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「銀河鉄道の父」はパパたちのための映画

子育て...というか、子どもと一緒に暮らしていると、「そんなんじゃ甘い」「それじゃあダメだ」と子どもに伝えたくなることが時々あります。
それは、宮沢賢治の生きた明治〜昭和初期の時代であれば、令和の時代よりもよほど、決められた世間の常識やしきたりがたくさんあったはず。

映画は宮沢賢治本人ではなく、その父の宮沢政次郎や家族からの目線で進みます。
政次郎はその父親から継いだ質屋を営み、42歳の頃の所得税納税額は花巻市内で11位。
よほど真面目に、堅実に商売もしていたのかなと思われます。
ですから、長男の賢治には"家業を継いでこうなって欲しい"というのは当然あったし、生きていくうえで、確実なレールを提供する責任感も持っていたかもしれません。

しかし、賢治は規格外の人間だった...
親が意図する安全な道には全く関心を示さない個性だったのです。

映画の中でも描かれていますが、政次郎パパは自分の気持ちをぐっと噛み殺しながらも、愛する息子が自分で選んだ道を歩くのを許したし、文字通り生涯愛を貫いた。
大きな大きな葛藤はあったはずです。
家長としては長男に家を継がせる責任も感じていたし。
男親から見て我が子は社会人としての立場から見れば可愛い後輩。
自身の経験からいろいろ言いたくなるし、その愛は間違っていなかったと思います...が、もしも子どもが父親流の正解と違う道に進んだら、どんなスタンスでいるのが幸せなのでしょうか?
物語は宮沢賢治が世に出る前の段階で終わります...
いま正に子どもが進路を考えている筆者にとっては、とても考えさせられた作品でした。

映画館には階段を上がるのも不自由な年配の先輩方もいらっしゃいました。
長らくの宮沢賢治ファンはもちろん、そこまでではない現役パパたちが見ても思い巡らすことができる映画です。
身近に観た方がいたら、是非語り合いたいなと思いました。

PS: 劇中ときどき使われた「ぺっこ」という言葉。
   これは南部弁で「少し」っていう意味です。 ^^

宮沢政次郎
宮沢賢治




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