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サラリーマンしんめいかいくん

先の記事で

“『新明解国語辞典』からサラリーマンしんめいかいくんに合いそうな言葉を探すのも面白いかもしれない。”

「実社会」の窓を通して

と書いた。早速やってみる。(以下、引用元のないものは『新明解国語辞典 第八版』である。)


そもそも「サラリーマン」とは

「サラリー」の複合語として記載されていた。

サラリー〔salary=「塩の給与」を意味するラテン語に基づく〕会社・官庁などに勤務する人が、定期的に受け取る俸給。給料。「月づきの—」
—マン〔←salaried man〕生活を支える主要な収入をサラリーに依存している人。給料生活者。「—金融〔=⇒サラ金〕・—社長」[運用]「サラリーマン根性」などの形で、定期的な収入を得て安定した生活をすることを第一として、仕事に情熱や意欲を持とうとしない、サラリーマンの陥りがちな人生態度を、非難や皮肉の気持ちを込めて言うことがある。「サラリーマン△教師(弁護士)」なども同趣の用法。

[運用]で自虐的になるしんめいかいくんである。個人的には「サラリーマン」にそんな印象はない。確かに、個人事業主よりは組織に属していた方が安定は保証されやすいだろう。しかし、大企業でも簡単に倒産する世の中である。何かあったときに組織が守ってくれるとも限らない。本当の安定は神話になりつつあるのではないか。

しゅっせ【出世】〔もと、仏が衆生済度(*1)のため、この世に生まれ出る意〕社会での(高い)地位を得ること。〔古くは、書生が社会人になることをも指した〕「—が早い/—頭・立身—」

しょうしん【昇進】上位の△官職(地位)に進むこと。[表記]「陞進」とも書く。

よ〜く考えよう、お金は大事だよ

きゅうりょう【給料】労働の報酬として雇用主から支払われるお金。サラリーとも。「—だけに依存する生活/銀行振り込みになってから—日の楽しみが少なくなった」

サラリーマンしんめいかいくんの年齢は不詳である。仮に『新明解国語辞典 初版』が発行された1972年(昭和47年)の生まれだとすると、大卒で入社したのは1994年。元号は平成に変わっている。その頃には手渡しから振り込みに完全に代わっていたと推測される(*2)。もしかすると、先輩から手渡し時代の話を聞いていたのかもしれない。

げっきゅう【月給】〔週給・日給と違って〕毎月支払われる決まりになっている給料。サラリー。「初—・—取り〔=サラリーマン〕」

しょうよ【賞与】(二)決まった月給などとは別に(業績に応じて)六月・十二月などに支払われる、まとまったお金。ボーナス。

しんめいかいくんの一日(予想)

サラリーマンしんめいかいくんの朝は早い。

はやおき【早起(き)】朝早く起きる△こと(人)。「—は三文の徳」

しゅっきん【出勤】(一)その日の勤めに出ること。「—簿」←→退勤
(二)職場に出て、働いていること。←→欠勤

持ち回りでスピーチしないといけない会社もあるようですね。

ちょうれい【朝礼】仕事や授業を始める前に行う、朝ごとの行事。打合せや精神統一などのために行う。

ろうどう【労働】〔「労」は、任務に服する意〕△収入を得る(何かを生産する)ことを目的として、その人自身のからだを使ったり頭を働かせたりして活動すること。「重—・肉体—・精神—」
—しゃ【—者】労働により得た賃金で生活していく人。〔狭義では、肉体労働者を指す〕

仕事をする上で避けては通れません。

かいぎ【会議】何人かの関係者が寄り集まって、一定の題目について何らかの判断や決定を下すために話し合うこと。また、その集まり。「—に△臨む(かける)/—が難航する/—室・職員—・初—・国際—」

ほうこく【報告】与えられた任務について、その結果を△述べること(述べた内容)。「—が届く/中間—を取りまとめる/—書を出す/—事項・公式—」

れんらく【連絡】(二)関係がある人びとに情報などを知らせること。「…との—が入る/—をとる/—を密にする/—を絶つ/警察に—する/—事項・緊急—」

そうだん【相談】自分だけでは△よく分からない(決めかねる)事について、他△に意見を求める(と話し合う)こと。「友人に—に乗ってもらう/値段と—だ〔=値段次第の話だ〕/これを彼に分からせるのは土台無理な—〔=話。事柄〕である/—相手・—役・—事・—窓口・人生—」

ちなみに、『三省堂国語辞典』には「報連相」が立項されている。

ほうれんそう【報連相】報告・連絡・相談。「上司への—」

『三省堂国語辞典 第八版』

息抜きも必要だ。

きゅうけい【休憩】(何かの途中で一時)休むこと。一休み。「—時間・—室・—所」

定時で帰れるなんて幻想なんや……。

ざんぎょう【残業】〔多忙や急ぎの仕事のために〕規定の時間のあとまで残って仕事をすること。また、その仕事。「—手当」

サービスざんぎょう【サービス残業】時間外の仕事をしたのに手当が支払われない△こと(残業)の通称。

しんめいかいくんの職場はホワイトなので、残業手当もバッチリ出る。

たいきん【退勤】勤務を終えて、勤め先を出ること。←→出勤(一)

お疲れ様でした〜!

