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『愛着障害』 岡田尊司・著

これからパパになる皆さん、ママになる皆さん、赤ちゃんが産まれてお家に帰ってきたら、その子の人生のクオリティを左右する大切な課程が有るそうです!
その子が精神的にバランス良く、生きやすく、実り豊かで人間関係を楽しめる人生を送ることができるよう、赤ちゃんに贈る大切なひとときの話です。

子どもが生まれてくるとき、その子の幸せな将来を浮かべるパパさんママさんがほとんどだと思います。
とは言え、私の僅かばかりの見聞の中でさえ、初めて親になる20~30代パパは職場でも忙しい立場であったりして、赤ちゃんを迎えるという生活の変化に切り替えするには馬力がいります。
ですが、例えば誰しも会社に入った時に、最初にできた人間関係とか職場への愛着が良いとずっと過ごしやすさが続くように、我が子を新メンバーに受け入れるときも最初がとても大切♪(仕事と比べるものでもありませんが)
赤ちゃんが、その後一生に渡って、精神的にバランスが良く、生きやすく、実り豊かな人生や人間関係を楽しめる人格を持つには、生後半年から一年半の間に良質な愛着を育む(形成する)ことが大切ということです。
単刀直入に言って何をすれば良いのか、本文から抜粋します...

<抱っこからすべては始まる P20>
 人は、生まれるとすぐに母親に抱きつき、つかまろうとする。逆に言えば、育っていくためには、つかまり、体に触れ、安らうことができる存在が必要なのである。そうしたことの重要性が知られていなかったころ、孤児となった子どもは、スキンシップの不足から食欲が低下し、衰弱死してしまうことが多かった。子どもが成長するうえで、母が子を抱っこすることは、乳を与えることと同じくらい重要なのである。いくら栄養を与えても、抱っこが不足すれば、子どもはうまく育たない。
 抱っこをし、体を接触させることは、子どもの安心の原点であり、愛着もそこから育っていく。抱っこをすることで、子どもから母親に対する愛着が生まれるだけでなく、母親から子どもに対する愛着も強化されていく。何らかの理由で、あまり抱っこをしなかった母親は、子どもに対する愛着が不安定になりやすく、子どもを見捨ててしまう危険が高くなることが知られている。
 子どもが泣くと、すぐに抱っこする母親の場合、子どもとの愛着が安定しやすいが、放っておいても平気な母親では、不安定な愛着になりやすい。
抱っこという実に原始的な行為が、子どもが健全に成長を遂げるうえで非常に重要なのである。それは、子どもに心理的な影響だけでなく、生理的な影響さえ及ぼす。子どもの成長を促す成長ホルモンや神経成長因子、免疫力を高める物質、さらには、心の安定に寄与する神経ホルモンや神経伝達物質の分泌を活発にするのである。
 抱っこは、スキンシップという面と、『支え、守る』という面が合わさった行動である。よく抱っこされた子は、甘えん坊で一見弱弱しく見えて、実のところ、強くたくましく育つ。その影響は、大人になってからも持続するほどである。

本文では"母親"と書かれておりますし、母性の最重要度は誰もが認めるところですが、この本が出版された2011年9月時に比べても子育てへの夫の役割がますます高まっている現代であれば、"父親"も共に楽しんで意義を持って取り組むことで、子どものより良い未来にプラスになるのではないかと思えます。

その時期に形成された愛着のパターンはおおむね4つに分類されます。
自身はもしかしてどれかに当てはまるかな?
などど考えつつ読み進めると、より興味深く感じるかもしれません。
筆者自身もなるほどと思える個所はいくつも有りました。
人間誰しもがグラデーションの様に複雑に持ち合わせているものかもしれません。

<4種類の愛着スタイル P38>
①安定型  (約6割)
 母親から離されると泣いたり不安を示したりするが、
 その程度は過剰というほどではなく、
 母親が現れると素直に再開を喜び、母親に抱かれようとする。
②回避型  (約1.5割~2割)
 母親から引き離されてもほとんど無反応で、
 また、母親と再開しても目を合わせず、自分から抱かれようともしない。
 安全基地をもたないため、ストレスを感じても、
 愛着行動を起こさないタイプだと言うこともできる。
③抵抗・両価型  (約1割)
 母親から離されると激しく泣いて強い不安を示すのに、
 母親が再び現れて抱こうとしても拒んだり嫌がったりする。
 しかし、いったんくっつくとなかなか離れようとしない。
 母親の安全基地としての機能が十分でないために、
 愛着行動が過剰に引き起こされていると考えられる。
④混乱型
 回避型と抵抗型が入り混じった、一貫性のない無秩序な行動パターンを
 示すのが特徴である。まったく無反応かと思うと、
 激しく泣いたり怒りを示したりする。...
 虐待を受けている子や精神状態がひどく不安定な親の子どもに
 みられやすい。安全基地が逆に危険な場所となることで、
 混乱を来していると考えられる。

※②~④は不安定型としても分類されるそうです。

夏目漱石、川端康成、太宰治、アーネスト・ヘミングウェイ、
スティーブ・ジョブス、ビル・クリントン、ムハンマド(仏陀)、
チャールズ・チャップリン、高橋是清...その他にも。
不安定な愛着にその生涯を左右され、心の中に抱えた空洞や、
自己を超越しようとする力によって世に強い影響を与えてきた人たち。
具体的な事例は、著名人たちの切ない生涯を引き合いに出しながら興味深く解説されていきます。

<愛着の問題は一部の人の特別な問題ではない。 P6>
 なぜ、人に気ばかりつかってしまうのか。なぜ自分をさらけ出すことに臆病になってしまうのか。なぜ、人と交わることを心から楽しめないのか。なぜ、本心を抑えてでも相手に合わせてしまうのか。なぜ、いつも醒めていて何事にも本気になれないのか。なぜ、拒否されたり傷つくことに敏感になってしまうのか。なぜ、損だとわかっていて意地を張ってしまうのか。...なぜ、この生き方をしてきたのか。その疑問は、その人の愛着の特性を理解したときに、氷解するだろう。

子育てが今ほど重要視されていなかった、日本の高度成長期の親に育てられた世代には、少しばかり思い当たるところは有りませんでしょうか?
親自身が持つ愛着スタイルが、自らの子育てにもとても強く影響するのは想像に難く有りません。
現役の親たちそれぞれも、基本的には自らの親(または代わりの養育者)の子育てのパターンしか知りませんから、たくさんの家庭の例をいろいろ見比べて選択するということにはなかなかなりません、
日本は様々な家庭内の歪みを伴いながらここまで経済成長を遂げ、貧しい国から豊かな国になることができました。
これからは先人の働きに感謝しつつ、安定したバランスの良い子を育てられる環境に益々アップデートされていくことを願いたいと思います。

今回ご紹介の本は非常に内容が詰まっていて、できればもっと多くをお伝えしたかったのですがそうも参りません。
興味持っていただけた方は、是非ご一読頂きますことをお勧めいたします。

長文をお読み頂きましてありがとうございました。

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