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人の可能性を信じて 〜「ローパフォーマー」なんてこの世にいない〜

私は30歳過ぎたあたりから、組織の閉塞感をどうにかしたい、もっと多くの社員が活き活きと働く職場にしたい、と、個人的に探求をはじめました。それからあっという間に20年近くが経過しました。

しかし20年経っても、日本の各企業の業績やGDPが物語っているとおり、未だ組織の閉塞感は無くなるどころかさらに闇が深まっている印象です。

最近では、人的資本経営というバズワードが登場し、または社員のエンゲージメントを高めようといった動きも出てきており、「人」に着目した施策が注目されています。

でも結局は、企業が儲ける為の手段として「人」が位置付けられており、つまり社員は企業の「儲ける」という目的を達成する為の手段として位置付けられてしまっています。決して「人」が主役になっていません。

これでは閉塞感が晴れることも無いし、エンゲージメントが向上することも無く、人が活き活きと働きだすことも無い。よって生産性が向上することもないし、イノベーションが起こることも無い。当たり前の結果です。

一方で、世の中では「人手不足」が叫ばれ、各企業とも「優秀な」人材の獲得競争に躍起です。

しかし仮にその「優秀な」人材を獲得できたとして、果たして企業の生産は上がり、素晴らしい業績が上がるようになるのかといえば、そうではない。

その「優秀な」人材もまた、閉塞感漂う職場に配置され、組織へのエンゲージメントが上がらない状態で仕事をすることで、その持っている能力やエネルギーを発揮できず、パフォーマンスの上がらない仕事を続けることになってしまう。

そんな人材に、結果を出せ、生産性を上げろ、パフォーマンスを出せと叱咤激励しても無意味です。

その人の持つ本来の能力やエネルギーを発揮してもらい、パフォーマンスを挙げて貰うには、その能力やエネルギーを発揮できる環境に身を置く必要があります。

つまり組織としてやるべきことは、所属する人材が、その能力やエネルギーを(最大限に)発揮できる環境を作ってあげること、です。

それは何も、新しく獲得する人材に対しての話ではありません。今いる社員、全員に対して言えることです。

人の持っている能力は本当に様々です。

毎日決まりきった同じ作業をひたすら繰り返すようなルーチンワークならまだしも、何らかの新しい成果を求められるこの時代、社員一人ひとりが持っているその能力やエネルギーを引き出し、発揮してもらえるかどうかが問われます。

つまり「マネジメント」が必要です。

この点、ドラッカーさんは以下のように表現しています。

”組織の役目は、人の強みを成果に結び付け、人の弱みを中和することにある”

P.F.ドラッカー

人には必ず何らかの「強み」があります。

マネージャーは、メンバーの強みを見極める為に、メンバーと向かい、コミュニケーションをとり、観察し、そしてそのメンバーがその強みを最大限に発揮してもらえる仕事を割り当てるのです。

ここで間違えていけないのは、仕事に強みを結びつけるのでは無い点です。強みに仕事を結びつけるのです。

人は、この仕事は自分の強みが発揮できる仕事だと感じた時に、最大限のパフォーマンスを発揮します。その仕事に自分のエネルギーを100%注ぎ込もうとします。

もしあなたが、自分には「強み」なんて無いと感じるようであれば、或いは自分の待っているエネルギー十分に注ぎ込めていないと感じるようであれば、それはあなたに強みが無いわけでも何でもなく、割り当てられたその仕事があなたの強みが発揮できない仕事である可能性が高いです。(もしくはその環境があなたにあっていないか)

これまでの企業、特に大企業は、仕組み化を徹底し、人を仕事に当てはめ、与えられた仕事を間違いなく確実に遂行することで成果が上がるように設計されてきました。この場合、一人ひとりの強みなどはあまり関係はありませんでした。

しかしこのモデルは既に機能しなくなっています。(つまり成果が上がらなくなってしまった)

よって、もしあなたが今の仕事にエネルギーが注がないのであれば、古臭くなってしまった経営モデルのせいであり、あなたのせいではありません。仕事があなたにあっていないのです。

あなたには、あなたらしく、あなたの強みが活かせ、最高のパフォーマンスを発揮できる仕事(或いは職場)が必ずあります。エネルギーを100%注げる環境が必ずあります。

残念ながら、組織が期待しているパフォーマンスをあげることができない社員を「ローパフォーマー」とレッテルを貼り、冷遇したり、改善プログラムを走らせたりする企業が存在します。悲しいことです。

先ほどお伝えした通り、人には必ず何らかの「強み」があります。

本来、「ローパフォーマー」なんてこの世には存在しません。

たまたま、その仕事(或いは環境や職場、上司)にあなたがあっていないだけです。言い方を変えれば、あなたを「ローパフォーマー」たらしめているのは、あなたに最適な仕事(環境)を割り当てることのできていない組織(つまりマネージャー)の問題です。

自分もかつては「ローパフォーマー」認定されたことがあります。しかし異動して、私への評価はガラリと変わりました。今や所属組織で私を「ローパフォーマー」呼ばわりする人はひとりもいません。そうです、環境によって人はその能力を発揮できたり出来なかったりするのです。

先日、COTEN RADIOの番外編、「株式会社コテンの文化 〜ひとりひとりがパフォーマンスを自然に発揮できる人材配置〜」という番外編を聴きました。深井龍之介さんが代表を務める株式会社COTENでは、正にこの記事で述べたことを実践してらっしゃるようです。

「人間のパフォーマンスは、ほぼ配置できまる」
「ハマる場所にハマる人を配置するだけで、相当パフォーマンスは変わる。配置8割、努力2割ぐらい」

深井龍之介

これぞまさに「マネジメント」、つまり人の可能性を信じた「マネジメント」だと思います。

本記事に共感をいただけたら、ぜひ聴いてみていただければと思います。


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