ひろう【疲労】からだや頭を使いすぎたり空腹の度が過ぎたりした結果、肉体的・精神的に持続力がなくなる状態。「寒さを飢えで極度に—する/—困憊〔=疲れ果てること〕・—感・金属—〔=⇒金属疲労〕」

しんめいかいくんの業務はなんだろう。短絡的だが出版業界に入るということはやはり編集者になりたいのだろうか。

へんしゅう【編集・編輯】(一)△著者(出版担当者)として、取捨選択した原稿を一定の方針で配列し、雑誌・新聞・単行本などを作ること。〔広義では、映画のそれや放送番組の編成をも含む〕「—者・—部・責任—・共同—」

あるいは辞書編纂の関係か。

へんさん【編纂】著者が、一定の方針に基づき、集まった材料を取捨選択して書物を作ること。〔辞典や年鑑など、大仕掛けな書物、また著者一己の主観で統一することが必ずしも求められない書物の編集について言う〕

だが、他の部署も重要だ。

えいぎょう【営業】商業活動(を行うこと)。〔法律では、利益を得るための事業を行うことを指す〕「—停止処分を受ける/—案内・—時間・—中〔=店を開けて商売をしている状態←→準備中〕・風俗—」

じんじ【人事】(二)〔会社や官庁などで〕その成員の採用・退職や身分に関する事柄。「—に介入する/—の停滞/—上の秘密/—異動」

けいり【経理】会計・給与に関する事務「—担当」

ほうむ【法務】[一]法律関係の事務

そうむ【総務】組織体全体の運営に関する事務を処理する△こと(人)「—的な仕事/—部/—長官」

もしも外回りの多い部署なら、この時期は大変だ。

あせだく【汗だく】暑かったり体を激しく動かしたりして、汗がだくだく流れる様子。「—になる」

だくだく 〔汗や血が〕止めど無く流れ出る様子。「炎天下の作業で汗が—(と)流れる」

何にせよ水分補給は必ず行なっていただきたい。

しんめいかいくんの休日(妄想)

日々の激務に耐え、待ちに待った休みの日。しんめいかいくんはどう過ごすのか、妄想してみた。

きゅうじつ【休日】その組織体において、その日は全員が業務を休むように前もって定めた日。「—出勤」

休日出勤の理由は、業務過多、上司からの突然の呼び出し、お客さんの都合などなど。

だいきゅう【代休】〔←代替休日〕休日に働いた代りとして、本来出勤すべき日に取る休暇。

ゆうきゅう【有給】(二)「有給休暇」の略。「—をとって海外に行く」
—きゅうか【—休暇】労働基準法で定められている、使用者が有給で与える休暇。年次有給休暇。略して「有休・有給」

しんめいかいくんの職場はホワイトなので、休みはしっかり取れる(と思いたい)。

今でもあるのだろうか。

せったい【接待】退屈させたり失礼だと感じさせたりしないように、客をもてなすこと。〔広義では、顧客を食事に誘ったり催し事に招待したりすることも指す〕「—ゴルフ・—係」

きぐろう【気苦労】精神的な苦労。他人に対する気兼ねや、対人関係についての心配など。「—が絶えない/慣れない商家に嫁ぎ、大家族に囲まれて—の多い生活だった」

スキルアップのための自己研鑽も欠かさない。だが、ちょっとネガティヴなイメージを持っているようだ。

べんきょう【勉強】〔そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れる意〕(一)物事についての知識や見識を深めたり特定の資格を取得したりするために、今まで持っていなかった、学力・能力や技術を身につけること。「△数学(英語)を—する/バイオリンの—のためイタリアへ留学/中学時代の—が大人になって役に立った/机に向かうばかりが—じゃない/—会・—家」

「机に向かうばかりが勉強じゃない」とあるように、新しい言葉は街に出て見つかることが多いだろう。もちろん、今ではインターネットも活用する必要がある。見つけた言葉は「見坊カード」(*3)にしてストックするのだ。

あとがき&謝辞

テーマを決めて連想ゲームのように言葉を広げていくことは語彙力強化に繋がる。実際、英単語の覚え方の1つとして紹介されたのを見たことがある。また、面白い語釈・用例・例文に出会うこともあり、楽しい。国語辞典が1冊あれば、猛暑の中、外に出ることなく、世界を広げることができる。

golchikiさん、サムネイルイラストお借りしました。

資料

*1 「しゅじょうさいど」と読む。

しゅじょう【衆生】〔仏教で〕この世の中に生きているすべてのもの。〔これらの苦悩や迷いを救うのが仏の本願とされる〕「—済度さいど

*2 「レファレンス協同データベース」より

*3 本記事の写真を参照

#猛暑の過ごし方


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