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保育所の社会的責任

保育所の社会的責任については、社会福祉法、児童福祉法、保育所保育指針、保育指針解説にて明確になっています。

住民説明会段階で建築設備について説明しなかったことは「保育指針違反」、経営者として、住民に対し、騒音公害の責任者・連絡先を明示しなかったことは「社会福祉法違反」と解釈できそうです。


・社会福祉法

(社会福祉事業の経営者による苦情の解決)
第八十二条 社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。

・保育所保育指針(平成二十九年三月三十一日)(厚生労働省告示第百十七号)

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00010450&dataType=0&pageNo=1

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)第三十五条の規定に基づき、保育所保育指針(平成二十年厚生労働省告示第百四十一号)の全部を次のように改正し、平成三十年四月一日から適用する。

保育所保育指針

目次

第1章 総則

第2章 保育の内容

第3章 健康及び安全

第4章 子育て支援

第5章 職員の資質向上

第1章 総則

この指針は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号。以下「設備運営基準」という。)第35条の規定に基づき、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項を定めるものである。各保育所は、この指針において規定される保育の内容に係る基本原則に関する事項等を踏まえ、各保育所の実情に応じて創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならない。

1 保育所保育に関する基本原則

途中省略

(5) 保育所の社会的責任

ア 保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、子ども一人一人の人格を尊重して保育を行わなければならない。

イ 保育所は、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に、当該保育所が行う保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない。

ウ 保育所は、入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱うとともに、保護者の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。


・保育所保育指針解説  平成 30 年2月 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/1_24.pdf



(5)保育所の社会的責任
保育所が、地域において最も身近な児童福祉施設として、これまでに蓄積してきた保育の知識、経験、技術を生かしながら、子育て家庭や地域社会に対しその役割を果たしていくことは、社会的使命であり、責任でもある。このことを踏まえ、保育所が特に遵守しなければならない事項を「保育所の社会的責任」として規定している。保育所が社会的な信頼を得て日々の保育に取り組んでいくとともに、地域の共有財産として、広く利用され、その機能が活用されることが望まれる。

途中省略

イ 保育所は、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に、当該保育所が行う保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
保育所は、地域に開かれた社会資源として、地域の様々な人や場、機関などと連携していくことが求められている。また、次世代育成支援や世代間交流の観点から、小・中学校などの生徒の体験学習や実習を受け入れたり、高齢者との交流を行ったりするなど、地域の実情に応じた様々な事業を展開することが期待されている。
社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第 75 条では、利用者への情報の提供が社会福祉事業の経営者の努力義務とされている。また、児童福祉法第 48 条の4においても保育所の情報提供が努力義務として規定されている。保育所は、保育の内容等、すなわち、一日の過ごし方・年間行事予定・当該保育所の保育方針・職員の状況その他当該保育所が実施している保育の内容に関する事項等について、情報を開示し、保護者等が適切かつ円滑に利用できるようにすることが重要である。
また、保育所が保護者や地域社会との連携、交流を図り、開かれた運営をすることで、説明が一方的なものではなく、分かりやすく応答的なものとなることが望まれる。

ウ 保育所は、入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱うとともに、保護者の苦情などに対し、その解決を図るよう努めなければならない。
保育に当たり知り得た子どもや保護者に関する情報は、正当な理由なく漏らしてはならない。児童福祉法第 18 条の 22 には、保育士の秘密保持義務について明記されている。また、個人情報の保護に関する法律
(平成 15 年法律第 57 号)第 3 条においても、個人情報は「個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもの」であることが示されている。ただし、児童虐待の防止等に関する法律(平成 12 年法律第 82 号。
以下「児童虐待防止法」という。)第 6 条にある通告義務は、守秘義務より優先されることに留意しなければならない。なお、子どもの発達援助のための関係機関等との連携、保護者への伝達、保護者同士の交流や地域交流などに必要な情報交換等については、関係者の承諾を得ながら適切に進める必要がある。
また、社会福祉法第 82 条及び設備運営基準第 14 条の3には、「苦情の解決」について明記されている。
保育所が、苦情解決責任者である施設長の下に、苦情解決担当者を決め、苦情受付から解決までの手続きを明確化し、その内容や一連の経過と結果について書面での記録を残すなど、苦情に対応するための体制を整備することが必要である。また、中立、公正な第三者の関与を組み入れるために第三者委員を設置することも求められている。
保育所は、苦情を通して、自らの保育や保護者等への対応を謙虚に振り返り、誠実に対応していくことが求められる。そして、保護者等との相互理解を図り、信頼関係を築いていくことが重要である。また、苦情に関しての検討内容や解決までの経過を記録し、職員会議などで共通理解を図り、実践に役立てる。保護者等の意向を受け止めながら、保育所の考えや保育の意図などについて十分に説明するとともに、改善や努力の意志を表明することも必要である。

苦情解決とは、保護者等からの問題提起であり、個別の問題として対応するだけでなく、それを通じて、保育の内容を継続的に見直し、改善し、保育の質の向上を図っていくための材料として捉えることが重要である。苦情への総合的な対応を通じて、社会的責任を果たしていくという姿勢をもつことが求められる。


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