通報です！」
アプリコット 「こんな時に限って……。でも行くしかない。マスダリーアプリコット、出動！」
（ガム怪人がガムで街を汚している）
M 戦いを予感させる曲
住民A 「大変だ！ 街がガムで汚されていく！」
住民B 「ガムが服について取れない！」
ガム怪人 「ガムガムガム！ 俺はポイ捨てのガムから生まれたガム怪人だ！」
住民C 「助けて〜！」
住民A・B・C 「マスダリー！」
アプリコット 「おそうじ戦隊マスダリー！」
ガム怪人 「なんだ、今日は1人しかいないのか。舐められたものだな」
アプリコット 「たとえ1人でも、この街を守ってみせる！」
ガム怪人 「これでもくらえ！ マシンガム！」
SE 機関銃のような音（重め、1秒くらい間隔を開けて）
アプリコット 「ぐわぁ！」
ガム怪人 「ガムペースト！」
SE 大砲のような音
アプリコット 「しまった！ 壁に張り付いて動けないっ！」
ガム怪人 「ガムガムガム！ そこで街が汚れていくのを見ているがいい！」
（他の隊員たちが各々の機体で飛んで帰ってくる）
SE 戦闘機、航空機エンジン音
トロピカル 「アプリコット！ 遅くなってすまない」
アプリコット 「トロピカル！ ヘブンリー！ ブーゲンビリア！ アンバーホワイト！」
ガム怪人 「今日はこれくらいにしておいてやる。壁を洗って待っていろ！ ガムガムガム！（FO）」
（怪人、虚空へ消える）
M FO
（アプリコットたちに詰め寄る住民たち）
住民A 「街がめちゃくちゃじゃないか！ どうしてくれるんだ！」
住民B 「『おそうじ戦隊』から『おそうじせんかい』に改名しろー！」
住民C 「そうだそうだ！」（などヤジ適当に）
トロピカル 「アプリコットを責めないでやってくれ」
（アプリコット、住民たちに土下座する）
アプリコット 「申し訳ない」
住民A 「いや、土下座までは求めてないというか……」
トロピカル 「そうです。アプリコットが謝ることじゃないです」
アプリコット 「私の責任だ。手を広げすぎて、足元をおろそかにしてしまった」
ブーゲンビリア 「アプリコット……」
アプリコット 「みんなにも迷惑をかけてすまなかった」
ヘブンリー 「でも確かに、我々だけでは限界がありますよね」
アンバーホワイト 「大掃除イベントの定期開催を増やしますか？」
住民B 「いや、これからは周りを誘って毎日掃除をしよう」
住民C 「自分たちが住む街さえ守れないなんて、悔しいです！」
住民A 「この怒りはマスダリーに向けられてはいけない。怪人に、そして怪人を生み出した私たちに向けられるべきだ」
住民B・C 「そうだそうだ！」
トロピカル 「この街を綺麗にしたい、その想いは私たちも一緒なんです」
アプリコット 「これからも力を合わせて、この街にオーラの柱を建てていきましょう」
一同 「はい！」
（数日後、再びガム怪人が現れる）
M 戦いを感じさせる曲
ガム怪人 「ガムガムガム。あれから1週間か。今日も街をベトベトにして……あれ、どうしたんだ、力が入らない。はっ、街が……街が綺麗になっているっ！？」
アプリコット 「ガム怪人、そこまでだ！」
ガム怪人 「今日は揃ってのお出ましか！ 大きさで圧倒してやる！」
（ガム怪人が巨大化する）
アプリコット 「みんな、合体だ！」
4人 「マスダリー合体！」
SE 金属同士が合わさるような音
全員 「おそうじ戦隊マスダリー！」
アプリコット 「これはみんなの怒りだ！ アプリコットスマーーッシュ！」
ガム怪人 「ガムで世界征服する野望が、無念……」
SE 爆発
住民A 「ありがとう、マスダリー！」
住民B 「私たちも『そうじ力』を高めていくわ」
アプリコット 「これが、私の理想とする世界です。ここからです。ここから、広げていくのです」
N 「がんばれ、マスダリー！ 戦え、マスダリー！ そうじ力で世界を救うその日まで、彼らの、そして私たちの地球磨きは続く！」
M ED
キャスト 「ただいまの出演は……」
《了》
参考
舛田光洋著『３日で運がよくなる「そうじ力」』三笠書房（2006）
舛田光洋著、一倉健二協力『一倉定の環境整備 1万社を復活させた経営の真髄』日本実業出版社（2022）
舛田光洋著『一生、運がよくなり続ける！ 「そうじ力」ですべてうまくいく』三笠書房（2023）
舛田光洋、宮本さおり著『賢い子の「そうじ力」』日本実業出版社（2024）
あとがき
ありがとうございました。完成版は朝のルームにてお聞きいただけます。
あの人が「ヒーローになりたい」と言ったから
あの人とはマスダリーことそうじ力研究家の舛田光洋先生。35分で役が降りてくる千両役者です。これまでも多くのラジオドラマに出演していただきました。
この脚本はそんな舛田先生のリクエストから始まったのです。
戦隊モノをやってみたいということで、主役のカラーを決めなければなりません。舛田先生の好きな色をお聞きしたところ、アプリコットクラッシュとトロピカルグリーンというお答えが。斜め上の答えに驚きましたが、上に挙げた色辞典から探して、残りはバランスと名前を見て選びました。
「塵を払わん、垢を除かん」
実はこの脚本は6月のテーマ「ムカつく！私の怒りをおさめてください！」に合わせて書いていました。そのため、サブタイトルにはそうじと「怒り」が関係する言葉を選びました。これは周利槃特（シュリ・ハンドク）という人物の悟りだそうです。
エピソードの詳細は『一倉定の環境整備 1万社を復活させた経営の真髄』、『賢い子の「そうじ力」』をお読みいただきたいのですが、周利槃特は物覚えが悪かったために、お釈迦様からひたすら掃除をするよう言われます。
「塵を払わん、垢を除かん」という言葉を唱え掃除を行うことで、ついに悟りを得たのです。
この塵は土埃にあらず、実は「欲望」を塵というのだ。この欲望を除去するのは賢者であり、怠惰な者ではない。
この塵は土埃にあらず、実は「怒り」を塵というのだ。この怒りを除去するのは賢者であり、怠惰な者ではない。
この塵は土埃にあらず、実は「迷妄」を塵というのだ。この迷妄を除去するのは賢者であり、怠惰な者ではない。
余談ですが、周利槃特は赤塚不二夫の漫画『天才バカボン』に登場するレレレのおじさんのモデルと言われています。
ルームリプレイはこちら↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？