最幸の会社の、最幸の「マネジメント」 〜伊那食品工業を訪問して #1〜
伊那食品工業の真髄は、実際に足を運び、実際にこの目で見て、身体で感じないと判らない・・
それなりに事前知識を持ったうえで訪問をしましたが、そこでは想像を超えた世界が繰り広げられていました。
私の拙い説明でどこまでお伝えできるかわかりませんが、特に印象に残ったことについてここに記してみます。
管理職の役割は、「社員の生活に気を配る」こと
塚越英弘社長の説明で明かされたのは、営業ノルマなし、営業目標もなし、目標管理による評価もしない、という事実でした。
ここで、一般的なニッポン企業のサラリーマンとしては素朴な疑問が浮かぶわけです。では、営業の管理職の役割はいったい何なんだろう?と。
塚越社長にその疑問をそのままぶつけてみたところ、
「最高顧問の時代(塚越寛さんが社長をやっていた時代)から、管理職の仕事は、”社員の生活に気を配ること”と定義しています」
という回答がありました。
思わず唸りました。
そうか。社員の方々が生活上、何らかの問題や悩みを抱えていたりしたら、それこそ幸せではないし、そんな状態で仕事に向かったらせっかく持っているエネルギーが発揮できないし、パフォーマンスも上がらない。
だから何よりも社員の私生活を含めたコンディションに気を配る必要があるのだろう、と解釈をしました。
当日見せていただいた会社の紹介動画で、ある社員の方の自宅が火事で全焼してしまったとき、真っ先に会社が宿泊場所を確保してくれ、社員の皆さんが協力して当面の生活に必要なものを揃えて持ってきてくれた、という話をされていました。
社員の幸せを第一に考えると宣言している会社の言行一致した姿勢に感動を覚えるとともに、そんな会社の経営の一役を担う管理職は、”社員の生活に気を配る”という重要な責務を担っていて、それを現場で実践されているんだなと感じることができました。
これ以上の「マネジメント」があるでしょうか…。
大きな売上は敢えて上げない
社員の方との対話の中で、営業の方がこんな話をされていました。
「大きな案件の相談がくることもあるけど、ひとりだけ大きな売上を上げてしまうと、全体のバランスを崩してしまうことになってしまうので、避けるようにしている」
これは正に「年輪経営」の考え方を理解しているがゆえに出てくる発想だなと思いました。
一般的な企業では、数字が大きければ大きいほど良しとされます。大型案件が取れたら経営者も含めウハウハになって、浮かれてしまいます。
しかし、大型案件の恩恵を受けられるのはその時だけ。大きな実績が上がったのちは、大幅な業績ダウンの憂き目が間違いなく待っています。さらにはその為に設備の増強や人員増を行ったりすると、設備余り、人余りの苦しい状況が間違いなくやってきます。
そんな状況に陥らないように考えられたのが「年輪経営」。一度に大きな成長は望まないが、必ず少しずつ良くなっていく。それが人間の性分にあったスピード感なのでしょう。
つくづく、今の資本主義の考え方は、人間に無理を強いることに繋がってしまってるんだなと思いました。
明日から何をやりますか?
さて、今回の訪問の最後に、「あなたは明日から何をやりますか?」という問いを投げられました。
最初に出てきたのは、社内のある方の活動を支援しよう、ということ。
その方は、過去に伊那食品に訪問され、衝撃を受け、いい会社を世に広めたり、人の成長に繋がるような講演会を積極的に展開をされてらっしゃる方です。最近、その活動がちょっと停滞しているような話を耳にしたので、同じこの伊那食品の世界観を体感した者同士として、何か協力することができるのでは無いか、とふと思い立ったのでした。
早々に連絡をしてみたところ、ぜひ、ということになったので、さっそく具体的な行動に移していきたいと思います。
※ 今回参加したのは、eumoという会社が提供しているフィールドワークのひとつです。定期的に開催されていますので、ご興味のある方は是非。
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