【Review】ALTRA『TIMP5』
新しくトレイルランニング用の靴として、Altraの『TIMP5』を購入しました。既にトレイルとロード合わせて100㎞ほど走ったので、そのレビューをしていきたいと思います。
購入の経緯
購入理由
自分のトレイルランニング歴は5年ほど。だいたい高尾や雲取などの奥多摩エリアを走っています。始めた当初から、ずっとSalomonの『S/LAB Ultra』を履いていましたが、5年も経てばソールはすり減り、アッパーには穴が開き、劣化が著しくなっていました。しっかり計測していませんが、総走行距離は1000㎞近かったと思います。
(※ビギナーにはオーバースペックな靴でしたが、足のサイズの関係でこれを選びました。ただ初心者にとっても、いい靴だったと思っています。)
そして今回、谷川馬蹄形一周の山行を計画しました。それにあたり、あの劣化の状態で歩くのが心配になり、新調しました。実際のヤマレコのログはこちら。
比較対象
購入にあたっては、基本的にAltraから選ぼうと思っていました。Alrtaにしようと思った理由は①厚底を試したい、②前足部にゆとりが欲しい、③デザインが気に入った、からです。他にも周囲でAltraを履いている人が多かったので、それに影響されたというのもあります。
今回はTIMP5に加えて以下のシューズを履き比べました。
ちなみに今回購入したのは、STRIDE LAB多摩店。熟練のスタッフの方が親身になって接客してくださいました。お近くの方はぜひ。
まず購入の決め手になったのは、足根部の高いフィット感です。LONEPEAKやOLYMPUSはボリュームが特に大きく、自分の足型では前後左右にずれてしまいました。一方TIMP5は、Altraの中でも特にラストが狭く、足が中で動いてしまうことはありませんでした。また、他モデルに比べると1サイズ小さい感覚でした。
またTIMP4からアウトソールが変更になりVibram® Megagripが採用されており、ウェットな路面でのグリップ力にも期待ができます。
そして、LONEPEAKよりは厚く、OLYMPUSよりは薄いミッドソールは、クッション性と操作性がいい塩梅に両立されていました。EGO™ MAXにより、ゼロドロップにも関わらず踏み出した瞬間に前に進んでいくような感覚があり、それでいて左右の不安定感が少なかった気がします。
ただ、TIMP5を購入した後にTOPOのPURSUITを履く機会があり、試してみたところ、感覚としてはこちらの方が好みでした。
足根部のフィット感と前足部のリラックス感は似ていますが、ボリュームが少ない分こちらの方がフィットするように感じました。ソールも分厚すぎず薄すぎず、トレイルの凹凸がよりはっきりと分かるようになっており、足運びが容易でした。ただアウトソールに関しては、ラグが薄くMegagripでもないので、TIMP5に軍配が上がりました。
とは言えトータルではPURSUITの方が好みのフィーリングでした。既にPURSUIT2がリリースされているので、次の有力候補としておきます。
商品レビュー
外観
スペック
使用レビュー
グリップはよし、ミッドソールは好み分かれるかも
試着の時点から既に感じていましたが、このTIMP5、厚底の割にとても軽いです。前作のTIMP4からも軽くなっていますし、比較したLONEPEAK8と比べても26gほど軽いです。
ただ実際の数値だけでなく、ガセットタン構造で中足部のフィット感が良いということも、軽く感じる理由ではないでしょうか。現にほぼ同じ重さであるHOKAのSPEEDGOAT6と比べても軽く感じました。これはアッパーが足と密着していることで、動きに追従する際のラグが少ないことによると思います。
そして今回から搭載されたVibram®︎ Megagripによる高いグリップ性能も見過ごせません。ラグの高さと形状、数が適切で、常にちょうど良い塩梅でグリップしてくれます。谷川の西黒尾根には滑りやすいことで有名な蛇紋岩が多くありますが、その降りにおいても十分なグリップ性能を発揮してくれました。
それまで使用していたS/LAB UltraはSalomonオリジナルのContagripでしたが、こちらはそもそも滑ることを想定しているのかと思うくらい、グリップ力は低いものでした。(その分耐久性は高いのでトレードオフだとは思いますが。)それと比べると、かなり安心して踏み出すことができるソールだと思います。
ミッドソールについては、3㎝近いEGO™MAXのおかげで、長時間の行動でも足と脚全体の疲労が軽減されたように思います。また平坦な道では反発を生かしてスピードを維持しながら走ることができました。
ただ、S/LAB Ultraが比較的薄底だったのもありますが、それに比べて厚底が故に足首を捻りやすいように感じました。アウトソールの幅はそれなりに広いですが、降りで数回足首を捻ってしまいました。そもそも左足は靭帯が一本伸びており左足首にはサポーターをつけた状態だったので、多少は致し方ないことだと思います。とはいえ、EGO™MAXの反発性がロール方向に向かいやすいようにも感じられました。土のトレイルなら問題ありませんが、岩稜帯を走る際には着地に十分注意する必要がありそうです。
ひとつ懸念点としては、写真でもお分かりの通り、アッパーメッシュに接着されている樹脂テープの部分が割と簡単に剝がれてしまいます。確かに見るからに接着は弱そうな感じですが、使用1回目で剥がれてしまったのは計算外でした。今は瞬間接着剤で接着して、何とか使っています。
ちなみに普通のロードでも使用してみましたが、EGO™MAXが適度な反発力で脚を推進させてくれたので、一般的なランニングシューズに比べても遜色なく走りやすかったです。重量も277gと、決して”重すぎ”はしないのでウルトラマラソンなどでも活躍できると思います。
まとめ:攻守兼ね備えたバランスモデル
購入後、岩場や砂利道を含んだトレイル全般、そしてロードも合わせて100㎞ほど走った感想としては、弱点のかなり少ないバランスの良いモデルだなと思いました。フィット感、軽さ、グリップ力などのトレランシューズに求められる要素に対して、全て及第点以上を出してくる優等生的なシューズだと思います。ビギナーからエキスパートまで、幅広い用途に対応できるのではないでしょうか。耐久性に若干の難有りですが、アッパーの一部なのでさほど問題ではないと思います。
値段も¥22,000と、HOKAのSPEEDGOAT6などの競合モデルに対しても優位性があると思います。新しくトレランシューズを探している方は、ぜひ候補に入れてみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?