『あまろっく』
「尼ロック」をご存知だろうか。尼さんのロックバンド、ではない。
「0メートル地帯」とは、海岸付近で地表標高が満潮時の平均海水面よりも低い土地のこと(Wikipedia)。海よりも低いということは、海からの水が入りやすく、降った雨の水が外に出にくいのである。実際、1934年(昭和9年)の室戸台風や1950年(昭和25年)のジェーン台風等による浸水被害にあっている。映画には、いつのものかはわからないが、被害の様子を記録したと思われる映像が使われている。
1954年(昭和29年)4月に旧第1閘門が完成。映画は1994年(平成6年)の近松家から始まるので、新第2閘門が完成する頃(月は不明)である。2002年(平成14年)に改良工事が完了。尼崎の子どもたちは、尼ロックとともに成長する。
作中では「水のエレベーター」という表現が登場する。言い得て妙である。規模は全く違うが、パナマ運河も同じ方式を取っている。
豪華キャスト陣
主人公・優子は江口のりこさん。江口さんの関西弁は初めて聞いたが、兵庫県のご出身とは知らなかった。
「俺は我が家の尼ロックや」が口癖の父・竜太郎を笑福亭鶴瓶さん。
若き日の父を松尾諭さん、(NHK連続テレビ小説「てっぱん」、『嘘八百 なにわ夢の陣』「あいすいません」が口癖の実行委員長役、『拾われた男 LOST MAN FOUND』原作)
そして母・愛子を中村ゆりさん(『嘘八百 なにわ夢の陣』山根寧々役)が演じる。
そう、『嘘八百』夫婦なのである!
他にも有名な役者さんがたくさん出演されている。
地域密着型のロケ地
阪神電鉄尼崎駅前の広場や明倫橋、BE KOBEモニュメントなどが登場する。ロケ地巡りも楽しそうだ。
(写真はすべて筆者撮影)
以下、ネタバレを含むためスペースを開けます。
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父は鎹
なんて諺はない。正しくは「子は鎹」である。鎹とは木材同士を繋ぐために使う両側が曲がった釘のこと。ただしこの鎹、見た目にはどうも頼りない。普段、社長らしいことは何一つしていないように思える。しかし実のところ、優子と早希だけでなく、商店街の人々を深くつないでいる鎹なのだった。
そんな彼だが、突然いなくなってしまう。鎹が抜けた後、2つの木はバラバラになりかけるのだが、木同士はしっかりと結びついていたのだった。
これは家族になったものの鎹を失ったことによって「他人」に戻ってしまった2人が、再び家族になる物語だ。
最後に、冒頭で目をひいた胡蝶蘭の花言葉を紹介したい。
新しい家族が幸せでありますように。
2024年7月27日、聖地の写真を追加しました。
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