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<映画> PAST LIVES

午前8時55分の開演に間に合うよう、支度をしながら
ふと、やるべき仕事や家事、昨日買ってきた読みたかった本があるのに
もう恋愛なんて縁の無い私が観に行く価値があるのか・・・と
手が止まりました。

これは、映画館で予告編を観て、観たいと思った時から
同じ理由で逡巡していたことでした。

たまたま今日の午前中、予定が空いているので観に行こうと思いました。
そして、また手が、足が止まったのです。

最後に車の鍵を持ち、靴を履かせたのは
関心を持ちながら忙しくて観に行くことを迷う若い人に
役に立てる発信ができるかも、ということでした。

観たい、というより、ほんの少しの人へでも
役に立てるなら・・・・それが最後に背中を押してくれました。

ギリギリに滑り込むと、ちょうど予告編が終わって
本編が始まるタイミングでした。
いつも劇場で観た予告編が次の鑑賞につながるので
ちょっと惜しいと思いましたが。

映画が始まって数分で、観に来て良かったと思いました。

なんて美しい! なんて心を震わせる言葉たち!

静かな映画なのに、美しい映像で一瞬たりとも退屈させない演出

好意を持ち合いながらも12歳でソウルで別れ
24歳でネットの海で互いを発見し
36歳でニューヨークで再会し、別れていく男女

年齢の変化を髪質で表現しているところがすごいと思いました。
サラサラの髪の20代の頃と、癖やうねりが出てきた30代後。

そして、習慣や考え方が大きく違ってきたことを
韓国系アメリカ人と全然違う、という言葉で
彼女が夫に気を遣っているのではなく
本心でそう思っていることが伝わりました。

出会いや別れが「イニョン(縁)」という言葉で語られます

特別なラブストーリーのようで、誰もが人生に似たような
後悔や小さな痛みや、諦めきれない想いを抱えていると思います。
そんな人たちの物語。

ラストシーンの二人の言葉で
多くの人たちは、現世の今を肯定し
前世、来世があるなら縁有って巡り会った今世を生きようじゃないか!
と清々しく思える、本当に素敵な映画でした。

以下、パンフレットに収められていた映画評の一部


ふつふつと湧いてくる感情を抑えつつも、最後は洪水のように一気に解き放つ
     ーWashington postー
今年あなたが観た映画の中で、唯一、最高の映画になることは間違いない
     ーRolling stone-
視線の交差や会話だけでは分かり得ない感情で溢れている
     ーAustin chronicle-



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