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<子育て>食の安全にこだわり過ぎて失うもの

映画「パンとスープとねこ日和」を観て

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私の映画の紹介を見てくださっている方から「きっとお好きでは?」とアマゾンプライムで観られる「パンとスープとねこ日和」をご紹介いただきました。

4回の連続ドラマで、出演者やドラマの雰囲気が「めがね」や「かもめ食堂」と共通している雰囲気。
優しくて静かで。

人はとかく他人の言動から思惑を推測して、人を遠ざけたり自ら傷ついたりしてしまいますが、相手はただの無神経だったり脳天気だったり。それを自分の基準で読み解くと辛くなるかもしれません。

第3回でこんなシーンがありました。
小さいお子さんを連れたお母さんが、野菜は無農薬ですよね?と尋ねます。
店主が「ほとんど無農薬ですが、一部減農薬もあります」と答えると、「減農薬の野菜と産地を教えてほしい」と言います。
店主が書いたメモを見ながら子供に、玉ねぎとアボカドは食べちゃダメよ、と言います。

子供はそれでも目の前の美味しそうなサンドイッチを食べようとします。
食事を終えて店を出る時に母親の静止を振り切って子供は駆け出します。

これは何を伝えようとしたシーンなのか?
色々に取れますが、作った人が伝えたい事と違う事を、見ている人は色々に受け取るのではないかと思います。

その受け取り方は、受け取る人のバックグラウンドにもよると思います。
無農薬野菜が正義の人、そんな事言ってたら何も食べられないよと思う人、どうせ無農薬なんて嘘も多いと思う人、あんな風に指示を振り切って走って行くお子さんをお持ちの人、そんなお子さんを近所でよく見かけている人、アレルギーを持つお子さんを育てていらっしゃる人。

食の安全のこだわりを変えた出来事① ベジタリアンとの遭遇

私は子供が小さい頃、やはり安全なものを食べさせたいと思っていた母親でした。
外食先であんな態度は取りませんでしたが。
義父母が自宅用に農薬を使わず野菜を作ってくれているのに、日本の農業は無農薬栽培であって欲しい、そんな農家を応援したい、と農家から直接無農薬野菜のセットを購入していたりしました。

店頭で食品を買う時には表示を見て添加物の少ないものを選んでいました。

そんな私が考えを変えた分岐点が二つあります。

一つは小学生の子供達を連れてアメリカから帰る機内での出来事。
斜め前に座っていた長髪のラフな身なりの白人男性が、客室乗務員にベジタリアンミールを要求していました。
事前に予約しないと用意が無いそうで「お野菜だけを召し上がっていただけますか?」の言葉がけに声を荒げて、肉と同じトレイに乗っていた物は食べられないと拒絶し、座席にあぐらをかいて、ずっとボソボソと念仏のように何かを呟いていたのです。

この時、思ったのです。
きっかけはヘルシーな食生活を求めていたはずが、いつのまにかあんな風に強迫観念に囚われてしまうとしたら、怖いと思いました。

食の安全のこだわりを変えた出来事② 娘からの電話

二つ目は拙書にも書きました、高校生になった娘からの電話でした。

こちらは、オーディオブックの朗読をしてくださった、福井一恵さんの朗読でお聴き下さい。

子供には多様な価値観を

https://youtu.be/IKNOvt4eXz0

「自然流おいしい食事」

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そして最近再び手にした「自然流おいしい食事」
登山家であり医師の今井通子さんのご著書。

出版された頃に購入し、食の安全志向へのスイッチが入った本です。
職場の同僚に貸して、2年近く経って泥だらけで戻って来たので、そのまま捨てたのですが、気になって中古で手に入れました。

読んでみて愕然としました。
ちゃんと読んでいたようで、自分の求める情報だけを選んでいたようです。

この本には、ちゃんと安全なものが手に入らなくても安心できる食べ方が紹介されていました。
古い本ですが、大切な情報は少しも古くありませんでした。

子供にあれダメ、これダメを重ねると、本当にいけない事と少々なら大丈夫な事の軽重の区別が曖昧になるような気がします。

命の危険を避ける事にこそ強い注意が必要です。

そして子供に良いものを選ばせたかったら、禁止ではなく、良いものを与えて覚えさせる事、懐具合が無理なら買える範囲のものを美味しくいただく事を教えたら良いのでは?と改めて思いました。

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